竹市 嘉紀(たけいち よしのり)
所属 | 機械工学系 |
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職名 | 准教授 |
専門分野 | トライボロジー / 表面分析 |
学位 | 工学博士(名古屋工業大学) |
所属学会 | (社)日本トライボロジー学会 / (社)日本機械学会 / (社)応用物理学会 |
takeichi@ ※アドレスの末尾に「tut.jp」を補完してください |
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研究室web | http://tribo.me.tut.ac.jp |
研究者情報(researchmap) | 研究者情報 |
研究紹介
トライボロジー(Tribology)とは摩擦・摩耗・潤滑といったキーワードが関連する様々な科学技術的問題を取り扱う学際分野です.摩擦摩耗は普段は目にしないところで問題になることが多く,トライボロジーは工業分野の「縁の下の力持ち」的な役割を担っています.
1:高温固体潤滑材料のトライボロジー
・高温雰囲気におけるしゅう動材料および固体潤滑剤のトライボロジー特性向上を目的とした研究.
2:高分子材料のトライボロジー
・PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)の摩擦におけるトライボケミカル反応の解明を目指した研究.
・フェノール樹脂成形材料の高負荷しゅう動条件における摩擦摩耗特性向上に関する研究.
3:ボールジョイントのトライボロジー
・自動車用ボールジョイントの性能向上に関する研究.
・ボールジョイントにおけるグリースの潤滑メカニズム解明.
テーマ1:高温固体潤滑材料のトライボロジー
概要
高温環境で用いる摩擦材料には特殊合金やセラミックなどがあり,現在もトライボロジー特性のより優れた材料研究が行われているが,コストや靱性などの点で課題が多い.
一方,高温環境では油やグリースによる潤滑は厳しく,一般的には二硫化モリブデンや黒鉛などの固体潤滑剤を用いるが,これも400℃を超えるあたりからは酸化などによって潤滑性を失っていく.
本研究では高温環境下で用いる固体潤滑材料の開発とその潤滑メカニズムの解明を目的とした研究を行っている.
・科学研究費補助金テーマ:基盤研究(C) 21760112
・科学研究費補助金テーマ:基盤研究(C) 25420089
・日本トライボロジー学会 Tribology Online 論文賞(2016)
キーワード
テーマ2:高分子材料のトライボロジー
概要
●PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
「テフロン」の商標で広く知られてるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)は,各種プラスチック材料の中でも優れた低摩擦特性(潤滑性能)を示すものの摩耗量が多い(耐摩耗性に劣る)という欠点がある.本テーマでは,
・各種フィラー添加によるPTFEの耐摩耗性向上
・PTFEの摩耗低減メカニズムの解明
・PTFEとのしゅう動による金属表面のトライボケミカル反応の解明
の観点から研究を行っている.
・科学研究費補助金テーマ:若手研究(B) 18760111
●フェノール樹脂
トライボロジー分野においては,フェノール樹脂はブレーキ材料のバインダーとして広く知られており,基本的に摩擦係数は低くない材料である.
多くのしゅう動用プラスチックが熱可塑性樹脂であり,しゅう動条件が高負荷となるような部位では摩擦熱などで樹脂材料が溶融し,使用不可能となる.
このような条件下では金属材料などでのしゅう動となることが多いが,フェノール樹脂をしゅう動材料とすることで,軽量化を図ることができる.
本テーマではフェノール樹脂を高負荷しゅう動部に用いることを目的とし,樹脂の化学反応などに着目し,耐摩耗性向上のメカニズムを調べている.
(旭有機材(株)との共同研究:共同研究自体は終了)
キーワード
テーマ3:ボールジョイントのトライボロジー
概要
ボールジョイントは継手部品の一種で,ボール状の形をした金属球を樹脂製のシートで覆う構造になっており,両材料間にグリースを供給し,ここで摩擦が生じる.
自動車用ボールジョイントは重要保安部品であり,極寒低温値での使用から,エンジン周りの高温環境下での使用といった,幅広い温度条件下で用いられることになる.
また,一定方向のしゅう動ではなく,常に摩擦方向が変化し,そのすべり量も僅かであることも多く,グリース潤滑としては厳しい使用のされ方となる.
本テーマではボールジョイントのトライボロジー特性向上と潤滑メカニズムの解明により,より最適なボールジョイントの設計に資する知見を得ることを目的としている.
((株)ソミック石川との共同研究)
キーワード
担当授業科目名(科目コード)
表面分析特論 / トライボロジー / 機械設計 / 機械創造実験 / 材料力学Ⅱ / プロジェクト研究 / 卒業研究
その他(受賞、学会役員等)
●日本表面科学会 技術賞 1997年 「標準CMA分光器で得た絶対オージェスペクトル」後藤敬典・竹市嘉紀.
●日本トライボロジー学会 Tribology Online 論文賞 2016年 「Tribological Properties of Copper Molybdate Powder Solid Lubricants under High Temperature Conditions」 竹市嘉紀・稲田真人・南賢太郎・川邑正広・Marián Dzimko