社河内 友里(しゃこうち ゆり)
研究紹介
1950~1960年代のアメリカにおいて反順応主義的な文学作品によって注目を集めたビート・ジェネレーションの文学・文化を専門に研究しています。特に、1950年代以降のアメリカでのビート文学・文化の受容形態の変遷とその要因を、「ビート文学における超越状態の描写」および「大衆文化におけるビート文学・文化表象」から明らかにすることを目指しています。
テーマ1:ビート・ジェネレーションの文学における超越状態
概要
1950年代のアメリカにおいて、反順応主義的な文学作品によって注目を集め、現代アメリカの対抗文化の起源となった作家集団「ビート・ジェネレーション」の文学(ビート文学)が、その後の世代においてどのように、また、なぜ大きな影響力を持ったまま受容され続けてきたのか明らかにすることを目指しています。ビート文学がその後の世代のアメリカの大衆文化において言及されるとき、ビート文学作品における「精神的な超越状態」の描写が取り上げられる傾向があります。この超越状態とは具体的に何をどのように超越するものなのでしょうか。Jack KerouacやAllen Ginsbergなどのビート作家の作品における超越状態の描写について、反順応主義、消費文化、人種、ジェンダーなどの観点から分析することで、その具体的な様相を明らかにする研究を進めています。
テーマ2:アメリカン・コミックスにおけるビート文学・文化の受容変遷とその要因
概要
ビート文学・文化は、1950 年代後期に注目を浴びると同時にテレビや雑誌などのメディアによってステレオタイプ化され、大量消費されました。このステレオタイプはアメリカの大衆文化の中で現在に至るまで「ヒップ」なものとして消費され続けてきています。アメリカの資本主義社会の中で、ビートのステレオタイプが淘汰されることなく生き残ってきたのはなぜでしょうか。本研究では、1950年代以降のアメリカン・コミックスにおけるビート文学・文化の表象に注目し、1950 年代から現在に至るまでのビート文学・文化の受容形態の変遷とその理由を、特に反順応主義、消費文化、人種、ジェンダーなどの観点から明らかにすることを目指しています。
この研究は、ビート文学・文化とアメリカン・コミックスに留まるものではなく、ビート文学・文化を起点とする現代の対抗文化が、1950年代から現在までの消費主義社会の中でどのように生き残り、重要なものであり続けてきたのかということを明らかにするものです。「主流文化がどのように対抗文化を搾取し続けてきたのか」、また、「対抗文化がいかにしてその流れに対抗してきたのか」という、アメリカ消費主義社会と対抗文化の大きな流れについての議論に寄与することを目的としています。
担当授業科目名(科目コード)
欧米文化論、英語Listening&Speaking、英語Reading&Writing、英語Grammar、資格英語、日本事情