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浴 俊彦(えき としひこ)

所属 環境・生命工学系
兼務 先端農業・バイオリサーチセンター
職名 教授/環境・生命工学系長
専門分野 分子遺伝学 / 分子生物学 / ゲノム機能学
学位 薬学博士(東京大学)
所属学会 日本分子生物学会 / 日本薬学会 / 日本生化学会 / The Genetics Society of America
E-mail eki@ens
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究室web http://ens.tut.ac.jp/molgenetics/

研究紹介

環境問題に対する社会的な関心が高まり、人間と環境との関係が改めて見直されるようになっています。 地球上の生物は、苛酷な環境からのストレスに適応しながら子孫を増やす仕組みを獲得しています。なかでも遺伝物質であるゲノムDNAを維持する分子機構は生命の生存にとってとりわけ重要であり、ゲノム安定化の破綻は癌や老化異常の原因になることも明らかになっています。そのため、遺伝子リスクの検知や評価は重要な課題と考えられます。さらに、安全な社会形成には、化学物質の検知や土壌環境評価に関する新技術の開発も重要です。当研究室では以下の3つのテーマを掲げて、酵母や線虫などのモデル生物を用い、遺伝子工学や遺伝子機能解析法を駆使した研究を行っています。
(1)ゲノム安定性維持に関わる新規RNA干渉遺伝子群の研究、
(2)遺伝子組換え酵母を用いた遺伝毒性や化学物質の検知技術の開発、

(3)土壌線虫群のDNA分析による土壌環境評価と線虫による有害性試験法の開発

テーマ1:ゲノム安定性維持に関わる新規RNA干渉遺伝子群の研究

概要
線虫染色体分離に必須なdrh-3遺伝子の発見

近年、ゲノム安定性の破綻がヒトの癌や遺伝病の原因となっていることが判ってきました。これまでに、遺伝情報の維持・発現に中心的な機能を果たすヘリカーゼファミリーに着目して、ゲノム安定化に必要な新規遺伝子の探索と分子機構の解明を目指してきました。その結果、線虫(C. elegans)のRNA干渉(RNAi)関連遺伝子であるdrh-3が染色体(ゲノム)の維持と生殖細胞形成に不可欠であることを発見しました。RNAiによるゲノム安定化制御については不明な点が多く、現在、ゲノム安定化に関与するRNAi機構について分子レベルでの研究を進めています。本研究は、医薬品や遺伝子治療への応用が進められているRNAi研究やヒトの癌や老化の研究にも大きく貢献することが期待されます。

主な業績:
◆Toshihiko Eki., Takeshi Ishihara, Isao Katsura, and Fumio Hanaoka: A genome-wide survey and systematic RNAi-based characterization of helicase-like genes in Caenorhabditis elegans. DNA Res., 14(4), 183-199 (2007)
◆Masaharu Nakamura, Rumi Ando, Taro Nakazawa, Takuro Yudazono, Naoko Tsutsumi, Naoki Hatanaka, Toshiyasu Ohgake, Fumio Hanaoka, Toshihiko Eki: Dicer-related drh-3 gene functions in germ line development by maintenance of chromosomal integrity in Caenorhabditis elegans. Genes Cells, 12(9), 997-1010 (2007)
◆Toshihiko Eki and Fumio Hanaoka: Discovery of orphan helicases and deorphanization by genome-wide analyses in two model organisms, S. cerevisiae and C. elegans, Bacterial DNA, DNA polymerase and DNA Helicases. pp.411-432, Nova Science Publishers (2010)

キーワード

drh-3遺伝子、ゲノム安定性維持、ヘリカーゼ、線虫、RNA干渉

テーマ2:遺伝子組換え酵母を用いた遺伝毒性や化学物質の検知技術の開発

概要
レポーター酵母によるバイオセンシング

遺伝子組換え酵母を利用して、発癌の要因となるDNA傷害性や細胞傷害性を起こす酸化傷害性を簡便に検出できるシステムの開発を進めています。各傷害に特異的に応答する遺伝子プロモーターを組み込んだレポーター酵母を作製して、DNA損傷や酸化傷害を検出するためのバイオセンサとして利用します。これらのシステムは、廃棄物処理や化学物質の製造等における生体有害性評価に利用できます。また、生物の持つ化学受容システムを利用した遺伝子組換え酵母による新たな化学物質検出法の開発も進めています。

主な業績:
◆Kohei Ichikawa and Toshihiko Eki: A novel yeast-based reporter assay system for the sensitive detection of genotoxic agents mediated by a DNA damage-inducible LexA-GAL4 protein. J. Biochem., 139(1), 105-112 (2006)
◆Yukari Ochi, Harumi Sugawara, Mio Iwami, Megumi Tanaka and Toshihiko Eki: Sensitive detection of chemical-induced genotoxicity by the Cypridina secretory luciferase reporter assay using DNA repair-deficient strains of Saccharomyces cerevisiae. Yeast, 35(1), 265-278 (2011)

キーワード

遺伝毒性試験、酸化傷害性、化学物質検知、遺伝子組換え、酵母、バイオセンサ、レポーター法

テーマ3:土壌線虫群のDNA分析による土壌環境評価と線虫による有害性試験法の開発

概要
土壌線虫集団のDNAバーコード解析(畑、花壇での例)

線虫は土壌に生息する主要な環境生物であり、生物多様性や土壌環境を評価するための優れた指標と考えられます。工場跡地や農地などの健全性評価のために、多種類の土壌線虫群を塩基配列(DNAバーコード)に基づいて分子生物学的に分析するための手法開発を進めています。さらに線虫(C. elegans)の寿命短縮を指標とした新たな生体有害性評価法を確立しました。線虫を用いた有害性評価法は、線虫が棲息する土壌の安全性評価に有効であると考えられます。

主な業績:
◆Hiroaki Harada, Masaru Kurauchi, Rie Hayashi, and Toshihiko Eki: Shortened lifespan of nematode Caenorhabditis elegans after prolonged exposure to heavy metals and detergents. Ecotoxicol. Environ. Saf., 66(3), 378-383 (2007)
◆Masaru Kurauchi, Hisashi Morise, and Toshihiko Eki: Using the nematode Caenorhabditis elegans daf-16 mutant to assess the lifespan toxicity of prolonged exposure to ecotoxic agents. J. Health Sci., 55(5), 796-804 (2009)
◆Toshihiko Eki:Ecotoxicology of free-living nematode Caenorhabiditis elegans, Ecotoxicology Around the Grobe, pp.1-52, Nova Science Publishers (2011)
◆Hisashi Morise, Erika Miyazaki, Shoko Yoshimitsu, and Toshihiko Eki: Profiling nematode communities in unmanaged flowerbed and agricultural field soils in Japan by DNA barcode sequencing. PLoS One, 7(12), e51785 (10 pages) (2012)

キーワード

有害性評価、土壌線虫、生物多様性、土壌環境、DNAバーコード

担当授業科目名(科目コード)

工学概論(B10110010) / 生物学(B1013140) / 生命科学 (B1011007a, b) /基礎生命科学I(B14510110 / 生命化学I (B14622080) / 応用生物工学特論(M24630310) / 生命工学特論 I (D34030040) /Advanced Biotechnology 1 (D054030040)

その他(受賞、学会役員等)

ゲノム解析から得られた未知遺伝子の機能解析研究、線虫を利用した創薬応用なども行っています。


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