永井 萌土(ながい もえと)
所属 | エレクトロニクス先端融合研究所 |
---|---|
兼務 | 機械工学系 |
職名 | 教授 |
専門分野 | バイオMEMS,バイオハイブリッドシステム,マイクロ・ナノメカトロニクス,マイクロTAS,バイオファブリケーション,マイクロマシニング |
学位 | 博士(工学) 東京大学 |
所属学会 | 日本機械学会,精密工学会,電気学会 |
nagai@me ※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください |
|
研究室web | https://hmn.me.tut.ac.jp/ |
研究者情報(researchmap) | 研究者情報 |
研究紹介
細胞は生命の基本単位でありますが,複雑度が高いことから,細胞機能の効率的な解明が望まれています。さらに従来のマイクロ機械では,センサとアクチュエータの集積化が難しいことが知られています。これらの問題に対し,生命の基本単位である細胞を工学的に活用し,健康と機械工学の分野に貢献することを研究の目的にしています。細胞を高機能かつ自律的な素子として捉え,自然界に存在するマイクロロボットとして活用し,並列計算やドラッグデリバリへの活用を目指します。
我々が細胞を取り扱うためには,マイクロ・ナノ加工技術で作製したツールをベースにします。物理的な操作方法として,主に流体,光,電気,磁気のエネルギーを使用します。これらのマイクロ構造と操作技術をベースにして,細胞機能解析ツールや微生物融合MEMSの開発を進めています。
主に「生体材料の機能を高効率に調べるシステム」と「生体材料を取り込んだシステム」の2つの軸で,研究と技術開発を実施しています。
- 超並列細胞操作ステーション:マイクロ・ナノ加工技術を利用して作製した超並列細胞操作ツールを利用し,単一細胞の機能を高効率に解析,機能制御するためのマイクロシステムを開発します。細胞の機能を調査して,医学・薬学の分野でも役立つ知見を得ます。
- 微生物融合マイクロシステム:人工的に作製した機械と微生物細胞のセンサ,アクチュエータを組み合わせたマイクロシステムを開発します。複数の微生物が微小な時空間に対し自律的に応答することを利用して,微小環境を動的に制御可能なシステムの開発を目標にしています。
テーマ1:微生物融合マイクロシステム
概要
マイクロ・ナノの時空間をライフやグリーンの分野で有効活用するためには,微小な環境を制御する素子の開発が望まれています。これらの環境を制御するために,自律的に動作する微生物をマイクロシステムの一部として利用し,作製した人工の機械と組み合わせ,目的の入出力応答を行うシステムの構築を目指しています。
微生物を工学的に見たときの利点には,①高集積性(細胞体内部に,エネルギー変換回路,アクチュエータ,センサ, 制御系が内蔵される),②自律性,③超並列性があります。これらの利点を備えた微生物をマイクロシステム内で活用し,望み通りに制御して,従来にないコンパクトで自律的なマイクロシステムを開発します。そしてライフやグリーンの分野でのマイクロ・ナノの時空間の活用に挑みます。
主な業績
◆M Nagai, T Hirano, T Shibata, Micromachines, Vol. 10 (2), p. 130, (2019).
◆M. Nagai, K. Tanizaki, and T. Shibata, J. of Microelectromechanical Systems, Vol. 28, p. 419 (2019).
◆M. Nagai, N. Matsumoto, T. Kawashima, and T. Shibata, Sensor Actuat. B-Chem, Vol. 188, p. 1255 (2013).
キーワード
テーマ2:超並列細胞操作ステーションの開発
概要
医学,細胞生物学の発展のためには,超並列に単一細胞の機能を分析,機能制御するためのシステム開発が求められます。ここで細胞の機能解明と機能制御を行うために,単一細胞を超並列操作できるシステムの開発を進めています。MEMS技術を用いてプローブアレイを作製し,細胞操作と細胞内デリバリーの両用途に使用します。細胞や生体物質の操作には,電場駆動力と流体力を用いて,高精度な操作とデリバリーを行います。
主な業績
◆M. Nagai, K. Kato, S. Soga, T.S. Santra, and T. Shibata, Micromachines, Vol. 11(4), p. 442 (2020).
◆M. Nagai, K. Kato, K. Oohara, and T. Shibata, Micromachines Vol. 8(12), p. 350, (2017).
キーワード
担当授業科目名(科目コード)
機械工作法Ⅱ(B11530160),機械工作法Ⅱ(B11530170),機械工学実験(B11610021, B11610023),プロジェクト研究(B11510080),CAD/CAM/CAE演習 (B11630033 ),マイクロシステム工学特論(M21621150)
その他(受賞、学会役員等)
<受賞>
・文部科学大臣表彰 若手科学者賞 平成30年度 科学技術分野
・平成25年度 電気学会センサ・マイクロマシン部門 総合研究会 優秀論文発表賞
・2013年度 日本機械学会東海支部賞 奨励賞
・IEEE MHS 2014, Best Poster Award