豊橋技術科学大学

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南 哲人(みなみ てつと)

所属 情報・知能工学系
兼務 IT活用教育センター
情報メディア基盤センター
次世代半導体・センサ科学研究所
職名 教授
専門分野 認知神経科学
学位 情報学博士(京都大学)
所属学会 日本神経科学会、電子情報通信学会、日本感性工学会、北米神経科学学会
E-mail minami@
※アドレスの末尾に「tut.jp」を補完してください
研究室web https://sites.google.com/site/minamicnt/
研究者情報(researchmap) 研究者情報

研究紹介

ヒトの認知行動を計測し、脳活動を中心とした生体信号を計測・制御することにより、ヒトの認知処理に関わる神経ネットワークの解明の研究を進めながら、得られた知見をブレインマシンインターフェース (BMI) やニューロマーケティングなどへ応用する研究を進めています。

テーマ1: 顔を中心とした非言語コミュニケーションの研究

概要
顔を中心とした非言語コミュニケーションの研究

これまで、顔に敏感な脳波成分N170コンポーネントに着目し、顔色の不自然さによる脳波の変化を調べることにより、顔色が顔情報処理にどのような影響を与えるのかについて検討をおこなってきた。その結果、 顔色により、N170振幅が変調されるということが分かった。さらに、顔色と顔情報処理の関係を詳細に調べるために、顔認知処理に与える色情報のパラメトリック解析を行った。その結果、N170 成分においては、振幅・潜時ともに左後側頭部電極で顔色の効果が見られた。このように、顔色が処理される時間情報は詳細に分かったが、空間情報は、脳波だけでは限界がある。そこで、より空間解像度に優れた脳イメージング法であるfMRIを用いて、脳内のどの部位が顔色処理に関係しているのかを同定した。全体脳の解析を行った結果、顔処理に関係する左右の紡錘状回(FFA: fusiform face area)と後頭顔領域(OFA: occipital face area)で活動が得られた。これら4つの領域についてROI解析を行い、顔色の処理について検討した結果、左の紡錘状回に、形(顔かどうか)と色(肌色か青色か)の交互作用が見られ、自然な顔色により強い活動を示していることが分かった。

主要文献
Nakajima K, Minami T*, Tanabe HC, Sadato N, Nakauchi S. Facial color processing in the face-selective regions: an fMRI study. Hum Brain Mapp. 2014 Sep;35(9):4958-64
Nakajima K*, Minami T, Nakauchi S. The face-selective N170 component is modulated by facial color. Neuropsychologia 2012;50(10):2499-505.
Minami T*, Goto K, Kitazaki M, Nakauchi S. Effects of color information on face processing using event-related potentials and gamma oscillations. Neuroscience 2011;176:265-73.

キーワード

顔、顔色、表情、脳波、fMRI、N170、紡錘状回

テーマ2:ひらめき・気づきなどの情報理解度の研究

概要
ひらめき・気づきなどの情報理解度の研究

本研究では、ヒトがどのように視覚的情報を理解しているかの脳システムの理解と共に、ヒトの理解度を脳活動から抽出する技術の開発を目的として、二値化画像を用いて、脳のあいまい状態の研究をさらに進めて、答えがわかっていたときに答えを見せられたときの脳状態と、答えがわからなかったときに、答えを見せられたときの脳状態を比較して、「気づき」がどのように脳に表象されているかを脳波の周波数解析および信号源解析を用いて調べた。その結果、「気づき」への状態移行が、頭頂後頭におけるベータ帯域の活動と関係していることを明らかにしたまた、認知状態推移の対象として、これまで行ってきた隠し絵知覚に加えて、知覚闘争現象を取り上げた。ネッカーキューブを用いて、ヒトの知覚が2つの図形の間で自発的に切り替わる瞬間の活動を脳波から調査した。本研究は、新たに提案した刺激呈示方法を用いて、従来の研究(Kornmeier2004など)より正確な活動時間を特定したことが特徴的である。その結果、自発的な知覚変化は、知覚変化後すぐ、右後頭部においてベータ帯(12-20Hzの周波数活動)が活性化した。

主要文献
Yokota Y, Minami T*, Naruse Y, Nakauchi S. Neural processes in pseudo perceptual rivalry: An ERP and time-frequency approach. Neuroscience, 2014 Jun 20;271:35-44.
Minami T*, Noritake Y, Nakauchi S. Decreased beta-band activity is correlated with disambiguation of hidden figures. Neuropsychologia, 2014 Apr;56:9-16.

キーワード

脳波、ひらめき、BCI

テーマ3:ニューロコミュニケーションなど社会応用の研究

概要
ニューロコミュニケーションなど社会応用の研究

本研究では、BMIやニューロマーケティングなどの社会応用的な研究を行ってきた。
ヒトの好みは、様々な要因に左右されがちである。たとえば、自動車がモデルチェンジして、新型になった時、最初は、どうも変だな、前のモデルの方が良かったなという印象を持っていても、町中やCMで繰り返し見るうちに、新型もいいなと感じることがある。このように、単純に見た目・音・匂いといった外部の刺激に反復して接触することにより、その刺激に対する好意感が高まる心理的現象は単純接触効果(Mere Exposure Effect: MEE)(Zajonc, 1986)と呼ばれ、古くからその存在は知られている。しかしながら、その発生メカニズムに関しては、まだ一貫した証拠が得られていない。そこで、好感に影響を与える様々な要因の中で、単純接触効果(MEE)のメカニズムを明らかにすることを目的として、閾下MEE実験を行い、脳波(EEG)及び心理学的アプローチから分析した。その結果、後頭の40-60Hzガンマ活動がMEEとそれ以外の好感を区別する指標であることを示した。
また、感情誤帰属に関して、個人によって異なる感情誤帰属の傾向が、プライムに対する処理の違いが原因であることを脳波を用いて示した。さらに、BCI応用では、ニューロコミュニケーターシステムの性能を向上させるため、ひらがな、ロロ文字、顔、家の4つのフラッシュ刺激を用いたメッセージ生成課題を行い、これらの識別性能を比較することで、より効率的にP300脳波を誘発することができる最適刺激を見つけ出すことを目的として研究を行った。

主要文献
Kongthong N, Minami T*, Nakauchi S. Gamma oscillations distinguish mere exposure from other likability effects. Neuropsychologia 2014 Feb;54:129-38.
Kongthong, N., Minami, T.* and Nakauchi, S.(2013), Semantic processing in subliminal face stimuli: An EEG and tDCS Study, Neuroscience letters, Vol.544 No.7, pp141?146.
Hashimoto, Y., Minami, T*. and Nakauchi, S., Electrophysiological differences in the processing of affect misattribution, PLoS ONE 7(11): e49132 (2012)

キーワード

感情処理、tDCS、EEG、BCI

担当授業科目名(科目コード)

数値解析論
データベース
X Reality and Psychology 2


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