豊橋技術科学大学広報誌 天伯
 
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グローバルCOEプログラム「インテリジェントセンシングのフロンティア」
/電気・電子工学系 教授  石田 誠
 
 
 

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図1 フランス、リヨンにて

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図2 ワーキングメンバー

 グローバルCOEプログラムは、文部科学省において平成14年度から開始された「21世紀COEプログラム」のあと、その基本的な考え方を継承し、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため重点的に支援し、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とする事業です。
 
 COE(Centers of Excellence)とは、「世界最高水準の研究教育拠点」ということです。前の21世紀COEプログラムで、豊橋技術科学大学の電子情報専攻は「インテリジェントヒューマンセンシング」(詳細はhttp://tut.coque.jp/coe.pdfを参照してください。)というテーマで本年の3月までの5年間推進してきました。(全国の電子情報分野で20拠点。平成14年から16年に採用された全拠点数は、11分野で274件。本学のもう1件は、「未来社会の生態恒常性工学」です。)

  今回のグローバルCOEの採択数は、21世紀COEの半分になるということで、1年前ぐらいからいろいろな噂が流れていましたが、実際は12月の末に公募があり、2月中旬に申請書提出、3月中旬に1次書類選考結果発表、その後外国人レフリー用の申請書提出、そして5月17日に東京で最終ヒアリングが行われました。審査委員22名の前で、西永学長の全体説明の後、本学の「インテリジェントセンシングのフロンティア」を説明し、その後いろいろな質問攻めに会いましたが、回答できたと思います。一緒にヒアリングに出席した澤田先生、中内先生、そして事務の小玉係長を含め昼食を取りましたが、一杯のビールのおいしかったことはいまでも鮮明に覚えています。結果は別として大役を果たした安堵感からです。最終的に、結果を知ったのは、6月14日のメールで、丁度フランスのリヨンで開かれていたセンサ関係分野の最も大きな国際会議(1600名参加者)にアジアのチェアーとして参加していたときです(図1)。正式発表は15日でしたが、学長とリーダーには前もって連絡が入りました。帰国後、記者会見を18日に学長と一緒に行いましたが、電子情報分野は、13件(21世紀COEの半分の10拠点と新規3件を採用)と大変厳しいもので、東海地区は本学だけでした。小さい大学ながら、申請内容を何度何度も考え、議論し、発表用PPTを練ったワーキングのメンバー(9名 図2)のチームワークの勝利といえますが、今後の運営と推進のためには専攻の教員、学生、そして事務側の全面的な協力と支援をお願いするしだいです。
  テーマの「インテリジェントセンシングのフロンティア」ですが、これは各種センサなどを搭載したLSIのデザインからチップまで製造できる一連の設備を備えた世界的にもユニークなLSI工場を有する本学ならではの特徴を生かした教育研究拠点をめざしています。将来の情報化社会を支えるセンシング分野を国際的にリードするフロンティアとして、従来のセンサ技術の延長でなく、生体情報、医療、環境、農業などの分野の先端的「知」を取り入れたセンシングを開拓するとともに国際性を備え、リーダー的即戦力となる「センシングアーキテクト」(高いレベルの仕様を決め、全体が見える研究者)の育成をおこなう世界的センシング研究活動拠点をめざしています(図3)。そのために、博士課程学生へ20万円/月の支援(支給)など、人材育成に重点が置かれています。若い意欲ある多くの学生の皆さんが参加されることを期待しています。
https://www.tut.ac.jp/g-COE2.htm
http://www.gcoe.tut.ac.jp/work/index.html
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図3

 
 
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「とよはしTLO」の活動より
/(株)豊橋キャンパスイノベーション 代表取締役 社長 亀頭直樹(本学名誉教授)
 
 
 

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       「とよはしTLO」のメンバー

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京都会議での学長の法被姿

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「CPhI」での展示活動

 最近TLOという言葉があちこちで使われています。経済産業省のホームページを見ると、TLOとは、Technology Licensing Organization(技術移転機関)の略称です。大学の研究者の研究成果を特許化し企業へ技術移転をする、産と学の「仲介役」を果たす組織です。大学発の新規産業を生み出し、それにより得られた収益の一部を研究者に戻すことにより研究資金を生み出し、大学の研究の更なる活性化をもたらすという「知的創造サイクル」の原動力として産学連携の中核をなす組織となっています。
  国や国民が外から大学を眺めたときに、我が国の大学等には、研究資源の多くが集中しており、その成果の中には新規産業の「シーズ」として有望なものが多くあるはずなのに、それが産業に十分活用されているとは言えないという認識です。これを受けて各大学におけるTLOの設立を政策的に支援する「大学等技術移転促進法」(経済産業省・文部科学省提出)が平成10年5月に制定され、8月から施行されました。TLOが整備されることによって、研究者は研究に専念しながらその成果の特許化・産業化によって更なる研究資金を得るという「知的創造サイクル」の仕組みが実現します。本学でも平成16年4月に卒業生と教職員からの出資により株式会社豊橋キャンパスイノベーションを設立し、翌年9月に41番目の承認TLOとして国の認可を受け、その使命を果たすべく活動を行ってまいりました。
  本学各教員の発明特許の民間企業への紹介、特許やノウハウを活用するための共同研究の斡旋、逆に企業からの技術相談に対して専門分野の教員によるアドバイスからさらには共同研究への発展、産学共同での各種助成金への仲介なども行っております。そのための各種技術交流会などの産学交流事業も実施しております。 また今年からの新しい事業としては、経済産業省支援の中核人材育成事業として民間企業のアイシン精機や中部電力と連携をして、中小企業の技術者を対象とする環境・リサイクル関係の講義と実践を行う「環境管理人材育成プロジェクト」もスタートしております。また「TLOビジネススクール」も近々開講を予定しております。
  会社として創立の基本的なスタンスを守りながらも定款に基づいて、このような新しい分野へも事業を拡大しつつあります。豊橋技術科学大学のシーズと産業界のニーズのマッチングを図ろうと役社員一同努力しておりますので、産学の皆様方から“とよはしTLO”をご活用いただきたく念じております。
 
 
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国立大学法人 豊橋技術科学大学