昨年、日本金属学会の推薦とともに、放射光施設SPring-8で撮影したA356鋳造アルミニウム合金(自動車の足回り部品などに利用)の組織画像を「2006 International Metallographic Contest」に出展する機会を得ました。このコンテストは、米国の材料研究者のための団体「ASM International」の支部である「The International Metallographic Society」が主催する金属のミクロ組織写真の国際コンテストです。 そして、Digital Microscopy部門にて、二位に入賞することができました。この組織画像はSPring-8にて最先端の高分解能X線CTを利用することで、鋳造アルミニウム合金のミクロ構造である結晶粒界およびシリコン粒子の分布を三次元可視化したものです。金属材料になじみの無い方は、自動車の部品として使われているアルミニウム鋳造合金が複雑なミクロ構造を持っていることに驚くのではないでしょうか。このレベルの高分解能なCTは世界の放射光施設でも日本のSPring-8、ヨーロッパのESRF、そして、アメリカのAPSでしか行うことができません。これに加えて、我々は、X線で捉えることのできない結晶粒界に液体金属を浸透させることによって、これを観察可能とする工夫をしました。