概要
金属/空気電池は、負極活物質としての金属と正極活物質としての酸素から構成されることから、電池内部に正極活物質を充填する必要がないために高エネルギー密度を実現することができます。負極活物質の中でも、鉄は資源が豊富で安価である上に、充放電時にデンドライトの生成が起こらないため、二次電池への展開が期待されています。さらに、複合材料を用いて負極活物質を設計することで利用率を向上させることが可能となります。

従来技術
・バッテリーのライフサイクルが短い。
・液体金属空気電池は、バルクサイズの大きさと電解質漏れが課題です。
優位性
・バッテリーのライフサイクルの長期化。
・全固体電池設計による金属空気電池の小型化。
・安全で安価なバッテリーを生成が可能となります。
特徴
酸化物または金属粒子が埋め込まれた炭素ベースのハイブリッド複合材料は、液相合成法を使用して製造しています。複合材料は金属空気電池の負極活物質として使用しますが、下記のような方法で形成し検証しました。
- 酸化鉄粒子をカーボンペーパー上に吸着したものを、アルカリ水溶液と全固体システムの鉄空気二次電池の負極として使用。
- 液相合成で鉄粒子が埋め込まれたグラファイトカーボンネットワークを、アルカリ水溶液の鉄空気二次電池の負極として使用。
- 図のように、酸化物(酸化鉄)が埋め込まれた還元酸化グラフェン(rGO)複合材料を開発し、アルカリ水溶液の鉄空気二次電池の負極として使用。
【研究成果】
- 周期安定性の向上を達成しました。
- 三電極充放電試験にて、サイクル性能を大幅に向上させ、100サイクル後の容量保持性にも優れています。
- 独自の特性を持つ酸化物埋め込まれた還元酸化グラフェン複合材料大規模な製造が可能になる可能性があります。

実用化イメージ、想定される用途
・金属空気電池の負極材料
・全固体金属空気電池
実用化に向けた課題
・現在は液体金属空気電池の開発が主流となっているため、今後はイオン導電率が高い全固体電解質の開発を行い、より小型化を目指す必要があります。
・電池性能の向上ため、負極材料、電解質、正極材料を組み合わせた金属空気電池の相乗的な設計することが必要です。
研究者紹介
TAN WAI KIAN (タン ワイ キアン)
豊橋技術科学大学 総合教育院 准教授
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研究者からのメッセージ(企業等への提案)
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知的財産等
掲載日:2020年08月21日
最終更新日:2022年08月01日