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4月4日に平成28年度豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

イベント報告 | 2016年4月 5日


160405nyugaku1.jpg式の様子

160405nyugaku2.jpg入学生宣誓の様子

4月4日に平成28年度豊橋技術科学大学入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。  

入学生全員の名前が読み上げられた後、大西隆学長から学部入学463名(第1年次90名、第3年次373名)、大学院博士前期課程397名、大学院博士後期課程17名が入学許可されました。


学部生入学者代表の宣誓は次のとおりです。(建築・都市システム学課程 第3年次 明庭 久留実)

私達第1年次 90名、第3年次373名は、ただ今、豊橋技術科学大学に入学を許可されました。

私達はこれから工学の道に励み、社会の新しい要請にこたえ、世界にはばたいていくことのできる、実践的かつ創造的な能力を備えた技術者・研究者となるため、日々努力することを誓います。


博士前期課程 入学者代表の宣誓は次のとおりです。(電気・電子情報工学専攻 第1年次 小松 和暉)

この度、私たち397名は、豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士前期課程に入学することとなりました。

これからの2年間、私たちはそれぞれが専攻する分野において研究に励み、優れた技術者になるため、日々努力を重ねていく所存です。

さて、先月上旬に、グーグル社の開発した人工知能プログラムとプロ囲碁棋士が囲碁で勝負をし、人工知能プログラムが勝利しました。また、先月下旬には公立はこだて未来大学などの研究グループが、人工知能を用いて生成した小説が文学賞の一次選考を通過したことを発表しました。これらのニュースは、人工知能分野の発展の速さを著しく表しているといえます。 その一方で、同じく先月下旬にマイクロソフト社が開発した、SNSを用いて学習する人工知能が、SNSにおいて不適切な発言をし、公開半日でプログラムを緊急停止するといったこともありました。このように、科学技術の持つ潜在的な力は、時として技術者・研究者の予想の範疇を超える事態を引き起こすということを認識しなければなりません。また、進歩した科学技術が兵器として戦争で利用され、私達の身に牙をむくこともあります。私達には、科学技術の発展に対する先見性と正しい倫理観が求められます。

また、他にも環境・エネルギー問題、人口増加、食糧問題など地球規模で解決していかなければならない問題は山積みとなっており、これからの社会を担う技術者・研究者には、深い専門性と多元的な思考能力を併せ持ち、グローバルな視野で物事を解決していく能力が求められます。

このような技術者・研究者となり将来の日本を支えていくため、私たちは、技術で科学を裏付け、新たな技術を開発するという、本学の基本理念を念頭に置き、研究活動に対する明確な目的意識と、積極的かつ不撓不屈の精神を持ち、日々邁進していくことをここに誓います。


博士後期課程 入学者代表の宣誓は次のとおりです。(環境・生命工学専攻 第2年次 中川 陽子)

本日、私達17名は、豊橋技術科学大学大学院工学研究科博士後期課程の学生としてこの式典に参加できることを、心から嬉しく思います。

私達のいる社会はいま、科学技術によって、より快適でより安全な社会へと進化し続けています。その一方で、理化学研究所による新元素の発見や、ノーベル賞受賞者 大村教授による新薬の開発が示すように、世界にはまだ解明されていない挑戦的な課題が満ちています。

私達は今後、科学の進歩の一端を担う人材となるために、本学にて日々研鑽して参ります。自分の成すべきことを考え続け、国や分野の境を越えて活動の場を広げ、新たな価値の創造を世界に示すことができるよう、研究活動に邁進することを誓います。

160405nyugaku3.jpg学長式辞

160405nyugaku4.jpg吹奏楽団による歓迎演奏


大西学長からの式辞は次のとおりです。

皆さん、入学おめでとうございます。豊橋技術科学大学は、今年度877名の新入生を迎えます。3月に本学の学部や大学院博士前期課程を卒業して、さらに上の課程に進む方々もいますが、今日から豊橋での生活を始める文字通りの新入生も約500名(491名)名含まれます。特に、豊橋技術科学大学で初めて学ぶことになる皆さんは、できるだけ早く大学に慣れて、大学が一番居心地のいい場所と感じられるようにして下さい。これから、ここで、皆さんは多くのことを学び、自分で考え、やがて社会の第一線に巣立っていくのです。

大学を居心地のいい場所にするためには、いくつかのコツがあるかと思います。

まず、なるべく早く友人を作り、これまでの体験や、豊橋での勉強や課外活動について話し合えるようにして下さい。皆さんが、早く友人を作れるように、先輩や教職員から、様々な助けがあると思いますが、皆さん自身も積極的に同級生等に話しかけて、打ち解けて、いい友人を作るように心がけてください。  

次に大事なことは、教科の予習復習をしっかりやって、苦手な科目を作らないようにすることです。勉強についていくことができれば、大学での毎日の生活における心配は大幅に減ります。ぜひ、意欲的な学習態度を身に付けて、苦手意識を払拭するようにして下さい。  

それから、時々は、気分転換が必要なので、豊橋のまちに出かけたり、近くの海や山に出かけて、歩き回ったり、景色を眺めたり、歴史に触れるような機会を持つようにして下さい。日常生活の節目に、こうした、いわば気分転換になるようなイベントを入れると、気持ちを安定させる効果があるように思います。  

友達作り、予習復習、そして気分転換と3つのことを話しました。特に、最初の1年間くらいは時々この言葉を思い出して、自分の生活を点検してみるといいのではないかと思います。

さて、入学式に当たって、本学について、いくつかお話しておきましょう。進学生の皆さんは、既にご存じのこともあるかもしれませんが、改めて確認して、理解を深めるという気持ちで聴いてください。

本学は、今年の10月で開学40周年を迎えます。皆さんは、その記念すべき年に入学したことになります。皆さんの中で、3年次に編入学した方と大学院に入学した方の多くは、高等専門学校=高専の卒業生です。この点は本学の大きな特徴です。51校の国立高専とそれぞれ3校ある公立と私立高専からの卒業生の進学する大学という大きな特徴をもって設置されたのが、豊橋と新潟県の長岡にある技術科学大学です。この特徴は40年間変わることなく維持されてきました。1年生に入学した皆さんは、普通高校と工業高校の出身の方々です。皆さんが、本学で2年間学んだ後に、3年生になる時に、高専を卒業した学生が編入し、一つの学年が完成します。異なるバックグラウンドを持つ学生が同じ学年にいることは、習得してきた知識分野に違いがあり、とまどうこともあるかもしれません。しかし、本学に1年生から入学し、ノーベル賞級の研究をするに至った卒業生もいますし、本学の教授となった卒業生もいます。これまでの経歴によらず、本学のカリキュラムによって、十分な専門知識を習得することができます。安心して、勉強に打ち込んでください。また、本学は、文部科学省のスーパーグローバル大学に採択された大学であり、専門知識はもちろんですが、国際コミュニケーション能力を持った学生を育成することを大きな目標に据えています。この観点からみると、これまでの学習を生かし、それぞれの得意分野を伸ばしながら、国際コミュニケーション能力を有する人材に成長する道は多様です。本学では、今日入学したすべての皆さんが、その有力候補者で、誰もがこれからの本学での教育と個人の努力で、高い専門知識と優れた国際コミュニケーション能力を持った人材になることができると考えています。ぜひ、視野を大きく開いて、それぞれが、国際人となる道を歩んでください。

本学の校名は、豊橋技術科学大学といいます。技術科学という校名を持つのは、本学と長岡技術科学大学の二つです。ただ、皆さんは、これから、技術科学を「科学技術」と間違って呼ばれる場面に遭遇することになります。4文字熟語では、科学技術という用語がずっと頻繁に使用されるので、「科学技術大学」と呼ばれがちなのです。技術科学と科学技術は同じ言葉が逆の順番で組み合わされた用語ですが、私は意味が大きく異なると思っています。まず、科学技術は、科学と技術という二つの用語からなっています。つまり、様々な分野、特に自然界や物質界の諸事象の成り立ちや法則性などを探求する科学と、人が物を作る方法である技術という用語です。  

これに対して、技術科学は、少し限定された分野を指す一つの用語です。すなわち、人が物を作る、つまり技術を使うためには、材料の性質や、物質の加工などに関わる原理や法則を十分に解明することが不可欠です。これが技術科学です。材料や加工というと、工場でモノを生産するシーンが頭に浮かびますが、情報の伝達といった目に見えないもの、生命体を取り扱う分野、さらに建物や構造物、あるいは都市といった工場の中では作り切れないようなものも含みます。整理すれば、本学は、人が物質、あるいはそれだけではなく、生命のあるものを含めた自然界の諸対象に働きかけて、我々にとって必要なもの、有用なものを作り出す技術の原理を探求することを目的としており、そのことが校名にも書き込んである大学です。したがって、皆さんは、これから広い意味でのモノづくりを支える様々な技術が、どのような原理や法則、あるいはより一般的に、どのような知識に基づいて成り立っているのかを学びます。そして、間もなく、皆さん自身が学んだ知識をもとに新たな技術を創り出したり、あるいは新たな原理を発見したり、あるいは新たなモノそのものを作るようになるのです。

本学は、そうした皆さんの成長を長く見守っていきたいと思っています。

もう少し付け加えましょう。技術や物は様々な用途に使えます。もちろん、私たちの生活を支えてくれて、生活を便利に、快適に、あるいは楽しくしてくれるのです。しかし、常に、私たちの生活に役に立つだけではなく、時に苦しめることにもなります。5年前の東日本大震災による東京電力の福島第1原子力発電所の事故は、その典型例でした。残存する放射性物質のために、元々住んでいた場所に戻れない被災者が8万人以上に上ります。この例は、技術科学を探求する者は、人に役立つモノを作ることに専心して、人の役に立たなかったり、害を与えることになるモノは、あえて作らない勇気を持つことも必要だということを示しています。換言すれば、皆さんは技術科学を学ぶ者として高い倫理観を持たなければなりません。ぜひ、技術科学を学び、高い知識を持つ者としての生き方についても本学で学んでください。

さて、本学では開学40周年を迎えるにあたり、記念事業を行い、技術科学の学習や研究の設備をさらに充実させるつもりです。その一方で、皆さんの課外活動等の施設も充実させたいと思っています。学習や研究を進めて成果を上げるためには、健康な体と心が備わっていることが大事です。部活動で体を鍛えたり、好きな活動を通して、精神的な満足感を高めることは心と体の健康増進につながります。もう一つ重要なのが食生活です。大学進学を機会に家族と離れて、学生宿舎やアパートでの生活を始めることになる方も多いと思います。毎日の食事を規則正しく、栄養のバランスよく摂ることは、健康管理の面でとても大事です。本学では、本日から200円で食べられる朝食を食堂で提供し始めました。既に試した人もいるかもしれません。「規則的で、栄養バランスのいい食事は朝食から」、という考え方を定着させるべく、大学が40%程度の補助金を出して、200円で朝食を、「めざましごはん」と銘打って提供することにしました。新入生の皆さんは是非8時から9時30分の間に、食堂で朝食を食べる習慣をつけてください。朝食や昼食などの食事で、味、量、値段などに注文があれば、それを食堂のメニューに反映させることができるような仕組みも作っていきます。利用者である皆さんと、大学と、食堂の運営会社の協力によって、皆さんの食生活を支える大学食堂を作っていきたいと思います。これも40周年記念事業の重要な柱と考えています。

それから、これまでの経験からみると、入学式を経て、大学での新生活が始まると、いろいろな悩みや不安が生まれるようです。生活や、その環境が大きく変わるのですから、やむを得ないとも言えます。本学では、皆さんが抱える様々な悩み、あるいは不安をできるだけ軽くするために、様々なサポート体制を組んでいます。クラス担任や指導教員が相談に応じるのはもちろんですが、全学の施設として、なんでも相談窓口、健康相談窓口といった相談窓口を用意しています。一人で悩んだり、不安を抱え込まないで、気軽に相談するという習慣をつけて欲しいと思います。相談することで、皆さんが学業面などで不利になったり、あるいは相談すること自体が他の人に知られるという心配は不要です。学生諸君が、平穏な気持ちで、学生生活を送る環境を整えることは本学としても大きな関心事なので、全面的にサポートしていきたいと考えています。こうした、サポート体制も40周年を機に一段と強化していきます。

本学は、こうして、今日多くの入学者を迎えますが、全体では、学生数約2200人あまり、教職員数500人程度の、それほど大きくない規模の大学です。それだけに、顔の見える、お互いが分かり合えるキャンパスライフを形成できるはずです。これからの桜の季節には、花見もいいと思います。近くには太平洋を眺められる海岸もあります。学内や付近を舞台にした様々な楽しみの機会を共有して、思い出に残る大学生活を今日からスタートさせてください。

締めくくりに、感謝の言葉を述べます。本学にご子弟を入学させた保護者の皆さんには、お礼を申し上げます。本学はこれまで申し上げてきたような方針の下で、大学や大学院という仕上げの教育をしっかり行っていきます。もし、ご家族の皆さんから大学へのご要望があれば、何なりと仰ってください。できるだけお応えするよう努力します。  

また、本学は、40年前に、豊橋の有志の皆さんの熱い思いによって、誘致されて生まれました。それ以来、地元の皆さんは常に温かい気持ちで本学の学生を支援してくれています。入学生の皆さんも様々な機会に地元の方々との交流を楽しむようにして下さい。  

本学は、全国で86ある国立大学の一つです。国立大学は、国民からの租税を原資とする国からの資金によって運営されています。入学式を機会に、こうした国民各位に感謝の意を表し、本学での教育研究活動を通じて、国民の期待に応えていくことを表明したいと思います。

改めて、入学おめでとうございますと申し上げて、式辞とします。ご清聴ありがとうございました。



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