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増本 健氏(公益財団法人電磁材料研究所 理事長)を講師に迎え、第19回榊プロデュースプレステージレクチャーズを開催しました。

イベント報告 | 2012年6月14日


P5313350 (1024x768)_small.jpg  講演する増本氏
 
 

P5313390 (1024x768)_small.jpgスーパーリーダー塾の様子

 

 5 月31日に公益財団法人電磁材料研究所 理事長、東北大学 名誉教授 増本 健氏を講師にお迎えして、A2-201講義室にて第19回榊プロデュースプレステージレクチャーズをテーラーメイド・バトンゾーン教育バトンゾーン特論第二講義との共催で開催しました。

 

今回の講義では『金属材料における新たな展開–アモルファスからナノへ-』と題し講演いただきました。

 

まず、本題であるアモルファス金属に入る前に、金属の構造について、結晶、準結晶、アモルファスの三つの構造を説明されました。準結晶は、2011年のノーベル化学賞を受賞したShechtman博士が発見した特殊な対称性(5回対称性)をもつ構造で、素人には理解しにくい構造と言われています。増本氏は、5片の花弁をもつ桜の花や美しい準結晶の写真を示しながら、この構造について大変わかりやすく説明してくださり、アモルファス構造に多く含まれていることなどを示してくださいました。

 

次に、ご自身がアモルファス金属の研究を始められてから、実用化にいたる研究・開発のお話をされました。アモルファス金属につながる研究を始めるに至る研究の個人史を、東北大学の教官になられた当時の学生運動が盛んだったころの時代背景やエピソードを交えながら語っていただきました。機能材料であるアモルファス金属をテーマとされ、やがて画期的な製造法である液体金属を一気に冷却する超急冷法を発見、装置化まで行われたことをお話しいただきました。アモルファス金属の性質の研究を超えて製造装置の開発までを行われたお話しには、同氏の大先輩にあたるKS鋼の発明で有名な本多光太郎博士以来の実学精神が脈々と受け継がれていることを聴講者一同実感しました。

 

最後に、大量生産、大量消費に対応した20世紀の材料技術から、これからはナノ構造やナノ組織を制御した省資源、低環境負荷、高機能・多機能な材料技術が求められていることを話され、全元素の3/4を占める金属の性質もこのようなトレンドに沿って研究を進めていくことが重要であると結ばれました。

 

講義後半のスーパーリーダー塾『トップと語る会』では、増本氏とテーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム履修学生(TB学生)による座談会がおこなわれました。学生からは、同氏が現在の研究テーマを選ばれた経緯や研究のニーズとシーズに関する質問があり、増本氏は必ずしもすぐに役立つことだけが研究の目的ではなく、研究がどれほど広い分野に影響力を持つかが大切なことと述べられました。材料の基礎研究から製造装置の実用化まで、これまで最先端を走ってこられた同氏の言葉に、あらためて履修生一同が自らの研究姿勢を深く問い直す貴重な座談会となりました。

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