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Chapter01

世界に開かれた大学−豊橋技術科学大学の挑戦/学長 大西驕iおおにし たかし)
間もなく発表予定の学長としてのビジョン(大西プラン)で、「多文化共生・グローバルキャンパスの実現」を挑戦課題の1つ目に掲げます。本学には、既に全学生の7.5%に当たる165人の留学生が在籍していますが、これからはその数がさらに増える見込みであるとともに、日本人の学生で、留学や海外実務訓練などで、海外での学習や研究を体験する学生の割合も増えていくと考えています。国内の出身地はもちろん、国籍も問わずに多様な文化的背景を持った学生や教職員が、互いに認め合い、高め合う環境をつくることが、多文化共生・グローバルキャンパスの意味です。日本社会全体がグローバル化する中で、本学はその最先端に位置する気概を持ちたいと思います。

こうしたチャレンジに繋がるように、本学では、現在4つの大きな事業を実施しています。

まず、第1に、長岡技術科学大学、国立高等専門学校機構の各高専とともに行っている「国立大学改革強化推進事業」です。本学では、海外教育拠点(マレーシア・ペナン校)を設置して、学生の実務訓練、教職員の研修、マレーシア科学大学などとの研究交流等を進めています。私も2014年12月にペナン校での国際会議等に参加する機会がありましたが、幸いにも先方の高等教育機関も交流に熱心で、よい成果が得られることを確信しました。

第2は、私立大学を含む19大学のひとつとして採択された「研究大学強化促進事業」です。本学の高い研究力が認められ、大型で総合的な国立や私立大学に伍して、選ばれたもので、技術科学の成果が確実に社会に生かされるように、民間企業の応用力や製品開発力とも連携していきたいと考えています。

第3は、「博士課程教育リーディングプログラム(複合領域型・「情報」)」に採択され、脳科学の領域で、技術科学を生かす研究分野を確立する事業を進めています。ヒトの脳に関わる情報を集積し、理解し、応用することによって、医療から機械設計、電気、建築、土木に至る幅広い分野での応用を考えていきます。

第4は、2014年に採択された、「スーパーグローバル大学創成支援事業」です。本学の持つ技術科学分野における高い教育・研究水準を背景にして、学生の構成、教育・研究活動、さらにキャンパスの運営に至るまで、あらゆる面でのグローバル化を進めていこうというのがその目的です。

これらの4大事業は、2012年から2023年にわたる長期の事業です。一つひとつの事業をしっかりと成功させることによって、本学が地域に根差しながらも、世界の様々な場所で活躍できる人材を生み出す大学へ一段と飛躍する機会としたいと思っています。もちろん、その基盤となるのは、本学の構成員である学生、教職員が、充実した大学での活動を送り、それぞれが成果を上げ、向上していくことです。小規模大学の利点を生かして、個が尊重され、個の役割が重視されるキャンパスを創ることを通じて、これらの事業を進めていきます。
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Chapter02

グローバル人材育成に向けて/理事・副学長 大貝彰(おおがい あきら)
2014年10月、本学は文部科学省が公募した「スーパーグローバル大学創成支援」事業に申請し、採択されました。名実ともにグローバル人材育成のための大学として新たな歩みが始まったと言えます。

本学における本事業の中核となるのが「グローバル技術科学アーキテクト」養成コースの全学展開です。これは、全課程・専攻に同コースを新設し、機械、電気・電子情報、情報・知能、環境・生命、建築・都市システムのすべての分野でグローバル人材育成に取り組むことを意味します。目指す人材像は「高い技術力と科学的素養に裏付けられ、グローバルな課題を発見し、分析・解決するための俯瞰的な構想・設計力を有して、具体的なモノ作りを主導できる人材」としていますが、これは各分野を横断する横串的人材像とも言えます。従って、平成29年度からの本コース学生受け入れに向けて、各課程・専攻ごとに、より具体的に育成すべき人材の資質や能力等を明確にし、それを実現する教育の体制を整えることが求められています。

ところで、そもそもグローバル人材とはどんな人材なのでしょうか。文部科学省のグローバル人材育成推進会議が平成23年4月にまとめた「産学官によるグローバル人材の育成のための戦略」では、「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」と定義しています。そしてそのような人材の資質・能力を
要素T:語学力・コミュニケーション能力
要素U:主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素V:異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ
の3つに整理し、加えて「幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークとリーダーシップ、公共性・倫理観、メディアリテラシー等」を挙げています。

翻って、本学がこれまで目指してきた実践的創造的かつ指導的技術者像とその教育実践と照らし合わせてみると、これから本学が目指すグローバル人材育成は、これまでの教育実践の延長線上にあると言えます。それらを基盤に語学力・コミュニケーション能力の強化と多文化共生のための資質を身に付けさせることが新たな要請です。

たとえば、建築・都市システム学系では、平成22年度から3か年の間で、らせん型技術者教育モデル構築のため、ラボワークを基盤とした実践的建築・都市デザイナー養成のためのキャリア教育プログラムの構築を進めてきました。そこでは、大学キャンパスそのものを建築構造や設備を学ぶラボと捉えた「オンキャンパス・ラボ」、研究室を地域社会に開放し地域の諸団体や住民と協働で学ぶ「オープン・ラボ」、学外に設置しているサテライト・ラボを拠点に地域をフィールドとして地域と協働で学ぶ「サテライト・ラボ」の3つのラボワークによる実践的教育を行ってきました。そこで培われた資質・能力は、学生自らが課題を発見し、課題に自ら向き合う主体性・積極性、課題解決へのチャレンジ精神、グループワークによるディベート力やコミュニケーション能力、グループで解決策をまとめるチームワーク力や協調性、あるいはリーダーシップや責任感でした。つまり、語学力や異文化への理解、多文化共生の視点を除くほぼすべてのグローバル人材に求められる資質・能力を養成する教育基盤はすでにあると言えます。今後は不足分をアドオンすることが求められます。

以上は一つの事例でした。それぞれの課程・専攻はこれまでに実践的技術者育成のための十分な教育実績を有しています。これらを基盤に語学力向上と多文化共生をアドオンすることで、目標とする「グローバル技術科学アーキテクト」の育成が可能になります。本学の人材育成からみれば、スーパーグローバル大学創成事業は正にアドオンの取組です。肝要なのは、これまで蓄積してきた教育実績と基盤を踏まえ、グローバル人材像を常に念頭に置きつつ、実践することと考えています。
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Chapter03

日本の大学の国際化を牽引する「スーパーグローバル大学」に選定されました/スーパーグローバル大学創成事業推進本部 副本部長 高嶋孝明(たかしま たかあき)
豊橋技術科学大学は、文部科学省が日本の大学の国際化を牽引するトップ大学と認定して重点支援する「スーパーグローバル大学」37校の一つに選定されました。

<スーパーグローバル大学>
図1 豊橋技術科学大学スーパーグローバル大学構
    想全体の概要
日本は少子高齢化が進み若者人口が減少しています。その一方で世界に目を向けると、新興国を中心に高等教育を受ける若者人口が爆発的に増大して、教育が追いつかない重大な課題に直面しています。この課題を解決し、日本のみならず国際社会の持続発展に貢献するには、日本の優れた高等教育を世界に開き、優秀な国内外の若者と研究者人材を広く受け入れる、すなわち日本の大学の国際通用性、ひいては国際競争力を高めることが不可欠です。

文部科学省はこの大学改革を推進するため、世界レベルの教育研究を行う大学と、国際化に果敢に挑戦して国際化のモデルとなる大学を「スーパーグローバル大学(SGU)」として重点支援する決定をしました。SGUは、世界ランキングトップ100位に入ることを目指す大学「トップ型」と、国際化への取り組みの先導モデルとなる大学「グローバル化牽引型」の二つからなります。文部科学省が全国の大学から公募して、トップ型が13校、グローバル化牽引型が24校選定されました。

本学は開学以来、国際的な研究交流や海外からの留学生受け入れに積極的に取り組んできました。それらを一層推進し、大西学長の「多文化共生・グローバルキャンパスの実現」というビジョンの下、真の国際競争力ある大学となることを目指して、「グローバル化牽引型」に申請し、採択されました。

<豊橋技科大スーパーグローバル大学構想の背景>
図2 構想の背景
インターネットやIT技術による情報通信の発達と、ビジネスモデル革命による現代の国際経済社会は、グローバル3.0時代と呼ばれています。[トーマスフリードマン著:フラット化する世界]

グローバル1.0は、製品開発と海外輸出志向で、経済力を持つ先進国と企業が主導した時代です。この時期の高度経済成長を支える技術人材育成の要請を受け、1962年に高等専門学校(高専)が創立されました。オイルショックを境に、顧客志向の製品開発・製造の現地化が進んだ時期がグローバル2.0です。高専の上級高度技術者の育成という時代の要請を受け、1976年に豊橋技術科学大学と長岡技術科学大学が創立されました。

その時代も、2008年のリーマンショックを境に大きく変動します。新興国や個人が世界の経済舞台で活躍可能となり、経済力に物を言わせて自前主義・垂直統合で牽引してきた先進国と企業に揺らぎが生じます。国境を越えた資本や情報、人材の移動が加速し、これまでになかった新たな価値の提案や社会課題の解決が中心課題となります。その実現をするのが、オープンイノベーション・水平連結が先導するグローバル3.0時代です。

<グローバル技術科学アーキテクト>
図3 グローバル技術化学アーキテクトの養成
      に向けた施策
スーパーグローバル大学構想の検討にあたり、グローバル3.0時代に必要とされる人材像を議論しました。その結果、グローバルな課題を発見し、分析・解決するための俯瞰的な構想と設計力を有し、具体的なもの作りを主導できる、高い技術力と科学的素養に裏付けられた上級技術者であると結論付け、「グローバル技術科学アーキテクト」と名付けました。

「アーキテクト」は、設計思想・観念を意味するギリシャ語が語源です。狭義には建築家を指しますが、広義には俯瞰的な構想・設計力を有する上級者を指します。また、これからの世界で特に重要な資質として、(1)グローバルコミュニケーション能力、(2)多様な価値観の下での課題解決能力、(3)世界に通用する人間力を高いレベルで備えることを目指します。 その実現に向けて、以下の新しい取り組みを開始します。
●「グローバル技術科学アーキテクト養成コース」の新設
●コース履修生のための全寮制シェアハウス型グローバル宿舎「技術究創舎」の新設
●重層的なグローバル人材循環の実施により、学生・教員・事務職員すべての多国籍化と国際通用力の強化推進

これらを通じて、国内外の学生・教員・事務職員が、言葉や文化の壁を超えて一つになって切磋琢磨する環境「多文化共生・グローバルキャンパス」を実現します。それにより、真の国際通用性を備え、グローバル社会でのプレゼンスと価値を飛躍的に高め、国境を越えた技術科学人材と知識・技術の流動化を全世界レベルで展開する技術科学大学へと変革することをゴールとするものです。 この道のりへのチャレンジには学内全員の理解と参加が不可欠です。さらに学外の理解とご協力も欠かすことができません。豊橋技術科学大学が今後より一層発展できますように、学内外の皆様の更なるご理解とご協力を賜りたく、どうぞよろしくお願い申し上げます。

構想調書全文および取り組みの内容をホームページに公開しております。今後具体化が進むにつれてアップデートしてまいります。また皆様からのご意見ご質問などございましたら、貴重なご意見として参考にさせていただきますので、ぜひ下記連絡先にお寄せください。

URL: https://www.tut.ac.jp/superglobal.html
連絡問合せ先: sguoffice<a>office.tut.ac.jp(<a>は@にして下さい。)
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