化、そして社会人教育の拡充へと段階的かつ体系的に発展を遂げてきた。これらの継続的な教育改革は、単なる専門知 識の伝達を超え、広い視野と柔軟な思考力を持ち、グローバル時代を牽引する創造性・国際性・実践力を備えた高度技 術者を育成するための確固たる教育システムとして結実している。 3.3.1.2 らせん型教育 本学における「らせん型教育」は、単なるカリキュラムの構造的工夫から始まり、学生のキャリア形成や社会実装力 育成を包括する総合的な教育設計へと深化を遂げてきた。 本学の「らせん型教育」は学部および大学院を一貫する教育の中核として明確に位置づけられていた。これは、学部 1・2 年次あるいは高等専門学校において学修した知識、技能を土台とし、3 年次以降において高い次元で反復し、積み 上げていくことで、学生の知識、能力を段階的かつ継続的に高めるカリキュラムとなっている。学部4年次において、 企業や研究機関において 7 週間にわたり研究、開発、設計などの実務を経験する産学連携した共創教育である「実務訓 練」により、具体的な課題に対するアプローチや解決策を学び指導的技術者に必要な人間性と実践的な技術感覚をも身 につけることを目指すものである。 平成30年度から令和元年度にかけては、らせん型教育の効果と実装可能性について内部評価および制度検討が進め られ、教育体系の見直しと深化に向けた準備期間となった。カリキュラム構造の見直しをはじめ、高専編入生との接続 や学部・大学院の連携について検討が継続され、らせん型教育の理念を保持しつつも柔軟な教育体系へと更新する土台 づくりが行われた。 令和 4 年度には、大学の将来ビジョンにおいて、従来のらせん型教育の理念を引き継ぎつつ、新たに「動機駆動型教 育(新らせん型教育)」の構築が掲げられた。ここでは、学生が自ら考えて学び合う学習プロセスが重視され、従来の らせん型の反復深化に加えて、主体性や創造性を育む教育への転換が志向された。このビジョンにより、らせん型教育 を単なる科目順序の設計に留めず、学生の学習動機と密接に関連付けて確かな教育成果へと繋げる構造へと進化させる 方向性を打ち出した。 COVID-19 の影響により、従来から行われている対面授業とオンライン・オンデマンド授業のハイブリッド化が進ん だ時期であったが、らせん型教育が継続され、学修成果の連続性に配慮したカリキュラム設計が続けられてきた。 国立高専機構は、平成 30(2018)年度から入学したすべての学生にモデルコアカリキュラムを導入した教育を実施し、 高等専門学校の教育は一層高度化している。学部学生の 80%を学部 3 年次に高専からの編入生を受け入れる本学では、 モデルコアカリキュラムに則った高度化している高専教育との連続性、接続性を担保し、高度専門人材育成のために本 学の教育システムを見直すことが必要となっている。また、複雑かつ予測困難な社会課題を、従来のような単一の専門 知識・能力だけでは解決することが難しい状況であり、今後、急速に変化する産業構造、社会構造にも柔軟に対応でき る技術者・研究者が求められている。このため、デジタル関連技術だけでなく、さらに複数の専門分野の知識・能力を 有している社会情勢の変化にも対応ができる高度専門人材が必要とされる。このような状況から本学の現行のらせん型 教育では高専教育との重複を前提としているために本学のカリキュラムは過密となっており、現行の他課程の科目を広 く履修することにも制約があり、真に学際的な学びができない状況にある。このため、本学のらせん型教育を改めて見 直す時期にあり、令和 9 年度からの教育組織の再編成が検討されている。 97 II 転換の10年
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