豊橋技術科学大学五十年史

難となった結果として相談内容が深刻化し、よりきめ細やかな継続支援が必要となったことが、延べ件数の押し上げに つながったといえる。なお、こうした状況下で孤立しやすい学生がなるべく早期に相談につながることを目的として、 ホームページからの予約やWeb面談、グループ活動といった新たな試みを導入した。コロナ禍がアクセシビリティや アウトリーチの面において学生相談の枠組みが広がる契機となったことも付記しておく。 2.2 支援の二極化と「きめ細やかな支援」の必要性 近年の傾向として、支援の「二極化」が鮮明になっている。全来談者の約40%~50%は、5回以内の面接で終結に 至る層である。この層では比較的軽微な段階での悩みや身体的不調での相談が多数を占め、迅速なアドバイスや環境調 整によって早期解決に向かうケースが多い。一方で、長期かつ多頻度の支援を要する層も確実に存在し、かつ年々増加 傾向にある。この層の学生は、対人トラブル、学力不振、心身の不調に加え、発達障害の特性や希死念慮など、複数の 要因が複雑に絡み合っていることが多い。こうしたケースでは、単一の相談スタッフによる対応には限界がある。相談 部門内の専門スタッフが連携・協働し、さらに必要に応じて学内外の関係部署とも連携するといった、年単位で伴走す る「きめ細やかな支援」が不可欠となっている。 3 相談内容の深化と専門性の向上 3.1 多様化する支援ニーズ 相談内容は、例年「修学・進路」を軸とし、特に行動支援(研究室活動への適応、就職活動の準備など)や環境調整 を求める声が増加している。一方で自己理解の促進やセルフケアといった心理的アプローチへのニーズも根強い。学生 の多様化や、社会情勢の変化に対応するため、現在は学生相談部門にも修学支援やキャリア支援の専門家を配置し、個々 の特性や状況に応じた専門性の高い支援を提供している。単なる悩み相談に留まらず、学生が充実した学生生活を送り ながら自己理解やセルフコントロールを獲得して社会へ踏み出せるよう、環境を調整しつつ経験を通じた成長を支援す る体制へと進化を続けている。 3.2 学内連携と環境調整の要 学生支援の要は、本人の了承に基づく「多機関・多職種連携」にある。困難なケースほど、相談室内だけでなく指導 教員やクラス担任、学生課や教務課、学校医をはじめとした学内関係部署、保護者、さらには外部支援機関などとの緊 密な連携が求められる。特に本学の特色として、研究室における配慮や環境調整へのニーズが非常に高い。教員との情 報共有や連携した見守りを軸に、時には「危機介入」として所属系と一体となった支援体制を構築し、学生の安全と修 学継続・進路選択を支えている。 3.3 アウトリーチ型支援への転換―「待つ支援」から「届ける支援」へ― コロナ禍を経て、自ら声を上げることが難しい学生が潜在化している懸念がある。これに対し、本学では従来の「来 室を待つ」スタイルから、積極的に働きかける「アウトリーチ型支援」を強化している。具体的には、学部 1 年生全員 を対象とした面接(B1全員面接)の実施、グループワークや学生相談セミナーを通じた様々な経験の場の提供、各系 に対する学生・保護者対応に関する情報提供などを展開している。これらは単なる問題解決のためだけでなく、学生が 259 Ⅲ 学園生活

RkJQdWJsaXNoZXIy NDY3NTA=