豊橋技術科学大学五十年史

3.7 対外関係 3.7.1 高専連携 3.7.1.1 はじめに 本学は、創設以来一貫して高等専門学校(高専)との緊密な連携を教育・研究・地域貢献の根幹に据えてきた。高専 本科卒業生を主たる 3 年次編入生として受け入れ、実践的・専門的能力をさらに高度な研究段階へと接続する教育体系 は、本学の最大の特色であり、「技術科学大学」という制度設計そのものの体現である。全国の国立高専は 51 校 55 キャ ンパスを擁し、毎年約 9,000 名の本科卒業生を輩出している。そのうち約 4 割、3,500 名程度が大学や専攻科へ進学する。 本学及び長岡技術科学大学への進学者は合計で約 700 名、進学希望者の約 2 割に相当する。この割合は決して小さくは ないが、近年は一般大学への編入枠の拡大や専攻科の高度化が進み、進路は多様化している。また、両技科大出身の高 専教員の割合も徐々に減少しつつあり、設立理念の共有が自然に維持される状況ではなくなっている。このような環境 変化の中で、本学は高専との関係を改めて戦略的に再定義し、量的拡大から質的深化へと舵を切ってきた。 3.7.1.2 組織的高専連携の始動 高専連携を明確に組織化したのは、2004年の国立大学法人化を契機に設置された「高専連携室」である。ここを起 点として、高専訪問、教育課程の接続検討、教員間交流の推進など、体系的な取り組みが開始された。第一期から第三 期にわたり、連携の土台が着実に築かれていった。大きな転換点となったのは、2012年度に採択された三機関連携教 育改革事業である。本学、長岡技術科学大学、そして国立高等専門学校機構が連携し、「世界で活躍し、イノベーショ ンを起こす実践的技術者の育成」を掲げた本事業は、従来の延長線上を超える広がりを持っていた。この事業により、 教育、研究、FD、グローバル人材育成を包含する包括的連携体制が整備され、人事交流や共同教育、研究力強化支援 などが制度化された。二つの技科大が全国高専ネットワークの中核拠点として機能する枠組みが確立されたのである。 その成果を受け、2016年には「高専連携推進センター(KOSEN Liaison Center: KOSEN LinC)」を設立した。これ は単なる組織改編ではなく、高専連携を大学全体の戦略として再編成する試みであった。専攻科生向けのグローバルリー ダー入試制度やスーパーグローバル大学に関連したグローバルアーキテクトコース(GAC)生の受け入れ開始等、国 際プログラムの拡充をはかり、連携の高度化と国際化が進められた。 3.7.1.3 高専連携地方創生機構(MILLA)の創設 三機関連携事業(2012 ~ 2017 年)を通じて教育・研究の底上げは達成されたが、その成果を地域経済や産業活性化 へ十分に波及させるという点では、なお課題が残された。地方創生政策の本格化、地域産業のDX・GX対応、人材不 足の深刻化、研究費競争の激化など、大学を取り巻く状況は急速に変化していた。こうした背景のもと、2022年度か ら「高専連携地方創生機構(Institute for Community Innovation in collaboration with KOSEN: MILLA)」が設置された。 本改組は、文部科学省概算要求事業「高専連携地方創生機構の展開・強化―高専と中小企業等との協働による地方 DX・GX 人材育成―」の支援を受けて実現したものである。MILLA は図 1 に示すような 4 部門体制をとり、鹿児島高 専、長野高専、鈴鹿高専に豊橋技術科学大学サテライトを設置している。高専と大学の連携を「制度的協力」から「地 206 豊橋技術科学大学五十年史

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