豊橋技術科学大学五十年史

ラルアーツ入門」の誕生である。また、本学全体の時間割や教育課程を変更するのは簡単ではないこと、初めての試み であること、1年次入学生が3年次編入生によい影響を与えることを期待して、1年生対象の選択科目(ただし前期木 曜 1 限にこの科目だけ配置した)とし、それをもとに 3 年生、大学院生への展開を模索することとなった。 「リベラルアーツ入門」は、本学が開学以来掲げてきた、高度な技術者には、高い技術力だけでなく、コミュニケーショ ン能力や問題解決能力などを備えた人間力が必要であるという理念を継承すると同時に、これからの時代に求められる リベラルアーツ教育を具現化するものであった。具体的には、「対話力/アカデミックスキル」を養成しながら、リベ ラルアーツとは何かを知り、「大学での学び方」を身に付けることを目標とした。最大の特徴は、単なるオムニバスで はなく、専門領域の異なる教員が同時にクラス内にいて、学生が複数の学術的視点を自然に体験できる設計になってい る点である。学生20名×4クラスとし、各クラスに責任教員を配置し、それぞれのクラスにゲスト教員が参加する形 態とした。責任教員による詳細な報告があるので、ぜひお読み頂きたい4。 「リベラルアーツ入門」は、1 年生のほぼ全員が受講し、アンケート調査でも下記の如く驚くべき結果が得られた。 1.この授業に興味・関心が持てたか:24 年度・25 年度 持てた+どちらかというと持てた:97%・99% 2.リベラルアーツ入門のような講義をまた受けたいか 受けたい+どちらかというと受けたい:96%・96% 3.この講義を受講して、あなたの考え方で変わったことがあれば教えてください。 ・どの問いにも答えを見つけようとしてしまうことが多くあったが、この講義を受講して、全員が同じ答えで はなくてもいいという考え方に変わりました。 ・人の考え方が大きく変化することはないと思っていたが、この授業を通して私自身の考えが大きく変化する ことが何度もあり、深く納得できる事柄には考え方を大きく変える力があるということを知った。 ・疑問などが浮かびやすく、それについて探究し結論まで持っていく考え方になった。 10.2 授業外での展開 「リベラルアーツ入門」の担当教員を始め、総合教育院の何人かの教員は、課外活動の指導や、各自の研究室で読書 会や勉強会を開催しており、授業に加えて、より深いリベラルアーツへと学生を誘い、教員と学生が直接対話し学びを 深める場を創出している点も、特筆すべきである。 10.3 理工学リテラシー 1年生を対象とした「リベラルアーツ入門」と同時に、2年生を対象とした「理工学リテラシー」も新設した。この 科目は、1 年次入学生が 3 年生になったときに、高専で卒業研究に取り組んだ経験のある 3 年次編入生とスムーズに合 流できるような基礎能力を身に付けることを目的とし、自然科学分野のリテラシーや基本的な考え方、工学的センスや 問題解決の姿勢を実践的、 主体的な学習によって養成しようとする科目である。 4 中森康之,岩内章太郎,岡田浩,中村大介,稗田睦子「特集:「リベラルアーツ入門」新設の経緯と授業報告」(『雲雀野』第 47 号 2025年3月) 179 II 転換の10年

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