豊橋技術科学大学五十年史

10 年近くたち、リベラルアーツ教育を見直す時期に来ていることが浮き彫りになったのである。 そこで、若手教員を中心に、社会状況や学生の気質の変化に対応し、内実も外見も魅力的な新しいリベラルアーツ教 育を構想する検討チームが結成された。幸い多くの教員が積極的に参加し、この後数年にわたって熱い議論が重ねられ ることになった。 本学のリベラルアーツ教育を受けた技術者は、そうでない技術者と全く質が違うと学生自身が実感でき、社会からも そう評価されるリベラルアーツ教育を構築するため、総合教育院の教員が一丸となって検討を開始したのである。 6 2020年度 本年度は、大変な年度だった。新型コロナウィルス(COVID-19)感染症の拡大である。入学式は中止となり、学生 も教職員も大学に入れず、前期の始業も延期され、今後どうなるかも分からない日々が続いた。大幅に開始が遅れた前 期授業は、完全オンデマンドで行われた。リベラルアーツ教育改革検討の開始早々、大きな困難に見舞われたが、結果 的にはこの経験もリベラルアーツ教育改革に役立てられることになる。 6.1 オンライン授業 学生も教職員も、手探りしながら何とかオンライン授業(オンデマンド授業)を進めた。そこには大きな困難もあっ たが、リベラルアーツ教育について深い知見をもたらすことにもなった。それは、単なるノウハウに留まらず、「対面 授業とオンライン授業の本質的な差異」、「教育における「場」の重要性」、「教育における「偶然性」や無駄の重要性」 といった教育の本質に関わる知見である。知識伝授に留まらないリベラルアーツ教育を実施している私たちは、この問 題を自ら考え、可能な限り意見交換を行いつつ、日々の授業に取り組んだ。その結果、リベラルアーツ教育を担うきち んとした組織が存在することの意義、そして教員と学生が同じ空間で学ぶことの意義を再確認することもできた。オン ライン授業が普及する中、ネット上には良質なコンテンツが多数用意された。今後のリベラルアーツ教育は、それらを 有効活用しながら、同時に、学生と同じ「場」を共有しなければ出来ないリベラルアーツ教育を構築する必要があるこ とが明らかになったのである。 6.2 リベラルアーツ・オンライン 大学に来ることが出来ない学生のため、総合教育院の有志が立ち上がり、学生生活や学習支援のための様々な企画を オンラインで行う「リベラルアーツ・オンライン」を開設した。具体的には、「技科大生に高専生活・技科大生活を聞 いてみよう!」(院生に高専生活や今の技科大生活について自由に話してもらう企画)、「Meet でラジオトーク」(総合 教育院の教員がパーソナリティのようになって、技科大の学生とゆるく交流する企画。ラジオ感覚で「聞くだけ」参加 もOK !)のほか、「課外活動団体活動紹介」、「ビブリオバトル」、「オンライン読書会」、「ZOOM開けっ放し」など様々 な企画が実施された。これは、不安な日々を過ごしていた学生に少しでも寄り添おうとした試みであり、総合教育院の 教員たちの熱意と教育力を示したものだったと自負している。 6.3 シンポ「ウイズ/アフターコロナ時代における本学の取組および将来改革に向けて」 まだ完全にコロナ禍が収束していない 2021 年 2 月 24 日に、早くも「ウイズ / アフターコロナ時代における本学の取 176 豊橋技術科学大学五十年史

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