豊橋技術科学大学五十年史

5)国際化について 学部ではグローバル教育を実施しているが、基本は日本語での教育であるため、日本語能力を習得した学生を受け入 れている。モンゴルからは、日本の10大学でコンソーシアムを結成し、モンゴル技術科学大学で日本語による2年間 の教育を受けた学生を 3 年次編入で受け入れる事業に参画し、複数名の留学生を受け入れた。その他、マレーシア、モ ンゴル、カンボジアなどから自国の政府奨学金を得て高専を卒業した学生も 3 年次に編入学しており、学部には毎年複 数名の留学生が在籍している。 博士前期課程、博士後期課程には、英語で講義や研究指導を行う国際コース(10月入学)があり、多数の留学生を 受け入れてきた。マレーシア科学大学、インドネシアのハサヌディン大学とは、本系のみの博士前期課程のツイニング プログラムがある。1年目は本国で単位を取得し、その一部を本学で単位認定し、2年目には来日して足りない単位の 取得と修士論文の研究を行い、本学の博士前期課程を修了し、修士の学位を取得できる制度である。交流協定により、 毎年 1 名分の学費は免除されるものの生活費などの支援がなく、人数は限られるが、優秀な学生が本制度を利用してい る。これらの学生の中には、帰国後に文部科学省の奨学金を得て、博士後期課程に入学する学生もいる。その他、 JICA の「未来への架け橋・中核人材育成プロジェクト(Peace プロジェクト)」で、アフガニスタンの政府役人などを 博士前期課程に受け入れる事業にも協力し、毎年複数名の学生が本学に入学していた。 また、文部科学省の「国費外国人留学生の優先配置を行う特別プログラム」 には 2021 年度に「ASEAN・アフリカ を架橋する建築・都市システム学教育のグローバル循環プログラム」、2023 年度には「教員・指導者育成のための多機 関連携による建築・都市システム学教育プログラム」が採択され、それぞれ博士前期課程 1 名、博士後期課程 4 名の枠 を得て、留学生を受け入れている。 「変わる教育、変わらない技科大生」 私は 2008 年に建設工学課程に編入学し、学部から博士まで計 7 年間を学生として過ごした。その後、学外へ出たのち、 2019 年に助教として着任し、2023 年から准教授として教育研究に携わっている。学生として学んだ立場と、教員とし て教育を担う立場の双方を経験していることで、当時学生として感じていた戸惑いや達成感を、現在は教員として授業 や研究指導に意識的に反映させるようになり、それが現在の私の教育観の基盤となっている。 この10年での教育現場を語る上で、着任直後に訪れたコロナ禍による変化は避けて通れない。対面が当たり前だっ た授業は一気にオンラインへ振れGoogle Classroomなどオンライン学習システムを用いた運用が急速に定着した。資 料配布や課題提出、そのフィードバックの在り方は大きく変わり、教員側にも授業設計の再考が求められた。またこの 頃から半数以上の学生のノートが紙からタブレットに変わり、板書を写真で撮影する姿も日常の光景となった。さらに 近年、ChatGPT などに代表される生成 AI の登場は、学生の学び方と教員の教え方の双方に新しい問いを投げかけて いるようにも思える。利便性の向上は大きい一方で、考えること、手を動かすこと、試行錯誤することの価値が、相対 的に見えにくくなる危うさも感じている。だからこそ、生成AIを単なる効率化の道具としてではなく、思考を深める ための道具としてどのように位置づけるかが、今後の教育において重要になるだろう。 一方で、企業のリクルート活動などで折に触れて、技科大生は「まじめで、手がよく動く」と評されることが今も多 い。このように評される人材を継続的に輩出してきたこと自体が、本学が長年にわたり築いてきた大きな財産である。 DXや生成AIを適切に取り込みつつも、技科大生らしい実直な姿勢と実践力を損なうことなく、それらを次世代へと 171 II 転換の10年

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