3.5.4 応用化学・生命工学系における教育と研究 1.はじめに 20 世紀は大量生産・大量消費によって経済が発展した一方、深刻な環境問題も生み出した。その反省から、21 世紀 は環境と生命の調和を図り、持続可能な社会を実現することが人類共通の課題である。この動きを加速させるため、国 の第 4 期科学技術基本計画等でも「グリーンイノベーション」や「ライフイノベーション」の推進が謳われた。こうし た時代の要請に応えるべく、平成22(2010)年4月の学内再編に伴い、本学開学以来の伝統を誇る旧物質工学系と、 平成 5(1993)年 4 月に設置された旧エコロジー工学系を再編・統合して環境・生命工学系は誕生した。 本系は、主に化学・生物系学科出身の高専卒業生の受け皿として、化学と生命科学に関わる幅広い分野の教育・研究 を行っている。人間社会を地球的な視点から多面的にとらえ、自然と人間の共生を図りながら人類の幸福・発展に貢献 できる人材を育成することが我々のミッションである。平成 31(2019)年 4 月には、教育研究の基盤が「応用化学お よび生命科学」にあることをより明確に示すため、「応用化学・生命工学系」へと名称を変更した。以下に本系の組織、 教育、研究等について紹介する。 2.系の名称変更と組織の再編 本系におけるこの 10 年の最大の転換点は、平成 31(2019)年 4 月 1 日に行われた「環境・生命工学課程/専攻」か ら「応用化学・生命工学課程/専攻」への名称変更である。 この変更は、化学の重要性に対する社会の認識向上に対応するとともに、受験生や産業界に対して、本課程・専攻の 教育研究基盤の柱の一つが「応用化学」であることを明確に示すことを目的として行われた。名称変更に当たっては、 在学生、保護者、高専教員を対象としたアンケートを実施し、多くの賛同を得て手続きが進められた。2018年(平成 30 年)9 月には名称変更記念のシンポジウムを開催し、全国の化学・生物系学科を有する高専から多くの教員が参加し た。シンポジウムでは、鈴鹿高専校長の吉田潤一先生や、本学修了生である函館高専教授の小林淳哉先生、久留米高専 准教授の渡邊勝宏先生らから、本系の新たな門出に対する大きな期待が寄せられた。 この名称変更に伴い、教育組織は従来の「未来環境工学コース」と「生命・物質工学コース」から、「応用化学コース」 と「生命工学コース」の 2 コース制へと再編された。また、研究分野についても、それまでの先端環境技術、生態工学、 生命工学、分子機能化学の 4 分野から、分子制御化学、分子機能化学、分子生物化学の 3 分野へと再編された。これに 合わせ、田中三郎教授と有吉誠一郎准教授がエレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS:現在の半導体・センサ科学研 究所(IRES2))に、東海林孝幸講師が建築・都市システム学系に配置換え(本系兼務)となった(表1)。学生定員は 名称変更前後で変わらず、学部 1 年次の入学定員が 20 名、3 年次の入学定員が 55 名、博士前期課程の入学定員が 65 名、 博士後期課程の入学定員が 6 名である。 3.教職員の異動 平成 29(2017)年 3 月に平石明教授が定年退職、後藤尚弘准教授が他大学に転出された。令和元(2019)年 10 月末 に梅影創講師、令和 2(2020)年 5 月末に伊藤博光助教がそれぞれ退職された。令和 3(2021)年 3 月に伊津野真一教 授が岐阜高専校長として転出された。 同年7月に柴富一孝准教授がEIIRIS教授として時限付き異動(本系兼務)し、 164 豊橋技術科学大学五十年史
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