国立大学法人豊橋技術科学大学における下限数量に満たない密封されていない放射性同位元素の取扱いに関する細則

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国立大学法人豊橋技術科学大学における下限数量に満たない密封されていない放射性同位元素の取扱いに関する細則
(令和5(2023)年10月4日細則第7号)
(趣旨)
第1条 この細則は,国立大学法人豊橋技術科学大学放射線障害予防規程(平成16年4月1日規程第60号)第38条に基づき,下限数量に満たない密封されていない放射性同位元素(以下「非密封RI」という。)に係る基本的な事項を定める。
(核種・化学種) 
第2条 国立大学法人豊橋技術科学大学(以下「本学」という。)内において使用できる下限数量未満の非密封RIは32Pと35Sに限る。
2 入手した下限数量未満の非密封RIは,遅滞なく管理区域内において管理されなければならない。非密封RIの入手経路にかかわらず,管理区域外における使用の際には,全てこの管理区域内の非密封施設から持ち出すものとし,使用後は放射性廃棄物を含めて,非密封施設内に戻さなければならない。
3 下限数量未満の非密封RIは,化学種として常温で固体または液体の化合物のみ使用できるものとする。ただし,濃縮によって下限数量濃度を超える恐れがあるため,実験操作において放射性化合物の濃縮が行われる行程あるいはその可能性がある場合は,これを認めない。
4 下限数量以上の非密封RIを分取して下限数量未満とする場合には,放射線実験棟内の管理区域からの持ち出す場合には放射性化合物の分取の際の誤差を考慮し,下限数量の0.9倍の値(32Pでは9x104Bq及び9x102Bq/g,35Sでは9x107Bq及び9x104Bq/g)を超えるものは管理区域から持ち出してはならない。標識作業等により,濃度が求められない場合には,その行程に用いた放射線量の全量をその値とする。放射性核種の濃度はすべて出荷時に記載された濃度をもととし,減衰による補正を行わずに算出するものとする。
(使用者) 
第3条 本学において下限数量未満の非密封RIを使用できるのは,本学に在籍し,本学において下限数量を超える非密封RIの使用者として登録し許可されている者に限る。
2 申請は国立大学法人豊橋技術科学大学職員採用規程第2条に掲げる教職員が行う。
3 前項以外の者からの申請は認めない。
4 学生及び第2項に該当しない教職員は,第2項の者とともに共同実験者としてのみ申請することができる。ただし,申請時において本学における在籍期間の残りが使用予定の非密封RI核種の半減期の4倍に満たない教職員は,新たに申請を行うことはできない。
5 非密封RI使用において,過去5年間に違反した履歴を有する者は,この申請を行うことはできない。
6 申請者のいずれかが過去に実験区域として使用した実験室が汚染管理区域に指定されている場合,その実験区域の申請に名を連ねた者は,新規の申請を行うことはできない。
(実験区域) 
第4条 非密封施設内で下限数量未満の非密封RIを扱う実験は申請することはできない。
2 下限数量未満の非密封RIを扱う場所は実験区域とする。この実験区域は,その実験目的に即した実験室としてあらかじめ登録されていなければならない。また,遺伝子組み換え実験や動物実験等の実験の内容に対応した許可を,併せて得ていること。
3 定常的に人が出入りする部屋,鍵の施錠ができない部屋は,この目的のための実験区域とすることはできない。なお,申請された実験室は,その申請期間を通じて,登録された申請者を除く者が立ち入ることはできない措置をとること。
4 申請希望時以前から過去5年間に,非密封RI使用において違反した履歴を有する者が,使用または管理している実験室をこの目的のための実験区域とすることはできない。
5 過去の下限数量未満の非密封RIの使用によって申請時点で,汚染管理区域と指定されている部屋をこの目的のための実験区域とすることはできない。
6 実験区域は,汚染に備えて,床面,机上面,壁面に,ポリ濾紙等の設置による汚染防止対策を講じなければならない。
7 実験区域として使用した場所は実験終了後に汚染検査を行い,「汚染検査完了報告書」を提出しなければならない。もし除染できない汚染が発生した場合は,「汚染報告書」を提出し,汚染状況を遅滞なく報告しなければならない。なお,汚染検査完了報告書と汚染報告書は同一の様式とし,表題を選択する形式とする。
8 汚染検査完了報告書は,検査の方法,測定場所,測定日時,測定者の情報と測定値を含まなければならない。測定器具にはβ線の検出に適した機器を用いなければならない。測定場所は,汚染の可能性のある全ての箇所を網羅していなければならない。測定場所については,管理区域の見取り図を添付し,測定場所と測定値を記載することし,次項以降も同様とする。
9 汚染報告書は,検査の方法,測定場所,測定日時,測定者の情報,測定値及び汚染の状況と講じた対策の情報を含んでいなければならない。
10 実験区域は「非密封RIの実験区域」であること及び「実験区域の期間」を入り口に掲示し,第三者の立ち入りを防止しなければならない。
11 実験区域内の放射能は常に表面密度限度(4Bq/cm2)を下回るように維持しなければならない。
(使用機器) 
第5条 実験区域として申請する予定の実験室内に実験機器が設置されている場合には,次の各号に掲げる項目に記載した事項を踏まえて実験区域の申請を行わなければならない。
(1)実験室に設置された機器のリスト,放射性実験での使用の有無を申請書に記載しなければならない。
(2)申請書に記載された申請者以外の者がその後に使用する可能性のある機器の有無を申請書に記載しなければならない。汚染が発生した場合には,当該機器のその後の使用が当面不可能になることに対しての責任を申請者は負うこととする。
2 汚染検査等の目的で放射線実験棟から測定機器等を持ち出す場合には,事前に非密封RI代表者に申請し,承認を得なければならない。持ち出した機器は,使用後は汚染検査ののちに遅滞なく返却しなければならない。
(汚染管理区域) 
第6条 実験区域において表面密度限度の値を超えた放射能が確認され,汚染が発生し,その除染が困難な場合には,この区域を改めて「汚染管理区域」として指定し,除染が完了するまでの間,施錠を行い,部外者立入禁止区域として管理を行う。また実験区域の実験室として利用し,決められた期日以内の実験終了後の汚染検査完了報告がなされていない実験室も,同様に汚染管理区域として扱うものとする。
2 汚染管理区域に指定された実験室は,「非密封RIによる汚染管理区域」「部外者立入禁止」及び「立入禁止期間」の表示を入り口に掲示し,第三者の立ち入りを防止しなければならない。
3 汚染管理区域は,除染できない状態であるため,放射能の減衰によって除染を行うものとする。除染期間は,まず汚染検査時の測定値をもとに計算によって汚染箇所の放射線量が表面密度限度まで減衰するのに必要な時間Aを求め,それに半減期Bの2倍を加えて得られるA+2Bの期間封鎖するものとする。
4 汚染検査完了報告がなされていない実験室は,使用した非密封RI全量が汚染に使用されたものとみなし,使用したRI量全量の放射線量が表面密度限度まで減衰するのに必要な時間Aを求め,それに半減期Bの二倍を加えて得られるA+2Bの期間封鎖するものとする。
5 汚染管理区域は汚染状態の把握にために1半減期ごとに立ち入り,汚染状況を測定により把握しなければならない。
(使用期間) 
第7条 下限数量未満の非密封RIを使用した実験を行うことができるのは安全管理体制が維持できる期間内とし,次の各号に掲げる期間を含まないものとする。
(1)夏期休暇期間,冬季休暇期間,4月末から5月初旬の連休期間
(2)保守管理点検等による電気・ガス・水道の停止期間
(3)申請者である教職員の出張期間
2 下限数量未満の非密封RIを使用した実験は,原則として,土日祝日を含む連続した日程で14日を超えないものとする。なお,この日程には,汚染検査や実験区域の撤収の時間を含むものとする。
3 申請者のいずれかが過去に行った準管理区域設置の期間の最終日から数えて,次の設置申請の開始日までの期間が14日以上空いていることとする。
(輸送) 
第8条 下限数量未満の非密封RIを放射線実験棟の管理区域から実験区域へ移送する際及び実験区域から放射線実験棟の管理区域へ放射性化合物及び放射性廃棄物を移送する際は,放射線実験棟の利用時間の範囲内でなければならない。
2 下限数量以上の非密封RIを分取して下限数量未満の非密封RIとしたものを輸送する際は,分取前の親核種となる非密封RIの輸送に準じるものとし,親核種の納品時に使用した遮蔽能力の高い輸送容器にいれて輸送することとする。
3 下限数量未満の非密封RIとして入手したものを輸送する際は,入手時の容器を用いて輸送する。
4 未使用となった下限数量未満の非密封RIは,搬出と同じ方法で管理区域へと輸送しなければならない。
5 実験操作によって発生した放射性同位元素に汚染された紙・プラスチック・ガラス器具・液体(水を含む)等の汚染物質は封印し,表面密度限度を下回る状態に遮蔽した状態で管理区域へ輸送しなければならない。輸送に際しては容器の破損等による万が一の事態においても汚染が拡大しない措置を講じることが必要である。
6 放射性化合物の輸送は,申請者のうち少なくとも2名以上の者が帯同すること。
(申請書) 
第9条 下限数量未満の非密封RIを用いた実験を行う場合は,あらかじめ次の各号に掲げる項目を記載した「非密封RI実験計画書」を提出しなければならない。「非密封RI実験計画書」は総務課へ提出し,放射線専門部会及び安全衛生委員会の審議を経て承認されるものとする。
(1)実験名と目的:目的は管理区域外で当該実験を行わなければならない合理的な理由を明確かつ簡潔に記載すること。
(2)申請代表者:氏名,所属,職位,連絡先(電話,電子メール)を記載する。
(3)実験者のリスト(代表者を除く):全員の氏名,所属,職位または学年,連絡先(電話,電子メール)
(4)実験期間(ただし,実験開始予定日は申請書提出日の30日以降とすること。)
(5)核種
(6)化学種と濃度
(7)液体・固体の区別
(8)放射性化合物の入手日程
(9)遺伝子組み換え実験,動物実験の有無
(10)管理区域として指定する予定の実験室の情報(登録番号情報を含む)
(11)管理区域として指定する予定の実験室内に設置されている機器の情報
(12)放射線実験等から持ち出す機器の有無(ただし,主任者への申請と許可を前提とする。)
(13)放射性化合物の管理区域から実験区域への搬出手順と経路(日程を含む。1時間単位で記載すること。)
(14)放射性化合物の実験区域から管理区域への搬入手順と経路
(15)実験の概略
(汚染検査完了報告書・汚染報告書) 
第10条 実験終了後,実験区域から放射性同位元素及び汚染物の撤収を行い,その後に汚染検査を実施して「汚染検査完了報告書」を総務課へ提出しなければならない。汚染が見つかった場合には,速やかに除染作業を行わなければならない。なお,除染作業によっても除去できない放射能汚染が見つかった場合には,その事実を「汚染報告書」として総務課へ報告しなければならない。
2 汚染検査では,β線源での汚染検出に適したGMサーベイを使用すること。β線源での汚染による表面密度限度は4Bq/cm2であるので,GMサーベイで汚染検査をする場合には,表面密度限度は1cps/cm2でなければならない。
3 報告書には次の各号に掲げる項目を含むものとする。
(1)実施日時
(2)測定者名
(3)測定器の情報(具体的な機器の製造番号を含む)
(4)測定場所(実験区域の図面と共に記載する)と測定値
(5)除染を行なった場合はその除染方法
(6)除染できなかった汚染がある場合はその具体的な位置と測定値
4 汚染検査の測定場所は次の各号に掲げる場所を含むものとする。
(1)使用した器具
(2)使用した機器
(3)実験室の床
(4)実験室の壁
(5)実験室の実験台
(汚染・事故等の報告義務)
第11条 放射性化合物を使用する者は火災,汚染,事故等が発生した場合,あるいはそれを発見した場合は,ただちに主任者・非密封施設管理担当者または総務課へ報告し,適切な対応を取らなければならない。
(違反への対応・罰則)
第12条 本細則に違反した場合には, ただちにその事実を安全衛生委員会へ報告するとともに,違反の程度に応じて放射線の使用の制限から登録の削除までの罰則を課すこととする。
2 次の各号に掲げる項目に該当する場合は,悪質な違反と判断し,申請者全員の本学での放射線使用の登録を停止することとする。
(1)書類の捏造
(2)実験区域でない場所での非密封RIの使用
(3)汚染検査の非実施
(4)汚染の放置
(5)無許可での管理区域外への非密封RIの持ち出し,あるいは非密封RIの使用
(6)管理区域外での濃縮操作等による下限数量を超える非密封RIの調製
(細則の改廃) 
第13条 この細則の改廃は,国立大学法人豊橋技術科学大学の規則の種類及び制定等に関する規程(平成16年度規程第1号)の規定により, 安全衛生委員会の議を経て学長が行う。
(その他) 
第14条 この細則に定めるもののほか,この細則の実施に関し必要な事項は,別に定める。
 
附 則 
 この細則は,令和5(2023)年10月4日から施行し,令和5(2023)年10月1日から適用する。