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Chapter01

徐道源 (ソ ドウオン)/機械工学系 特任講師
2011年7月1日付で日本鉄鋼協会・産発プロジェクト展開鉄鋼研究の特任講師として着任しました徐道源です。平成17年度に韓国から東北大学ヘ来て約6年間勤務していました。

本研究室に来て、材料の損傷破壊に大きく影響を与える気孔や亀裂の大きさ、分散形態の三次元可視化など、SPring-8の放射光を利用した新しい研究が可能になってすごく嬉しいです。

本学の一員として、教員、学生とともに、面白い研究を続けたいと思います。それに加えて、韓国との学術及び学生交流に役に立ちたいです。
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Chapter02

中鉢淳 (なかばち あつし)/エレクトロニクス先端融合研究所 准教授
平成23年10月に着任いたしました中鉢と申します。

私はこれまで、理化学研究所などで、昆虫-微生物間の緊密な共生関係について、様々な手法を用いて研究して参りました。

今後は、その害虫防除や医薬開発への応用展開を目指しながら、農業生産に関わる、多様な生物間相互作用の解析を進めると同時に、EIIRISの研究環境を生かした異分野連携研究の可能性を追求して参りたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
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Chapter03

櫻井孝司(さくらい たかし)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任准教授
はじめまして。2011年11月より浜松医科大学より着任しました。

これまで分泌など生理機能を解析するためのバイオイメージング法の開発を行っ てきました。主な研究対象は生理活性物質の放出や薬理作用でして、分子・細胞レベルで診るための化学顕微鏡法や、組織・生体レベルで録るための内視顕微法の構築をテーマとしております。光/レンズとLSI/MEMS技術の融合に取り組み、霊長類などの個体における新規の低侵襲観察法として、ライフサイエンスをはじめ医用研究へ展開して参りたいと思っています。生命の神秘的な振る舞いを捉えることに興味をもっていただけると嬉しいです。
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Chapter04

土谷徹(つちや とおる)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任准教授
平成23年12月に着任いたしました。本学を出て富士フイルムで約19年勤務し、その後愛知教育大学に約2年間勤務していました。色んな分野の研究・開発を経験してきたので、それを活かし、EIIRISに貢献したいと考えております。

現在は富士フイルム時代に取り組んでいた遺伝子診断を再開したいと考えています。遺伝子診断に使われるシステムは非常に高価で大きなものが殆どで、まだまだ気軽には使えません。EIIRISの設備・技術を応用し、安価で携帯もできるようなシステムの研究を行い、遺伝子診断というものを発展・普及させていきたいと思います。

平成24年からは硬式野球部の監督も務める事になりました。こちらも頑張りたいと思います。
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Chapter05

大井英生(おおい ひでお)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任講師
3月11日の震災直後に母校の先生から誘いをいただき、10月11日にエレクトロニクス先端融合研究所に特任講師として着任しました。’88年に修士を出た後は、外資系の日本モトローラ(株)(後にフリースケールセミコンダクタ)に就職、量産工場で新製品を立ち上げつつ、歩留りを上げるための問題解決に当たってきました。企業と違って、大学でのやり方に戸惑っていますが、若手や組織の成長を促しつつ、大学で開発したものを一般の製品に落とし込む工夫を提案していこうと考えています。
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Chapter06

Tran Viet Thu(トラン ビュット トゥー)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任助教
I completed my undergraduate (2002) and master course (2005) in Vietnam—my home country, both in chemical engineering. I came to Japan in 2008 to study for a doctorate in materials science at Japan Advanced Institute of Science and Technology (JAIST). I received my doctoral degree in 2011. My doctoral thesis on the chemical synthesis of a range of inorganic nanostructures for optoelectronic applications (Al-doped ZnO, γ-Al2O3 and CuAlO2) was supervised by Dr. Shinya Maenosono. Here at EIIRIS I will synthesize graphene-based nanocomposites and study their applications for chemical and biosensing, energy storage and conversion, catalysts and optoelectronic. I will also explore the properties of multifunctional magnetic nanoparticles for magnetic storage, energy storage devices, and biomedicine and catalysis.

私は母国ベトナムで化学工学を専攻し、2002年に学部を卒業、2005 年に修士課程を修了しました。2008 年に来日し、北陸先端技術大学院大学(JAIST)で物質科学を研究し、2011に博士号を取得しました。私の博士課程の指導教員は前之園信也准教授で、化学合成による様々な無機ナノ構造を作製し、光デバイス応用(Al ドープ ZnO、 γ-Al2O3と CuAlO2)に焦点を充てました。豊橋技術科学大学のEIIRISでは、グラフェン系ナノ複合材料作製とバイオセンシング 、エネルギー貯蔵・変換、触媒等の応用に関する研究に取り組んでいきたいと考えています。また、多機能の磁性ナノ粒子の磁気ストレージ、エネルギー貯蔵装置、生体臨床医学、触媒に関する研究にも取り組んでいます。
 
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Chapter07

針本哲宏(はりもと てつひろ)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任助教
2011年10月に特任助教に着任した針本哲宏です。神戸高専出身で、学部・修士は本学情報系(旧・臼井研、 〜2004.3)、博士は電気・電子系(石田研、2008.4〜2011.3)。間の4年間は私立大学助手と少し変わった経歴です。

本学LSI工場で製作される極微小神経電位計測電極“豊橋プローブ”は、今まで以上に神経科学分野での展開、発展させることが求められています。これまでの異分野融合研究の経験を生かし、プローブ製作者と神経科学者の橋渡しをしながら、神経電極を製作・開発していくことが私の任務の一つです。今後の発展を考えると、材料、回路、信号処理、ロボティクスなど様々な分野の人との協力(融合)が必要で、皆様の経験や知恵をお借りできたらと思います。何卒よろしくお願い致します。
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Chapter08

広瀬侑(ひろせ ゆう)/エレクトロニクス先端融合研究所 特任助教
2011年10月よりエレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)に着任した特任助教の広瀬侑です。

私は北海道大学を卒業し、東京大学で学位取得〜研究員をしていました。

現在の研究内容としては、EIIRISにある次世代DNAシークエンサーを用いて、光合成を行う生物のゲノムを解析しています。このようなゲノム情報を活用した生物系の研究と、技科大の工学系の研究が融合することによって、何かユニークな研究が生まれるのではないかと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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Chapter09

超伝導の旅/電気・電子情報工学系 教授 太田昭男(おおた あきお)
山梨リニア実験線の視察 (2001年、左が筆者)
ソフトボール大会を終えて (2009年、前列左から2人目が筆者)
1978(昭和53)年4月、本学創設とともに名古屋大学より赴任し、34年間にわたり超伝導工学を中心に電気・電子工学の基盤となる教育と研究に従事しました。筆者の歩んだ超伝導(なかんずく高温超伝導)の旅の一部をご紹介します。

高温超伝導体は茶碗と同じような焼き物(セラミックス)ですが、面白いことに液体窒素(沸点:77[K]=氷点下196[℃])で冷やすと簡単に超伝導を示し電気抵抗はゼロになります。この興味ある物質を細長い線や厚い膜に加工して超伝導ケーブルや移動体通信基地局用マイクロ波フィルタへの応用を目指す研究を実施しました。多くの高温超伝導体の中で、注目したのが超伝導になる温度(臨界温度Tc)が110 [K](氷点下163 [℃])と高く、また液体窒素中で良好かつ安定な超伝導特性を示すビスマス系超伝導酸化物です。この物質は本来2次元性の強い鱗片状微結晶の集合体ですが、電気抵抗ゼロで流せる電流密度(臨界電流密度Jc)を上げるには、材料製造の過程で微結晶の向きを揃え、さらに微結晶間に電流経路を妨げる障壁が生じないようにする必要があります。筆者を含む多くの研究者の努力により、試行錯誤の末、銀を用いた方法が確立されました。それは、原料粉末を銀パイプに詰めて伸線し、圧延と焼結を繰り返すテープ線材製造法であり、今日では銀シース加工法と呼ばれています。銀シース線材の製造工程において、原料組成、加工条件、焼結条件などを改善すると液体窒素中のJcは数万 [A/cm2]近くにも達します。また筆者らの研究により、大面積の銀板上に糊状原料を塗布してプレス加工と焼結を繰り返すと、銀シース線材に匹敵する高Jcの大面積超伝導厚膜を製造できることが判明しました。この成果は、民間企業との共同研究を通して超伝導マイクロ波フィルタの試作に発展させました。

超伝導の電気抵抗ゼロの特徴を利用して、銀シース線材を用いた超伝導ケーブルの技術開発が精力的に行われています。特に大都市部において、既設の地中管路に敷設された電力ケーブルを超伝導ケーブルで置き換えれば、高密度で大容量の送電が可能となるため特に有望視されています。しかし、交流電力を超伝導ケーブルで送電する場合には、直流送電と異なり、ケーブルには電力損失(交流損失)が発生します。当然、銀シース線材自身にも交流損失が発生します(超伝導体も例外ではありません!)。線材の交流損失の低減は超伝導ケーブル実用化に向けて鍵となる重要課題です。そこで銀シース線材の交流損失低減に向け、正確な交流損失測定法を開発する必要がありました。銀シース線材はテープ形状をしているため、交流通電で生じる磁束線は線材表面と交差する複雑な分布をとります。このような複雑な磁束線分布を念頭に置き、電磁気学的考察に基づいて、交流損失測定法を開発しました。併せて実験環境の整備と設備増強を進め、銀シース線材の設計、製造、交流損失の評価、小型ケーブル導体の試作まで一貫して研究室で実施できる体制を整えました。これにより、銀シース線材の損失低減に向け重要な提言を国内外に発信することができました。

超伝導の旅を顧みると、1991(平成3)年、Cambridge大学Cavendish研究所から招へいを受け、電磁気学の祖マクスウエルゆかりの「科学の殿堂」に百日間滞在して銀シース線材の開発に没頭できた喜びはひとしおで、その後の私の研究活動にも強い影響を及ぼしました。

また、出版社からの勧めにより、超伝導を電磁気学の体系に組み入れた拙書「新しい電磁気学」(培風館)を出版しましたが、超伝導技術の産業応用例として取り上げた磁気浮上列車が、リニア中央新幹線として2027年から営業運転を開始する予定となったことも、超伝導の研究に携わるものとして感無量の思いがします。

学生時代から超伝導の世界に身をおき、激動する社会情勢、研究環境の中で、ぶれることなく頑固に自身の信念を貫き、教育と研究に専念できたことは望外の幸せです。本学在職中、百数十名の学生が卒業・修了後に研究室を巣立ちましたが、中途退学者はわずか1名でした。学生とともに研究室を立ち上げ、実験環境の整備を進め、研究の喜びや楽しみを互いに共有することにより、教師冥利に尽きる幸せを味わうことができました。厚く御礼申上げます。
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Chapter10

技科大34年思いつくままに/電気・電子情報工学系 准教授 朴康司(ぼく やすし;Kangsa Pak)
開学初期から本学に赴任し34年が過ぎ、この3月に定年退職します。私自身、訳あって、高専(鈴鹿高専1期生)で学び、その後、大学(名古屋大学)に1年から入学し(当時途中編入できる大学はほとんど無かった)電気・電子工学を勉強しました。今でよくいわれる、らせん教育の走りを体験したことになると思っています。赴任前、本学が従来の大学にない新しいシステム(大講座制、企業からの教員受け入れなど)を取り入れるとの事を聞かされ、より恵まれた環境で実践的教育や研究ができるとの期待が膨らんでゆきました。開学から数年間は、学生実験や研究の立ち上げを精力的に行いました。とりわけ、当時NECから赴任された中村哲郎先生のご尽力で、NECの集積回路2インチライン製造装置をごっそり本学に移転することになり、電子デバイス大講座教職員・学生総出で、立ち上げを行いました。その結果、現在、本学EIIRISにある「LSI工場」の礎が築かれたと思います。

私の専門は、化合物半導体の結晶成長です。学生のころは、光通信デバイスなどに使われるInP系化合物半導体のバルク結晶や液相エピタキシャル(LPE)成長などを行っていました。本学に来てからも、幸い、これらの研究を続けて行えることになりました。ただ、より高機能な化合物半導体デバイス作製には、成長速度を原子層オーダーで制御できる技術が必要とされ、その後、有機金属気相エピタキシャル成長(MOCVD)や分子線エピタキシャル成長(MBE)の研究にたずさわることになりました。これら最先端の技術を開発しつつ、ここ十数年は、低加速集束イオンビーム(FIB)を使った化合物半導体のマスクレス選択成長の研究を行ってきました。本学に日立から来られた野田保先生の教えを請い、装置を手作りで作製しました。紆余曲折を経て、現在、純度の高いGaAs、InGaAs薄膜の選択成長を極微領域にマスクレスで行うとともに、不純物を添加し、N型やP型のGaAs薄膜成長にも成功しています。この技術は、世界で初めて開発されたものであり、次世代半導体デバイス作製の一助になればと思う次第です。

最後に、皆様のご活躍と本学のご発展を祈念いたします。
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Chapter11

メディア処理の変遷の中で/情報・知能工学系 教授 新田恒雄(にった つねお)
平成10年に豊橋技術科学大学に赴任し、この3月に退職します。豊橋にはマルチメディア処理を教育に活かす大学院講座開設に伴い赴任しました。コンピュータの処理対象は、初期のデータ (alphanumeric code) からテキストメディアへと拡張され、80年代90年代を経て、日本語も欧米と変わらない言語処理環境が用意されるようになりました。しかし、それらが”よく運用”されるまでには、まだギャップがありそうです。私は77年頃東芝の研究所で、発売以前の日本語ワープロJW-10を研究用に1台あてがわれていましたが、米国の知識処理システムとの格差を目にしていましたので、「今後50年、日本人はこのシステムを取り込むため、大変な目に遭うだろう」と感じたことを覚えています。それから40年近く経ち残り後10数年ですが、新しい秘書さんが着任後直ぐ教授室周りの情報処理をこなせていますか? 駅の窓口など社会システムを利用するシーンで、「特殊な装置を導入せずに」汎用端末とプリンターで用が足りていますか? Yesなら私の勘は当たらなかったことになりますが、日本社会の共有文化となり成熟するにはもう少し時間が必要かもしれません。

昨年から、私たちを取り巻く情報処理環境が大きく変わり始めています。高速ネットとクラウド環境下で、スマートフォンに代表される情報通信端末を誰もが携帯する時代に入りました。そこではコンピュータの処理対象がテキストメディアから音メディア、映像メディアにまで拡張されています。私は90年代に、前半はサンマイクロシステムズ社との「マルチメディア分散処理フレームワーク」共同開発、後半にはやはり西海岸で立ち上げられた、当時の全マルチメディア処理を高速実行するメディアエンジンチップ開発に関係してきました。その中で、デジタルメディアの利点(これによりICTは大きく進展)をよく理解したつもりですが、他方デジタルメディア化したことの代償として、対話性(操作性)が低下し、その改善に多くのエンジニア(あるいはユーザ)が労力を費やしていることを目の当りにしてきました。底流には、(A) メディアの違い、 (B) ハードand/orソフトの違い、 (C) 利用者の違い、という三つの異種混交 (heterogeneity)があると考えました。大学に移り、私はこの問題を解決するテーマとして「マルチモーダル対話」を選びました。近年、GUIに加えてタッチジェスチャ、音声入出力、さらに種々のセンサーを組込んだ端末が市販され始め、次世代インタフェースであるマルチモーダル対話 (Multi-Modal Interaction; MMI) への移行が着実に始まっています。興味を持っていただけた方は、5月発行予定の電子情報通信学会誌特集号をご覧いただければ幸いです。

研究室を立ち上げ、これまで三つのテーマ; (1) マルチモーダル対話、(2) 音声認識・合成モジュール、(3) 知的エージェントの概念獲得に取組んできました。幸い(1)では、「対話記述言語 (XISL)」が桂田准教授と研究室諸先輩の努力で、NTTドコモ社の携帯電話(一部スマートフォン)に採用されました。このテーマは90年代初頭にスタートしていたので、「継続は力なり」を地でいった成果と言えるでしょう。(2)では、音声認識と合成を共通の調音運動としてモデル化する方式を研究してきました。全体システムの完成には今少し時間が必要ですが、音声信号の中に隠れた発声器官の動きを捉え、CG画像に変換するという逆問題を解くアルゴリズムは、入部助教を中心とする研究室メンバーの努力で、JSTの起業検証タイプに「語学学習ソフト」として採択されました。今後、ソフトの性能を一層向上させ、教育現場に応用して頂きたいと思っています。

大学再編が軌道に乗りつつあるなか、世の中は大学間競争が一段と激しく、また優秀な学生の争奪は世界規模に拡大しています。皆様のご活躍と技科大の益々の発展を祈っております。私も今後、東京と豊橋を行き来しつつ、大学間での連携を通し研究成果実用化に尽力したいと考えております。
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Chapter12

チョコレートの知識/環境・生命工学系 准教授 田中照通(たなか てるみち)
身近な食べ物なのにちゃんと知らないことってありますよね。そんな代表の一つがチョコレートではないでしょうか。人によってはチョコ、ココア、コーヒーの区別もあやふやだったり。まずは、小難しい話よりもチョコレートを美味しく食べる知識を少しだけ紹介しておきましょう。

チョコレートって何だ?


テオブローマ・カカオ(Theobroma cacao)という学名を持つ赤道地域の熱帯植物の種子からチョコレートはつくられます。カカオ豆から外皮を取り除いて粉砕しペースト状になったものがカカオマスです。ここに糖分やミルクを加えたものがいわゆるチョコレートの原料になります。似て非なるものにホワイトチョコレートがあります。こちらはカカオ豆から抽出した植物油脂(ココアバター)を主原料とするため、苦みと茶色の色がつきません。どちらもカカオ豆から作られるためにチョコレートと呼ばれます。

チョコレートを美味しくするための3代要素は「苦み」「あぶらの旨み」「甘み」です。「苦み」はカカオマスに含まれる茶色の部分に含まれます。「あぶらの旨み」はココアバターです。カカオマスには50%以上のココアバターが含まれています。最後の「甘み」は加工過程において人為的に加えます。魯山人曰く「甘いは旨い」は、チョコレートでも然りです。

「苦み」は風味を、「ココアバター」は口溶けと後味に大きく影響を与えます。流通する栽培カカオは3種類が源流といわれていますが、流通において1%に満たないとされるクリオロ種がその香りから特別視されているようです。

高級チョコと安いチョコ

ほとんどの場合、チョコレートは産地近傍において加工してから輸出されます。この時点で価格を決めるのは品種、カカオマス含有量、ココアバター含有量、加糖の有無、といった要因です。元チョコとでもいった状態です。カカオ以外の植物油脂を使えば品質と味は落ちますがコストは下がります。増量剤然り。この辺が価格の秘密でしょうか。

チョコラティエ(チョコレート屋さん)では、この元チョコに一工夫を加えます。加糖したり、ミルクを加えたり、生クリームを加えたり、酒を加えたり、プラリネにしたり、と形だけでなく成分にも追加があります。「生チョコ」は近頃市民権を得た単語ですが、「取れたての生のカカオ」という意味ではありません。チョコレートに生クリームや酒等の添加物を加えたことで水分含有量が高くなるために「日持ちがしない」という意味です。

テンパリング(temparage)


チョコ菓子作りの本を開けると一度は目にする単語です。ココアバターを豊富に含むチョコレートは融点の異なる油の混合体です。加工するために溶かしたチョコをそのまま冷やすと油層が分離してしまい残念な舌触りとなってしまいます。そのため一度溶かしたチョコを固める際には凝固点付近での滑らかな撹拌操作が必要になります。チョコレート屋さんでは大理石の板の上でチョコをヘラで転がしながら練っていますよね。それがテンパリングです。単語の意味は「温度管理」ですが、温度計無しでも大丈夫です。

チョコレート・フォンデュを作ろう

チーズ・フォンデュよりも作り方は簡単です。まずはクーベルチュールを買ってきます。クーベルチュールはお菓子の素材コーナーに売っています。クーベルチュールはカカオバターを含む上記の元チョコだと思って頂けると話が早いです。最近では加糖したものやミルクを加えたものも売っています。きちんとした素材の割には低価格で入手できるチョコです。3人前なら500gくらいでしょうか。融かす時は湯煎します。あっさり系が好みなら牛乳でのばします。濃厚系が好みなら生クリームを使うと美味しくなります。お供の食材は冬なら苺丸ごととかトーストを3cm角に切ったものとかがいいでしょう。果物を使う場合はきちんと水を拭き取って下さい。

もし余ってしまった時は、生チョコとして食べましょう。柔らかな仕上がりを望むなら生クリームを多めに加えましょう。テンパリングしてから型に流し込んで冷蔵庫で冷やせば、また美味しく召し上がれますよ。
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