豊橋技術科学大学五十年史

地域から世界へ―人材育成への想い 豊橋技術科学大学協力会 会長 松 井 孝 悦 開学 50 周年、誠におめでとうございます。心からお慶び申し上げます。 豊橋技術科学大学は、1976年に実践的・創造的能力を備えた指導的技術者の養成という社会的ニーズに応 えるため、実践的な技術の開発を主眼とした教育・研究を行うことを目的として設立されました。それから半 世紀が過ぎ、この50年間で数多くの指導的技術者である卒業生を輩出し、我が国の産業の発展に大きく貢献 してこられましたことに、地元豊橋の一経営者として、心から誇りを感じております。 豊橋技術科学大学協力会は、当時の商工会議所元会頭であった故・神野信郎氏の音頭のもと、技科大が開学 して間もない 1979 年 9 月、設立総会を経て発足いたしました。その後今日まで、グローバルに活躍する技術 者の育成を目的に、本協力会は一貫して海外実務訓練に係る費用、具体的には海外で学ぶ学生の渡航費の助成 を行ってまいりました。学生支援の総数はこれまでに 332 人(1980 ~ 2024 年)にのぼり、助成金総額は 6,800 万円以上となっております。 本協力会を支えてくださっている会員企業は、発足当時は 91 社、現在は 62 社(2025 年 12 月現在)であり、 いずれも豊橋をはじめとする東三河地域に所在する地元企業の皆様です。この場をお借りして、改めて心より 御礼申し上げます。 毎年、大学側で選抜された学生に助成金をお渡しする授与式では、海外渡航先の企業あるいは研究機関にお ける研修の目的や決意を発表していただきます。初めて海外に赴く学生も多く、期待と不安が入り交じった心 境が伝わってまいります。その後、研修を終えて帰国した学生が、実務訓練先での実績や成果を発表する姿を 見ると、一人一人が数段頼もしく成長していることを実感し、大変感慨深い思いとともに、大きな喜びを覚え ます。 また、大学からは、協力会会員企業の関心やニーズに応じた最新の技術情報や話題について、先生方による 講演会などを通じてご提供いただいており、企業と大学との間に実りある交流が築かれてきました。このよう な関係が長年にわたり継続されてきたことは、地域と大学が共に歩んできた証であると感じております。 今後、日本国内外の産業界を取り巻く環境や社会構造は、加速度的に変化していくものと思われます。どの ような時代においても、優れた課題発見力・問題解決力を備えた人材は、ますます重要な役割を担っていくこ とでしょう。コロナ禍を経て、オンラインやバーチャルリアリティ、SNS など、私たちは多様なコミュニケー ションツールを手にしました。しかしながら、若いうちに海外に出て、全く異なる文化やバックグラウンドを 持つ人々とリアルに交流し、五感を通して実体験を積むことは、何ものにも代えがたい価値を持つものと考え ます。 私たち地元の有志企業が、そのような人間形成の一助となれることはこの上ない喜びであり、50周年とい う節目を迎えた今、改めて本協力会の存在意義を再確認するとともに、今後も協力会を通じて、海外研修の側 面から末永く支援と貢献を続けていきたいと考えております。 この50年の節目にあたり、豊橋技術科学大学の学長に、本学初の卒業生である若原昭浩氏が就任され、舵 を取られますことに対し、大いに期待を寄せております。社会において、存在価値のない組織、特徴のない組 織が淘汰されていくのは世の常であります。これから豊橋技術科学大学が、中期的には 10 年後の 60 周年に向 けて、そして長期的には 100 周年に向けて、国際社会において大きく輝く存在となり、唯一無二の特徴を備え たユニークな大学として、より一層発展されることを心より祈念いたします。

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