思い出と次の 10 年の発展を祈念して 同窓会 会長 山 本 義 久[株式会社アイシン] 豊橋技術科学大学が 1976 年の開学から 50 周年を迎えられたこと、心からお慶び申し上げます。私は 2026 年に第 9 代同窓会長に就任致しました旧 1 系(エネルギー工学系)第 8 期生の山本義久と申します。 1983年4月の入学時、天伯の畑の中にそびえる建物、門をくぐり構内に降り立った時に出会った同級生た ちのあどけない顔、植えられて数年の小さな樹木、雲雀ケ丘のすべてが新鮮でした。右も左もわからないくせ に夢と希望と不安いっぱいだったあの頃を今でも思い出します。学部1年生、一学科わずか10名で行う世間 一般の大学らしくない講義は、今となっては懐かしいです。そして 3 年生になり、それまでの普通高校出身者 や私のような工業高校出身者に新たに高専出身者が編入され、北は北海道、南は鹿児島まで、全国から満遍な く人が集う光景は “ 多様性 ” を先取りした感があったと思います。この高専出身者の専門科目に対する能力の 高さと破天荒なパーソナリティには圧倒されたことを今でも思い出します。 さて、私自身も卒業して37年が経ちましたが、その間、多くの卒業生たちが実社会で若手あるいは指導的 技術者として活躍されておられます。大学創立の実践的、創造的技術者のリーダーを育成するという趣旨が実 現されていると感じております。“科学技術”でなく“技術科学”という名称を使った意図は、私なりの解釈 では科学をベースとして実践的技術者の育成を目指すことであり、それまでの大学とは一線を画すユニークな 使命であったと信じております。今後も、本大学の特長を活かし、多くの仲間が社会で活躍していただけるこ とを願っております。 50 周年を迎えるまでの間、特に 2004 年の国立大学法人化という激変の中でも技科大がその特色を活かして しっかり成果をあげられておられ、2010 年の「エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)」の設立や今でも 続く東三河を始めとした地域、あるいは産業界との活発な産学官連携、学部 4 年の実務訓練などユニークな教 育と研究を継続していることをうれしく思います。そして何といってもロボコン同好会の活躍は最高で、同窓 生の自慢とともに我々を勇気づけてくれています。 先日、今回の執筆にあたって約 30 年ぶりに大学を訪問しました。構内の小さな樹木も 50 年を経てすっかり 大木になり、緑豊かなキャンパスに変貌していました。いくつかの建物も名前と機能を変え、実験棟も構内を 埋め尽くすように増え、お世話になった図書館の1Fも留学生を含めた学生が居場所を求めて少人数で学ぶ場 になっていました。研究テーマも私の時代とは大きく異なるものに変貌したであろうと想像します。一方で A棟から続く建物群のレイアウトは懐かしいぐらい昔の面影を残しており、少しばかり昔が蘇ってきました。 またロボコン同好会の作業現場にお邪魔した際の学生たちの活き活きとした姿、発言に感心したりもしました。 技術科学の分野そして産業界を取り巻く環境は、大学創立時と比べて激変しております。旧ソ連の崩壊、新 興国の発展によって、競争環境が劇的に変わりました。結果、世界中を巻き込んだ技術開発、商品開発とビジ ネスが行われております。技科大が、そのような環境変化の時代でも学術研究と指導的技術者の育成に邁進し、 日本の中で輝くユニークな存在、40 年史の榊先生のお言葉をお借りすれば、「小さな巨人」であり続けていた だくことを願っております。次の 10 年、いや創立 100 年に向けて、私も同窓会長として微力ながらも尽力し てまいる所存です。
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