豊橋技術科学大学五十年史

開学 50 周年に寄せて ―技術科学の真髄を究め、次なる半世紀へ― 学長 若 原 昭 浩 豊橋技術科学大学は、2026 年 10 月をもちまして、輝かしい開学 50 周年を迎えました。この半世紀にわた る本学の歩みは、初代学長・榊米一郎先生をはじめとする歴代の学長、並びに教職員のたゆまぬ努力の積み重 ねによるものです。そして何より、本学の教育・研究および学生支援に対し、多大なるご支援とご協力を賜り ました地域の皆様、関係諸機関の皆様に、深く感謝と敬意を表します。 本学は、高等専門学校卒業生を主たる対象として 3 年次に受け入れるという、他に類を見ない「新構想の大 学院大学」として産声を上げました。一般的な普通高校から大学へ進むルートとは異なる、技術系に特化した 「複線型教育」を担う本学の役割は、日本の産業界において技術系の高度専門人材の養成機関として高い評価 を頂いております。高等専門学校の卒業生は、現在、わが国の理工系大学卒業者の約 1 割を占め、産業界の現 場から高い評価を得ています。本学には毎年約 360 名の高専卒業生が 3 年次に編入学し、普通高校・工業高校 出身の約80名の1年次からの進級生と共に実践を通じて「技術科学」を学んでいます。彼らの多くが大学院 へと進学し、高度な専門性を磨くプロセスは、わが国の技術革新を支える中核人材を輩出する揺るぎない基盤 となってまいりました。 今、私たちは人工知能(AI)の急速な進化と、少子化に伴う社会の縮減という、歴史的な転換点に立たさ れています。このような不透明な時代において、人類社会の幸福と持続可能な発展を実現するためには、技術 者・研究者が AI を使いこなし、新たな価値を創造する力が不可欠です。本学のモットーである「技術を究め、 技術を創る」とは、単に既存の技術を学ぶことではありません。技術科学の真髄とは、従来の理論では扱えな い新しい概念による発明を科学的に分析し、そこから新たな理論を構築することで、さらなるイノベーション へと繋げていくことにあります。 開学 40 周年から現在に至るこの 10 年間、本学は技術科学の探求を進め、イノベーションに貢献できる人材 育成機関を目指してきました。大学のグローバル化を加速させ、海外機関での実務訓練や、「エラスムス・ム ンドゥス修士プログラム」への参画など、国際的な学位プログラムを構築し、学生の国際対応力を強化してま いりました。研究面でも「国立大学経営改革促進事業」等の支援の下、長岡技術科学大学や国立高等専門学校 機構との連携を深め、2023年にはエレクトロニクス先端融合研究所を改組し、半導体・センサの基礎研究か ら社会実装までを一貫して推進する体制を整えたことは、本学の特徴である半導体・センサの一気通貫の試作 開発環境を強化し、全国の大学・高専・企業による次世代の半導体人材育成拠点並びにAIチップの開発・製 造技術の開発拠点を目指すための大きな一歩となっています。また、地域からの要望で取り組んできた農工連 携の取り組みは、多様なステークホルダーとの共創の下で人間が中心となるべく持続可能な農業及び地域社会 の発展に資する次世代アグリテック技術の創出と社会実装を推進する若手研究者による地域共創研究拠点形成 に結実しました。 これからの 50 年に向け、本学は技術科学の本質を追求し続け、AI をはじめとする先端技術を駆使して価値 創造性の高い社会に貢献できる高度専門人材を養成することで、社会の期待に応え続ける決意です。 皆様方におかれましては、今後とも変わらぬご指導とご佃撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

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