豊橋技術科学大学五十年史

1.世界と日本の 10 年 1.世界の動向 世界情勢 2016 年から 2025 年の世界情勢は、トランプ政権の発足(2017、2025)、イギリスの EU 離脱(2020)など国際政治 が大きく動く一方、2019年に中国の武漢で確認された新型コロナウイルスの世界的な拡大によるパンデミックという 危機に見舞われ、世界規模で社会・経済に甚大な影響を受けた時代であった。国際協調よりも自国優先的な政策が推し 進められ、2022年にはロシアがウクライナに全面侵攻し、欧州の安全保障環境も大きく変化していった。ウクライナ 戦争は長期化し、国際社会の分断が深まり、エネルギーや食糧価格が高騰するなど世界経済にも深刻な影響を及ぼした。 さらに、中東情勢も不安定化し、ガザ地区を中心に紛争が続いている。このような状況の下、世界の外交・経済政策の 枠組みは大きく転換していった。 世界的パンデミック 2020年に起こった新型コロナウイルスの世界的な拡大によって、各国は非常事態宣言やロックダウンの実施を余儀 なくされた。外出禁止、渡航制限、移動の際の隔離など人々の生活や活動にも甚大な影響が出た。人との接触が制限さ れる中、働き方としてリモートワークや在宅勤務が一気に普及し、教育現場では教室での対面による教育の代替として 遠隔教育の環境が整備されたことにより、働き方や教育方法の多様化が急速に進むこととなった。世界規模でワクチン の開発に力を注ぎ、ワクチン外交や医療物資の確保をめぐる競争が国際政治の争点になり、国際機関の調整力不足も問 われた。 パンデミック後の動向 2023 年ごろからは生成 AI 技術が加速的に進化、普及し、社会や産業構造にも大きな影響を与えるようになっていっ た。生成 AI が雇用・働き方に与える影響や人々の AI とのかかわり方については継続的に活発な議論がなされている。 近年、気候変動への対策や再生可能エネルギーの普及など自然環境への対策が世界規模で検討されてきているが、 2025 年トランプ氏の第 47 代大統領就任以降、2015 年の COP21 で採択されたパリ協定からの離脱、WHO 脱退など米 国の政策が大きく転換された。世界的に自然災害が多発し、洪水(2022 年パキスタン大洪水など)、熱波(世界各地)、 地震(2023年トルコ・シリア大地震など)により大きな被害を受けている状況下において、このような動きにより、 気候変動問題や保健衛生分野での国際的な協力体制にも影響が生じ始めている。 米中の対立が深刻化する中、アジアでは中国がさらに国際的な影響力を強め、インドやASEANも存在感を高めて きたことにより、多極化が進んでいる。 2.日本の動向 平成から令和へ 平成 28(2016)年から令和 7(2025)年の日本は、皇位継承問題、新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣 言、自然災害(西日本豪雨や能登半島での群発地震等)など多様な課題に直面した 10 年であった。平成 28(2016)年 24 豊橋技術科学大学五十年史

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