3.3.3 教育DX 1.はじめに 「教育DX(デジタルトランスフォーメーション)」と言っても、教員によってその受け取り方はバラバラである。本 学における教育 DX は、積極的に取り組む一部の大学と比べれば遅れているものの、その他多くの大学と同様、ゆっく りではあるが着実に進んでいる。どのように進んでいるかを理解するためには、教育 DX がどこに向かって進んでいる のかについての共通理解が必要である。 2.Society5.0 の中での大学教育 Society5.0 は、日本政府が描く「サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、経済発展と社会課題解決を両立 する人間中心の未来社会」のビジョンである。この社会に向けた教育は、単なる ICT 活用ではなく、「持続可能な社会 の創り手」を育む探究・STEAM・教育DXが中核になる。 では、教育DXによって何が変わるのか?以下にまとめ てみた。 【従来】 【DX後】 教育・教材の改善: 教員の主観や経験 データ分析に基づく意思決定 学生・教員の評価: 試験やアンケート 学習・教育履歴のデータ分析 講義形式: 事前計画にしたがって実施 データに基づいて柔軟に実施、学生一人ひとりに個 別最適化 このように教育 DX が向かう方向がおぼろげにも見えてくれば、学習と教育の履歴をデータ化することが、教育 DX の第一歩であることが分かる。 3.学習・教育データ化と教育のあり方 学習と教育のデータ化を進めるためには、IT(またはICT)を活用した新しい教育手法を実現する必要がある。そ れには次に示すように 5 つのステップを踏みながら教育 DX が進んでいくと考えられる。 【レベル1】 デジタル教材(デジタル教科書、スライド資料、解説動画、毎回の課題や小テスト、オンライン指導など) の整備 【レベル 2】 クラウド型学習管理システム(LMS)による e-Learning 環境の整備と、学習・教育履歴データの蓄積 【レベル3】 Learning Analyticsによる学習・教育履歴データの分析 【レベル 4】 データ分析に基づく学習法や教育手法の改善 【レベル 5】 学習・教育履歴のデータベース化と分析の自動化、さらに生成 AI を活用した改善提案など また、教育手法のDX化と並行して、教育の内容そのものが重要である。それには、AI時代の社会常識としてのリ テラシーと、専門分野に応じたデータ活用スキルを備えた人材教育が求められる。 107 II 転換の10年
RkJQdWJsaXNoZXIy NDY3NTA=