豊橋技術科学大学 派遣型高度人材育成協同プラン

豊橋技術科学大学
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教育プロジェクト概要

教育プロジェクトの内容

(1)教育プロジェクトの概要

(2)教育プロジェクトの内容について

(3)実施計画について

(4)本プロジェクトの有効性及び波及効果について

(5)本プロジェクトの評価体制

(6)大学・企業及び学生との間における守秘義務、知的財産権、安全管理及び賠償責任等に対する取り扱いについて

 

教育プロジェクトの内容について

1) 人材育成・インターンシップに関するこれまでの取り組みと背景

 技術者教育の新構想大学として発足した本学では,社会の多様な人材要求に応えるべく,高い教育理念と合理的教育目標の下で,実践的かつ創造的な技術者・研究者の育成を目指す高等技術教育に取り組んできた。すなわち,社会に還元される技術科学教育を基本として,学部で基礎・専門教育及び卒業研究を行い,さらに大学院博士前期課程でより高度化させた学問を修得させる一貫型教育を実践してきた。この学部・大学院一貫型教育は,基礎と専門を交互に発展的に取り込む「らせん型」教育システムを一つの特徴としており,この中で実務訓練は,学部と大学院を発展的に結びつける要の教育制度として機能している(図1)。この実務訓練は,我が国の従来型の高等技術教育に不足していたインターンシップの先駆けとなった産学連携人材育成プログラムである。

らせん型教育(基礎?専門,理論?実践)の概要と実務訓練/海外インターンシップの

図1.らせん型教育(基礎←→専門,理論←→実践)の概要と実務訓練

/海外インターンシップの位置づけ

 

 本学では,実践技術教育を経験した高専生を3年次編入生として主体的に受け入れ,普通・工業高校からの1年次入学生と併せて,学部における基礎・専門教育とその集大成である卒業研究の後に実務訓練を必修科目として修得させている。次いで,博士前期課程における基礎・専門教育と修士研究の中で,実務訓練を通して動機付けられた実践的思考力を醸成させることを目指している。さらに本課程では多様な学生を融合した教育環境の中で,海外インターシップ制度を選択科目として実施し,実践的思考能力開発の上に国際的に対応できるコミュニケーション能力に優れた人材を育成している。
 これらの人材養成プログラムは,社会が求める実践能力に優れた人材を送り出す教育システムとして効果的に機能しているが,劇的に変化する経済・産業社会では,これまでの就労体験型の修士レベル一般技術者とは異なる卓越した能力を有する人材も求められている。その中の一つが,社会環境,市場性や財務リスクを見据えながら的確に問題を発掘し解決していくMOT能力に優れたリーダー的技術者である。基礎理論や科学を理解し,高度な技術をビジネスに展開できる人材としてMOT能力に長けた技術者は必要不可欠であるが,従来我が国では極めて不足している。このような社会の要望に応えるためには,大学の基礎科学情報及び先端技術力と企業側の応用・実践力とを強力に融合し,かつ技術管理・適用を意識した研究開発プロセスに伴う人材育成が必要と考えられるが,このようなインターンシップの例はきわめて少ない。

 このような背景から,本プロジェクトは,従来の実務訓練を含むインターンシップとは異なる極めて特化した産学連携強化型の少数精鋭人材養成プログラムとして計画したものである。企業にとっては,基礎科学の知識と技術力及びMOT能力を兼ね備えた人材を独自で養成することは容易ではないが,この教育プロジェクトへの参画によって自らの意向を投影させながら即戦力及び技術リーダーとしての姿を具体化できる大きな利益があると考えられる。

2) 本教育プロジェクトの目的と特色

目的と概要:

 本教育プロジェクトは,これまで高等技術教育の柱の一つとして位置付けて実施してきた実務訓練の理念や精神は一部共有しながらも,従来型の実践的技術者の養成とは異なる新しい概念を基礎に置く。すなわち,従来の実務訓練が就労体験を通じての実践思考型の技術者養成であるのに対し,本プロジェクトでは,綿密に計画され,かつ強化された産学連携による高度な研究開発プロセスを経ることによって,知的基盤社会の現状,市場性や財務リスクを的確に捉えることのできるMOT能力に優れた社会環境即応型のリーダー的技術者を養成することを目指している(表1)。

 

表1.本プロジェクト教育プログラムの特色-実務訓練・インターンシップと比較して

項 目

本プロジェクト
(リーダー型人材育成)
本学実務訓練
(産学連携教育プログラム)
一般的
インターンシップ
対象学生
実務訓練を経た博士
前期課程学生及び基礎
人間力に優れた博士後期
課程進学予定者
(数名)

学部4年生
(全員[必修])

学部・博士前期課程学生

(不定数[選択])
期 間
3ヶ月
2ヶ月
1〜数週間
派遣先
特定の包括協定企業等
企業・研究機関・自治体
企業
教育・訓練内容
高度研究開発とMOT教育
不定
不定
目 的

MOT能力に長けた社会環境
即応型技術リーダーの養成

実践的思考能力をもつ
問題解決型人材の養成
就労体験

 

主なアプローチと目標は次の三つである。

  • 実務訓練を経た実践的思考力のある博士前期課程学生や基礎人間力に優れた博士後期課程進学予定者を対象として,本プログラムを実践することにより,問題探究思考力の啓発・醸成度を向上させる。
  • 密接な産学連携を基盤として,大学側による先端的生産技術科学研究・教育と企業開発現場における実践的開発研究プロセスを経ることによって,多様な社会へ向けた的確な思考・判断を発揮できるMOT能力を開発する。
  • 上記を通じて,実社会環境に即座に対応できるリーダー的技術者として育成する。

 本プロジェクトでは,このような人材養成に加え,強力な産学連携の推進によって,実施当事者は相補的・相乗効果による上質の研究開発成果が得られるのみならず,産業化へ向けた新たな知的情報が期待できるなどの相互メリットも念頭においている。
 本教育プログラムを実践する対象学生は,本学の実務訓練を経て実践的思考能力を身につけた博士前期課程学生,あるいは基礎人間力に優れた博士後期課程進学予定者の少数精鋭とする。本教育プログラムの実施に当たっては,産学両担当者及び学内実施体制組織(後述)による事前の入念な対象学生の選抜を行う。同時に,博士後期課程学生については,この教育プログラム適用の可能性について調査研究を行っていく。

企業との連携体制:

 本教育プロジェクトを実効あるものにするために,本学が積極的に進めている産学連携研究推進に関する協定等に基づいて本プログラムを実施する。産学連携研究推進に関する協定は,共同・委託研究の実施及びこれらの研究開発に伴う研究者の交流,さらには連携連絡会の開催等も意図している。これらの包括的な産学連携による共同研究及び委託研究の枠に本プログラムを組み込むことにより,実際に進行している応用研究・製品開発(産側の実践力)の観点と,それに対応する基礎的研究(学側の創造力と技術科学力)の観点を融合させた研究開発・交流を行い,実践的教育が実行できる連携体制をとる。本体制により,既に実務訓練を修得している博士前期課程学生及び基礎人間力に優れた博士後期課程進学予定者に対して,企業開発現場における専門的開発研究とMOT教育を実施し,社会環境,市場性と財務リスクを的確に捉えることのできる問題発掘能力とアイデア創成力に優れたリーダー型技術者として養成する。

派遣期間及び派遣方法:

 本教育プログラムの期間は,博士前期課程において原則3ヶ月間とする。派遣時期は,学生の研究分野及び修士研究の進捗具合と受け入れ機関におけるテーマとの適合に配慮しつつ,適切な時期に派遣する。派遣方法に関しては,大学における修士研究と派遣先機関でのテーマとの実施形式により,3ヶ月間のうち,週に3日程度,派遣先に赴く場合など,ケース毎に最大限の効果が得られるよう,多様な形式を弾力的に考える。後述のように,本学には研究連携の推進に関する協定書を交わしている企業が複数あり,主にそれらの機関へ学生を派遣する。

カリキュラム及び事前・事後教育:

 本プロジェクトは,博士前期課程の正課(選択科目)とし,任意の時期に3ヶ月間実施する。事前に指導教員,受入機関の指導責任者及び学生の三者間で研究開発の綿密な打合せを行い,学生に研究の目的及び意義を十分に理解させる。特に企業における研究活動で重要な守秘義務については事前に十分に認識させる。プログラム実施中は三者間での密接な連携を図るため,指導教員が派遣先を必要に応じて複数回訪問し,研究の進捗状況を把握するだけでなく,直面する問題について検討し,解決を図る。派遣終了後には必要に応じて補完的な集中セミナーを実施し,最終報告書を学生に提出させ,公開報告会を行う。報告会では企業秘密に関する事項の漏洩が無いよう最大限の教育的配慮を行う。

期待される効果:

 本学は,らせん型教育の一環として,社会の実学を長期間就労体験させることで,技術科学に対する探究心や目的意識の向上心を育成することを目的とした実務訓練を学部の必修科目として行っている。これは,勉学の意義を再認識させ,博士前期課程における教育・研究の自主性を動機付けさせるという,学部と博士前期課程を発展的に結びつける教育プログラムとして位置付けられており,一般的技術水準の問題解決型,実践思考型の技術者養成として社会に貢献している。一方,本プロジェクトは,従来想定しているこのような技術者レベルを一段と超えたMOT能力に長けたリーダー人材育成の社会的要望に応えるものである。実践的思考力を身につけた博士前期課程学生あるいは基礎人間力に優れた進学予定者を対象として,綿密に計画された産学連携による高度な研究開発プロセスとMOT教育を経ることによって,知的基盤社会環境や市場性を的確に捉え,自らが問題を発掘・解決していく高度な人材養成が可能となり,さらに起業化や特許戦略に必要な能力も開発できると考えられる。その過程において産学連携研究開発の相乗効果によって産業化に繋がる技術創成も期待される。

 

 

 

 

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