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Chapter01

技科大オープンキャンパスを振り返って/広報部会
 本部受付の様子
橋正実氏デザインのエコバッグ
平成24年度オープンキャンパスを、8月25日(土)に開催しました。当日は天候にも恵まれ、全国から2,260名もの参加がありました。夏休みのイベントとして定着してきたように思います。

本学のオープンキャンパスは、高校生・高専生に入試、教育、研究情報を知っていただくとともに、小学生から一般の皆様に広く大学を公開して、本学の役割や地域・社会活動を知っていただくためのイベントです。

第29回目となる本年度は、主に受験生を対象とした入試案内、各種相談コーナーや、数多くの研究室公開、研究施設・図書館等の施設公開、体験学習を開催しました。また、特別企画として、地元プロバスケットボールチーム「浜松・東三河フェニックス」とのコラボ企画、小学生向け体験学習教室を開催するなど、今年も盛りだくさんな内容のオープンキャンパスとなりました。

毎年、本学オープンキャンパス来場者へエコバッグを配布していますが、本年度はあの東京スカイツリーのエレベータデザインや、スガキヤラーメンフォークのデザインで有名な、マサミデザインの橋正実さんに本学のエコバッグのデザインをお願いしました。都会的なデザインで、来場者の方にも「ハイセンス」、「おしゃれで素敵」などと大好評でした。

それでは、本年度のオープンキャンパスをイベントごとに振り返ってみましょう。

榊学長による入試説明
体験学習の様子
見学ツアーの様子
(入試案内プログラム等)
受験生や保護者の方に入試概要等を説明する「入試案内」では、榊佳之学長が、次代を担う高校生・高専生に対してメッセージを送るとともに、らせん型教育やテーラーメイド・バトンゾーン教育プログラムなどの本学の特色ある教育システムや、エレクトロニクス先端融合研究所などの充実した研究施設を紹介しました。また、教員や担当職員に各課程・専攻の内容や入試・修学・学生生活等に関する質問ができる相談コーナーを設け、高校生・高専生や保護者の方の疑問にお答えしました。さらに、技科大生自身が質問に答えるブース「技科大生による何でも相談コーナー」を併設し、受験勉強のアドバイスや大学での生活などについて「生の声」をお届けできるよう、対応させていただきました。本学の入試制度や各課程・専攻の特色、キャンパスライフ等、ご理解いただけたでしょうか。本学では受験生や保護者の方からの質問にいつでもお答えしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

(研究室公開、体験学習、施設の開放・公開)
本年度は79の「研究室公開」、12の「施設公開」、10の「体験学習」を開催しました。普段なかなか目にする機会のない研究室や研究・教育施設を見学したり、最先端の研究・技術に触れたりしていただきました。 中でも「体験学習」では、近未来の植物工場を見学したり、液体窒素で凍らせたバナナによる釘打ちを体験したり、本学で試作した小型電気自動車に試乗したりすることで、本学で行われている様々な研究に触れることができ、人気が高かったです。また、附属図書館では科学に関するDVDを上映したり、ハンドベル・ミニコンサートを開催したりと、年齢の低いお子さんでも楽しめる企画を行い、大勢の家族連れが集まっていました。

(見学ツアー)
公開している研究室等を、技科大生がガイドとなって案内する「見学ツアー」を実施しました。こちらも広いキャンパス内を効率良く見学することができる、毎年人気の高いイベントです。本年度から整理券配布対象のイベントとして1回あたりの参加者数が限られてしまいましたが、その分参加された方はじっくりと見学いただけたのではないでしょうか。また、その他にも学生宿舎を見学できるツアーも実施しました。

浜松・東三河フェニックスとのコラボレーション企画
小学生向け体験学習教室
豊田高専のロボット実演
課外活動団体紹介(セル画体験)
(浜松・東三河フェニックスとのコラボ企画)
地元プロバスケットボールチーム「浜松・東三河フェニックス」の大口真洋選手にご協力いただき、フリースローアトラクションを行いました。こちらも整理券配布対象イベントでしたが、整理券配布からあっという間に予定した人数に達するほどでした。本学情報・知能工学系栗山研究室のモーションキャプチャーで事前に録画した大口選手のフリースローの動きを栗山教授に分析していただきました。その後、参加者の小中学生がフリースローに挑戦しました。最初はゴールにうまく入らなくても、大口選手の的確なアドバイスで、ほんの短時間でメキメキと上達していくのがよく分かりました。さすがプロアスリートです。大口選手はアトラクションイベントのみの出演でしたが、終了後も熱心に子供たちにフリースローを教えてくれていました。

(小学生向け体験学習教室)
スライム作り、電気に関する工作、ステンドグラス製作等、7つのテーマに分かれた体験・実習形式の催しを開催しました。本年度から場所をA棟3階に移し、テーマごとに講義室を使用し行いました。ほぼ各テーマに1部屋使って行ったので、昨年度よりゆったりと体験してもらえたのではないでしょうか。この企画は本年度で5年目を迎えましたが、毎回多くの参加希望者にお越しいただいています。リピーターの方も多く、今回も好評で、ほぼすべてのテーマが定員に達していました。

参加した子どもたちは、みんな笑顔で、ものづくりの楽しさを実感してくれたことでしょう。これをきっかけに、理科・科学に興味を持ってもらえると嬉しいです。

(豊田高専ロボコンマシンの実演等)
高専連携室の企画として、同じ愛知県にある豊田工業高等専門学校の教員・学生の皆さんが、高専ロボコン大会出場マシンの実演を行いました。ロボットに興味のある多くの高専生・高校生や一般の方で大盛況でした。また、パネルや資料を展示し、近隣高専各校の紹介を行いました。学生の約8割が高専出身である本学ならではのユニークな企画といえるでしょう。

(課外活動団体紹介)
ロボコン同好会、技科大祭実行委員会、アニメーション&コミック研究会、吹奏楽団、おちゃのかいの5団体の学生たちが、それぞれの部・サークルの魅力や活動内容を紹介・発表しました。ロボコン同好会は、本年度は実施場所を福利施設内ひばりラウンジに移し、NHK大学ロボコン大会で活躍したマシンの実演・展示を行いました。本年度は、実際に参加者が乗って操作出来るロボットがあり、開場前にも試乗希望者の子供たちが待っていました。テレビで見たことのあるロボットを間近で見ることができ、多くの子どもたちが興奮しながら見つめている姿が印象的でした。アニメーション&コミック研究会はセル画体験教室を実施し、子どもたちの人気を博していました。技科大祭実行委員会による企画では、参加者には風の谷のナウシカに出てくる「むしぶえ」を製作してもらいました。その原理の説明を受けることで、科学を身近なものとして感じてもらえたのではないかと思います。吹奏楽団は残暑厳しい中、汗を流しながら屋外で演奏を披露しました。おちゃのかいの学生は、ぎこちなくお茶を手にする人たちにも、にこやかに作法を教えていました。どの課外活動団体のイベントも盛況でした。

(参加者の声:アンケートより)
・自分のやりたいことに近い研究をしている研究室が見つかって目指す学科を絞ることが出来た。
・学生の皆さんが、自分が研究をしていることに自信を持っていて、生き生きしていた。
・新しい技術を知ることが出来てとても楽しい1日でした。
・小学生の子供たちが多くて、他大学のオープンキャンパスとは全く違う雰囲気、大変好感を持ちました。
・土日ともに開催して欲しい。
・相談コーナーの数を増やして欲しい。

本年度は昨年度以上にさらに多くの参加があり、特に高校生の姿が目立ちました。地域に根ざす大学として、家族連れの来場者が多いのも本学のオープンキャンパスの特徴です。アンケート調査では来場者の満足度のポイントが高く、多くの方に楽しんでいただけたのではないかと感じています。まだまだ改善点も多くありますが、本年度の反省をしつつ、次年度もオープンキャンパス実行部会を中心に大学全体で知恵を絞り、より満足していただけるオープンキャンパスを開催したいと考えています。

最後になりましたが、お越しいただいたたくさんの皆様、オープンキャンパスを盛り上げてくれた教職員・学生の皆様、本当にありがとうございました。
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Chapter02

大学生国際交流プログラム2012 建築・都市システム学課程3年 岡本大樹(おかもと だいき)
工場見学(岡本さん:前列左から3番目)
フィールド調査
プレゼンテーション
ディスカッショングループ
インドネシア…?

大学内に掲示されていた大学生国際交流プログラムの黄色い募集ポスターを見ると、真っ先にその言葉が私の目の中に飛び込んできました。元々海外留学の経験がある私は「海外に行ける!」という単純な動機から、迷わず応募しました。

「インドネシアってどこ?何が有名なの?」、「インドに行くの?」大学やアルバイト先の友人に何度もされた質問です。今思えば私も、インドネシアとは何が有名で何の言葉を話すどんな国なのか、今回のプログラムに参加していなければ知ることはなかったかもしれません。

本プログラムは9月16日(日)〜9月25日(火)に夏休みを利用して、大学間交流協定校であるインドネシアのバンドン工科大学(ITB)等の学生とともにワークショップに参加し、そしてインドネシアに進出している日系企業等の見学をすることを目的とした研修でした。日本からは豊橋技科大から15名、沼津高専および豊田高専から各1名ずつ計17名の学生が参加し、一週間の事前研修の後、インドネシアへ向かいました。

インドネシアでは、日本とのギャップに驚きと感動の連続でした。整備されていない道路、その車道を走る大量のオートバイ、そして歩道に所々空いている穴等、インフラの整備が行き届いていない現状を目の当たりにしました。また、車線がない道路ではどの車も割り込みの連続で、バスの中で私は何度か急ブレーキの反動で頭を打ってしまいました…。

ITBでのワークショップでは、日本とインドネシアの学生同士の討論・発表が行われました。第10回目となる今年のテーマは「地域開発」でした。最初に講義を通して基本的な知識を学び、地域開発対象地域を実際に視察しました。その後の討論では、地域の開発に人々にいかに関わってもらうことができるか、地域の人々の力とリソースを活かした事業を起こすためにはどうすれば良いかを話し合い、調査報告や改善方法の提案をしました。

グループ発表では、それぞれ「生産」、「マーケティング」、「コミュニティー(地域)の組織化」というサブテーマの下、6つのグループを作り、どのグループも少ない時間の中で英語で話し合いを行い、良い発表を行いました。日本人学生にとっては、相手の言っていることがよくわからない、自分の意見が上手く言えない、もっと時間があれば等、悔しさやもどかしさも感じるものでしたが、英語で自分の考えを話して相手に伝えることの楽しさ、伝わることの喜び、発表ができたことへの達成感を感じていたことも確かでした。

また、プログラム中は討論・発表だけでなく、インドネシアの学生と過ごしながらお互いの文化・習慣の違いを理解して友情を築くことができ、帰国日には「またいつでも帰っておいで。ここはあなたたちの第二の故郷だから」と温かく見送ってくれたITB学生の言葉には涙を堪えきれないほどでした。

これらの経験は私たち日本人学生にとって、今後更に英語そして海外への興味を持ち、よりグローバルなエンジニアを目指すきっかけになったのではないでしょうか。

今回のプログラムのテーマは地域開発について討論し、改善方法を提案し、発表をするというものでした。しかし私たちに与えられている本当の目的は、このプログラムの経験を今後どう活かすかということにあると考えています。2週間という短い期間でしたが、学んだことは多く、そして現状で自分に何が足りていないかということも見えてきました。そして何より、インドネシアで出来た大切な仲間との繋がりは、これからもずっと続いていく貴重な財産であり、世界を繋ぐ為のきっかけになるでしょう。私たちはグローバル社会を目指すエンジニアとして小さな小さな一歩を踏み出したばかりです。
集合写真
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Chapter03

平成24年度電気関係学会東海支部連合大会の開催報告/情報・知能工学系 教授 中川聖一(なかがわ せいいち)
平成24年9月24日(月)と25日(火)に、本学で、電気関係学会東海支部連合大会を開催しました。以前にも昭和57年、平成3年、平成13年に本学で開催されましたが、いずれも開催時期は11月末でした。これは、本学が3学期制だったため、A棟全講義室を2日間使用できるのは、学期間の休み期間のみだったことによります。今回は、他大学での開催時期に合わせることができました。本学が3学期制から2学期制に移行した恩恵を受け、今後は学会シーズンの9月に比較的大規模な学会の開催が可能となりました。

電気関係学会東海支部連合大会とは、電気学会東海支部(支部会員数3,307名)、電子情報通信学会東海支部(2,046名)、情報処理学会東海支部(1,507名)、照明学会東海支部(493名)、映像情報メディア学会東海支部(241名)、日本音響学会東海支部(400名)、IEEE名古屋支部(920名)が主催、電気設備学会中部支部(591名)が共催し、東海地区の電気・電子・通信・情報分野の学術発展と交流を目的に、毎年1回開催されているものです。

一般講演
特別講演
懇親会(稲垣理事・副学長による乾杯)
懇親会(稲垣理事・副学長による乾杯)
今年の発表件数は649件(口頭発表567件、ポスター発表82件)、参加者数は1,067名でした。お陰様で最近の5年間では、発表件数・参加者数共に多い方でした。例年発表件数の多いのは、名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学および開催校でした。そこで、開催校として、100件以上の発表を目指し、電気・電子情報工学系(以下2系)から50件以上、情報・知能工学系(以下3系)から50件以上(旧情報工学系(旧4系)の研究室から25件以上、旧知能工学系(旧7系)の研究室から25件以上)の発表を現地実行委員および旧系長等を通してお願いしました。その結果、本学から129件の発表がありました(シンポジウム5件、一般発表124件。うち、2系関係74件、3系関係54件)。発表の大半が大学院の修士学生で、学生の発表の良い機会(登竜門)になったと思います。

3系の後藤准教授がオーガナイザの「次世代シミュレーション技術の将来展望と技術者教育」が電気学会・情報処理学会・電子情報通信学会の合同企画シンポジウムとして、2系の大平教授がオーガナイザの「ワイヤレス電気自動車」が電子情報通信学会枠のシンポジウムとして開催されました。いずれも招待講演で構成され充実した内容でしたが、聴講者が予想よりも少なかったことが残念でした。2系の長尾教授と滝川教授のご尽力により、日建設計の小堀徹氏(常務執行役員)による特別講演「東京スカイツリーの設計」も開催されました。これは、本学の「豊橋技術科学大学技術者教育プログラム」構造工学セミナーとの共催で、興味深いタイムリーな内容で133名の聴講者が集まりました。

懇親会は福利施設の食堂を借りて、長尾教授の司会で、榊学長と稲垣理事・副学長をお招きし、92名で開催しました。滝川教授の計らいで、本学の吹奏楽団の演奏や地元名産を景品としたくじ引き、豊川B級グルメであるいなり寿司の土産などの趣向があり、懇親を深めることができました。

今回の開催に当たり、一番の不確定要素は、必要な臨時バスの本数と昼食数の予想でしたが、お陰様で予想範囲内に収まり、事無く終えることができました。

本学からは、発表者以外に大学院生の聴講者が80名、アルバイト学生24名を加えると、総計230名以上の学生が参加しました。また、本学から教員14名が座長を、2名がシンポジウムのオーガナイザを務められました。現地実行委員の教員22名も含めて、本学の全面的なバックアップで成功裏に終えることができました。幹事の菅谷准教授をはじめ、関係各位に感謝申し上げます。
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Chapter04

The Irago Conference ―アジア太平洋異分野融合研究国際会議―/エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS) 准教授 岡田浩(おかだ ひろし)
The Irago Conference記念撮影
講演の様子
2012年11月15日、16日の2日間にわたって、本学エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)が主催する国際会議The Irago Conference (The Asia-Pacific Interdisciplinary Research Conference より改称)が、愛知県田原市の伊良湖シーパーク&スパで開催されました。この国際会議は、様々な分野の専門家が、分野の垣根を越えて互いの理解を醸成する「異分野融合のプラットフォーム」を提供し、人類が直面する地球規模の問題解決に向けて議論することを目的としており、昨年に引き続き2回目の開催です。2日間の会議では、招待講演を含む174件の学術論文(半数は本学以外からの投稿)の発表が行われました。海外からもフランス、インド、韓国、フィリピン、シンガポール、スリランカ、台湾、タイ、英国、アメリカからの論文発表があり、200名近い参加者が集まる本格的な国際会議となりました。

基調講演では、カリフォルニア大学のD.Morse名誉教授から生体内で無機鉱物の構造体を形成する「バイオミネラリゼーション」とその応用について、株式会社アクアビットの田中栄氏からは、未来社会の予測とビッグデータを活用する情報技術の展望について、魅力的な講演がありました。また、招待講演では、防災科学技術研究所の岡田義光理事長、東京大学のR.Geller教授から災害、防災について科学的見地からご講演をいただきました。福島県立医科大学の竹之下誠一教授から、東日本大震災後の復興への取り組みや、NANOTECH社のU.Ruktanonchai氏から2011年のタイの洪水やナノ材料を活用した害虫駆除などの紹介がありました。また、カリフォルニア大学のG.P.Li教授、シンガポール大学のD.Chua助教からは、微細加工やナノ構造を応用したセンサやマイクロチップの先端的な研究、スタンフォード大学のO.Khatib教授からロボットと人間が共生する社会の展望、本学の大平孝教授が提唱される新しい電気自動車EVER、さらに、産業技術総合研究所の坂田将氏からは新しいエネルギーとして期待されるメタンハイドレートについての最先端の研究のご講演をいただきました。

また、"Energy Minimization of Future Mobile System"と銘打ったスペシャルセッションが開催されました。学生など若い人たちに夢を持ってもらおうと企画されたもので、東北大学の小濱泰昭教授から、マグネシウムREDOXサイクルと効率的な輸送システムであるエアロトレインの研究や、トヨタ自動車の川本雅之氏から、持続可能な車社会の実現のためのトータルエネルギーマネジメントについての講演、自動車研究所の青木啓二氏からは、効率的な車・車通信輸送コンボイ走行システムに関する研究が紹介されました。名古屋大学の林良嗣教授からは、インフラ整備などで成熟期を迎えた日本の都市が、生活の質(QOL)を維持しつつ少子高齢化、災害対策などの難問にも対応する都市づくりについてご講演いただきました。

ポスターセッションの様子
山中大明君(左)と石田誠研究所長
今回のIrago Conferenceでは、学生が企画・運営・発表を行うGraduate Student Sessionも開催されました。自分の専門外の人達を前に英語で行った発表は、今後に向けた良い経験になったのではないでしょうか。審査の結果、本学機械工学専攻の山中大明君にBest Presentation Awardが授与されました。また、ポスターセッションでは会場のホールやロビーを一杯に活用して91件のポスター発表が行われ、会場の至る所で熱心な議論が行われました。

夜には田原市長のご出席も賜ったバンケットが開催され、学生が招待講演者の先生方と積極的に交流する姿も見られるなど、分野の垣根を越えた交流が行われました。この他、14日午前中には本学EIIRIS・VBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)のラボツアー、午後には、田原市の自動車工場、メガソーラー予定地、植物工場を見学するエクスカーションを実施しました。ラボツアーで訪れたLSI工場では、参加者の方から、自分の分野で使えるLSIチップを作って欲しいという声があがるなど、今後の国際的な共同研究への展開も期待されます。

多くの参加者、招待講演者の方々からは、自分の専門分野以外の最先端の話をまとめて聞ける学会というのは世界的に見ても珍しく、非常に有意義であったとのコメントをいただきました。この国際会議の開催にあたり、学内外の多くの方々からご支援、ご助力をいただきました。開催地である田原市および田原市低炭素施設園芸づくり協議会から多くのお力添えをいただきました。社会からの科学技術への期待は益々強くなってきています。このIrago Conferenceのシリーズは、来年度以降も継続して開催する予定です。分野の垣根を越えて広く人類が取り組むべき問題を考える「Irago Conference」が、次世代に繋がる科学や技術の端緒になってくれればと願っています。
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Chapter05

WiNF2012報告/情報・知能工学系 教授 増山繁(ますやま しげる)
稲垣理事・副学長による特別講演
WiNF:情報学ワークショップは東海地区を中心として大学、企業等の情報技術に関する最新の研究成果を発表すると共に、広く情報技術の交流の場を 提供することを目的として、2003年に静岡大学で第1回ワークショップが開催されました。 その後、第2回も静岡大学で、第3、4回は愛知県立大学、 第5、6回 は名古屋大学、第7、8回は名古屋工業大学、第9回は豊橋技術科学大学で開催されました。

第10回情報学ワークショップWiNF2012を平成24年12月8日(土)から9日(日)にかけて、前年度に引き続き本学で開催致しました。

初日の午後、本学の稲垣康善理事・副学長に「情報の技術科学―情報工学、情報科学 そして 情報学−」と題する特別講演を賜りました。稲垣理事・副学長は、本ワークショップの創設者のお一人です。ご講演の際、名古屋大学大学院工学研究科長、愛知県立大学大学院情報科学研究科長等の要職を歴任されながら、大変なご博識にいつも感銘を受けるのですが、どのようにして身につけられたのかお尋ね致しましたところ、「若いころから読書が好きで、通学、通勤の車中でいつも本を読んでいました。」とのお答えをいただきました。

参加者数83名、講演数42件(特別講演1件を含む)という盛会でした。各分野の発表数の内訳は、情報通信3件、組み込みシステム3件、セキュリティ・認証6件、生体情報6件、画像3件、情報分析6件、インタラクション6件、言語処理と辞書2件、情報マイニング6件でした。情報学の分野も近年では専門分野が細分化されてきており、自分の専門分野以外の研究発表を聞く機会があまりありません。このように情報学を一覧できることもこのワークショップの魅力です。そのことが刺激となって情報学における新たなブレークスルーにつながることを願ってやみません。投稿された論文を事前に各2名の査読者によって評価し、2名を優秀賞、6名を奨励賞として表彰致しました。なお、優秀賞受賞の2名には副賞として、それぞれ5,000円の図書カードを贈呈しました。

発表時間20分、その後10分間の質疑応答時間を設け、密度の濃い議論を提供することができました。また、査読者の査読報告を論文の第一著者へ送付することで、著者の学生は、今後の研究の進展について有益なコメントを得ることができたのではないかと思います。

1日目のセッション終了後、本学ひばりラウンジで懇親会を実施致しました。優秀賞、奨励賞受賞論文の受賞学生の招待者も含め、25名が参加しました。本学出身で他大学の教員をされている方など、久しぶりにお目に懸かる方も多く、終始和やかな雰囲気で行われました。幸い晴天に恵まれ、大会は無事終了することができました。
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