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Chapter01

技科大オープンキャンパスへ行こまい! /電気・電子情報工学系 教授 上原秀幸(うえはら ひでゆき)
オープンキャンパスは、高校生・高専生に入試・教育・研究情報を知っていただくと同時に、小・中学生、一般市民のみなさんに対して「見える技科大」となるために、本学の役割や地域・社会活動を知っていただくイベントです。来て・見て・体験して・楽しめる企画をたくさんご用意しています。

第29回オープンキャンパスは「ギカダイの新たな挑戦」と題して、8月25日(土)に開催します。
さぁ、家族や友達を誘って、天伯の城・技科大オープンキャンパスへ行こまい!

受付の様子
入試案内
EIIRIS体験型展示
毎年人気の小学生向け体験学習教室
見学ツアー参加者集合時の様子
到着したら…
まず「受付」へ向かい、パンフレットやちょっとした技科大グッズをゲットしてください。そして、パンフレットをよく見てみましょう。イベントのスケジュールや地図、企画の説明と実施場所が載っています。研究室公開・体験学習が行われる研究室の場所も載っています。整理券の配布時間と場所には特に気をつけましょう。

ところで、今年のバッグ(も?)はなんだかとってもおしゃれ!!それもそのはず、あのラーメンフォークや東京スカイツリーのエレベーターをデザインされた高橋正実さんに作っていただきました。必携ですよ。

最初はどこに行こうかな?
入試案内や大学生活について知りたいときは、「相談コーナー」に行きましょう。受付のそばの「A棟」という建物のホールにあります。各課程・専攻の説明ブースもありますので、もし、お目当ての課程・専攻があれば、真っ先にブースを目指してくださいね。何が特長で、何が学べるのか、教職員が丁寧に説明します。

研究室を見に行きたいときは、パンフレットの研究室公開一覧を見てみましょう。気になるテーマ、最近聞いたあの言葉、聞いたことも無い新しい言葉、不思議な写真・・・何でもいいので、興味を持った研究室に飛び込んでみましょう。時間の許す限りいっぱい訪ねてくださいね。「技術を究め、技術を創る」を実践している教員や学生達が、最先端の技術をわかりやすく説明します。見学ツアーに参加すると効率よくまわれますよ。
見るだけではなく実際に体験できる体験実習を行っている研究室もありますよ。新しい未来を感じたり、自分のやりたいことが見つかったりするかもしれませんね。

大学の施設も公開しています。日本の大学の中で唯一といってよい「半導体LSI工場」、オープンして2年目を迎えた「エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS:アイリス)」で最先端技術に触れてみませんか?「先端農業・バイオリサーチセンター」では、先進的な野菜栽培現場や珍しい野菜をクイズを楽しみながら見学できます。「人間・ロボット共生リサーチセンター」ではちょっと変わった車いすやロボットの実演をしています。「未来ビークルシティリサーチセンター」ではオリジナル電気自動車に試乗(対象:高校生以上)できます。「研究基盤センター」では、レーザ加工や極低温やミクロの世界を体験できます。他にもまだまだ盛りだくさんです。

そしてそして、今年の特別企画は…
1つ目は、あの浜松・東三河フェニックスの選手がやってきます!モーションキャプチャでプロ選手のシュートを丸裸にしちゃいます。君もフリースローに挑戦だ!

2つ目は、毎年大人気の小学生向け体験学習教室です。今年はどんな実験ができるかな。まず整理券をゲットしましょう。

見学先が決まらなかったら…
ご安心ください。各種見学ツアーをご用意しています。受付でツアー参加の申し込みをして整理券をゲットしましょう。学生宿舎も見学できます。

歩き回って疲れたら…

「学生交流会館・食堂」へ行ってみましょう。学生課外活動団体が、日ごろの成果をみなさんに披露しています。実際に体験することもできます。お茶会体験や留学生によるアトラクションなどのイベントが実施されます。少し、大学生気分を味わうこともできるかもしれません。涼しい図書館でハンドベルコンサートを聴いたり、DVDを観ながら、ちょっと一休みしてはいかがでしょうか。

まだまだ…
今年も豊田工業高等専門学校が学校案内とともに高専ロボコンで活躍したロボットの実演を行います。もちろん技科大のロボコンの実演もしていますので、高専と大学のロボットを一緒に見られる滅多にない機会ですので足を運んでみて下さい。

オープンキャンパスに行きたくなりましたか?
「技科大ってどんなとこ?」、「何が楽しいの?」、「なんだかよくわからない」と疑問を持たれたのであれば、ぜひ実際に本学のオープンキャンパスを覗いてください。百聞は一見に如かず。きっと楽しめると思いますよ。またそうなるように、我々教職員・学生一同、しっかりと準備してみなさまのお越しをお待ちしています。

おいでん!オープンキャンパス!!
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Chapter02

ビヨンド・シミュレーション−高専から大学院まで実践的シミュレーション技術者教育の実現に向けて−/情報・知能工学系 准教授 後藤仁志(ごとう ひとし)
今年度から豊橋技術科学大学では、「次世代シミュレーション技術者教育プログラムの開発」を実施することになりました。このプロジェクトの目的は、スーパーコンピュータ(スパコン)などの高速計算機を利活用して、様々な研究分野において大規模かつ高精度な予測を可能にするシミュレーション技術を開発できるような人材、そして、そのシミュレーション・ソフトを用いた予測結果を解析し、安心安全な新しい技術や材料を開発できるような人材を育成することです。ここでは、現在、急ピッチに整備を進めているこの新しい教育プログラムについて少しだけご紹介します。
次世代シミュレーション技術者教育プログラム開発の概要図

「らせん型教育」によるシミュレーション技術者の育成
このプロジェクトは、3つの部会が連携しながらそれぞれのテーマを進めていきます。その1つが「高専連携」です。本学の学生の多くは、全国の高等専門学校(高専)から学部3年次に編入してきます。つまり、一般の大学の1、2年生にあたる期間を、彼らは高専で学んでいますので、当然、本学と高専が連携して教育を考えていくことは、以前から重要なテーマでした。そこで今回のプロジェクトでは、本学が推進する「らせん型教育」の入り口に立った学部1、2年生と高専生が、シミュレーション技術につながる基礎力と、それを楽しく意欲的に学習していくための学ぶ力を効果的に身につけられるように、高専との教育連携を積極的に深めていきます。たとえば、数学や物理・化学・生物など自然科学の科目や基礎的な専門科目のデジタル教材などを高専の先生と共同開発したり、本学の講義を遠く離れた高専にネット配信したりすることを計画しています。

インフルエンザ・ウイルスのタンパク質を標的にした
新薬設計分子シミュレーション
2つ目のテーマは、「専門分野別」の教育プログラムの開発です。様々な工学分野で活用されているシミュレーションは、共通の基礎理論と計算技術によって支えられています。けど、最先端研究となると、それぞれの専門分野に特化した技術も使われます。たとえば、「分子シミュレーション」の分野では、運動方程式に従って分子の「ふるまい(運動)」を解くという意味では他の分野のシミュレーション技術と共通しているのですが、そのシミュレーション結果の正当性を検証したり、検証のための解析技術を開発したりするには、当然、化学や計算科学の専門知識が必要になります。また、自動車などの開発で使われる「流体シミュレーション」では、車体の空気抵抗や空力騒音を調べる非定常乱流解析シミュレーションと、エンジン内部の効率を調べる熱流体シミュレーションがあり、両者は同じ基本理論を用いて、異なるシミュレーション・モデルを構築する必要があります。それぞれのモデルの妥当性を検証するためには、共通の基礎理論に加えてより深い専門知識が必要になります。そこで、大学院に進んだ学生に対しては、彼らが高度な専門知識を学ぶ機会に合わせて、それぞれの専門分野に適したシミュレーション技術も学べるように工夫しようと考えています。
新幹線パンタグラフ周りの乱流解析シミュレーションと
次世代エンジン燃焼シミュレーション

3つ目は、「アドバンスト」シミュレーション技術者教育です。この教育プログラムでは、本学の大学院博士後期課程の学生や博士研究員、さらに民間企業で新製品や新材料を研究開発している研究者などを主な対象とし、本格的な運用が始まった京速コンピュータ『京』や、全国大型計算機センターのスパコンなどを積極的に使い、大規模で高精度なシミュレーション技術を駆使することによって実践的な課題を解決していける、そんな人材の育成を目指しています。そのために、たとえば、次世代スパコンの研究開発拠点や、本学と同様にシミュレーション技術者教育を実施する教育拠点などと連携しながら、最先端の技術や研究に関わるインターンシップ制度や、シミュレーション技術者としての総合力を証明する資格制度を整備していきます。また、最新のシミュレーション・ソフトをもっと高度に使いこなすための集中講義や講習会の開催準備も進めています。さらに、社会人研究者が限られた時間で効率的に実践的シミュレーション技術を修得できるような教育プログラムも開発中です。

第1回ビヨンド・シミュレーション・フォーラム
の様子(2011年2月28日開催):『京』を開発
している平尾公彦先生(理化学研究所
計算科学研究機構長)にスパコン開発
の重要性と、計算科学の未来について
お話ししていただきました。
何かと話題になった『京』は、2011年の2期(6月と11月)に渡って世界最速の計算機でしたが、残念ながら2012年6月の発表では2位になってしまいました。だからといって「ダメ」になったわけではありません。新聞やTV報道などでご存知のように、『京』を使えば地震や津波の大きさやそれらによる被害を予測して防災対策を練ることができ、また、がんの治療薬や燃料電池などの効率的な開発も可能になると期待されています。けど、『京』だけあれば、それらを実現できるわけでもありません。大規模で高精度なシミュレーション技術を開発できる人材、そしてそれを駆使して最先端の問題解決に利活用できる人材がいて初めて実現できるのです。本学は「次世代シミュレーション技術者教育プログラムの開発」の目標として『ビヨンド・シミュレーション』を掲げています。それは、単にスパコンで難しい計算をすることだけに注力するのではなく、最先端の困難な課題を、より高度なシミュレーション技術を駆使して解決していけるような実践的シミュレーション技術者の育成を目指すという意味です。そして、 21世紀の持続可能な社会の実現に向けた新しい科学技術の発達に貢献していきたいと考えています。
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Chapter03

グローバルCOEプログラム「インテリジェントセンシングのフロンティア」の総括 −新たな価値を創造する“センシングアーキテクト”−/グローバルCOEプログラム拠点リーダー 石田誠(いしだ まこと)
グローバルCOEワーキンググループ
グローバルCOE事務グループ
はじめに
グローバルCOEプログラムは、文部科学省において開始された「21世紀COEプログラム(H14〜18年度)」のあと、その基本的な考え方を継承し、世界最高水準の研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため重点的に支援し、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とした事業です。COE(Centers of Excellence)とは、「世界最高水準の研究教育拠点」ということです。

今回のグローバルCOEの採択数は、電子情報分野で13件(21世紀COEの半分の10拠点と新規3件の採用)と大変厳しいもので、東海地区は本学だけでした。

テーマは「インテリジェントセンシングのフロンティア」で、特にGCOEの特徴としての人材育成、そして研究活動、国際交流活動についての成果を以下に紹介します。(グローバルCOE採択時紹介:天伯No.122参照)

1.拠点形成の目的と計画概要
従来のセンサ技術の延長でなく、生体情報、医療、環境、農業などの新しい応用分野である先端的“知”を取り入れた「インテリジェントセンシング」を開拓するフロンティアであることを目的とし、学長中心の運営マネジメント体制を構築し、スマートマイクロチップ基盤技術と先端的“知”の融合により次の3つのフロンティア形成を推進しました。

【1】研究活動:先端的“知”を取り入れた新しい価値を創造する「インテリジェントセンシング」の開拓

【2】人材育成:基盤技術と先端的“知”を複眼的に見渡せ、国際性とリーダー的即戦力を備え新たな価値を創造する「センシングアーキテクト」の育成

【3】国際展開:21世紀COEプログラムの成果を活用した「国際的教育研究拠点」の形成

ここでは、本プログラムの主目的である人材育成を中心に紹介します。

2.育成プログラム

 
写真1
写真2
写真3 プロトタイプ機の試作と展示会出展
GCOEシンポジウム2012
(1)概要;専門分野に加え、他分野も含めた幅広い知識や考え方などを修得できるプログラムを、上図@〜Bの3段階に分けて設計・実施しました。第1段階(@)では、学生の知識に横糸を通すために、ハード、ソフトの両分野の最先端が分っている企業経験者や若手研究者らによる「分野横断的GCOE教育プログラム」(集中講義と実習から成る15コース)を開発・実施しました。

(2)能力を十分に発揮できるような取組;
@経済的支援(競争的配分:月額22〜18万円)、
Aポスターコンペ(優秀な研究提案に研究費補助:30〜150万円)(写真1)、
B学生ゼミナール(全員参加、月2回開催)〜異なる領域の研究を分り易く紹介し議論。分野融合的基礎学力が向上しました。
C学生企画学術会議(写真2)〜真のリーダー養成を目的。企画から運営まで全て学生が担当し、成功しました。
Dプロトタイプ機の試作と展示会出展〜研究をわかりやすく発信し共同研究先を見いだすために積極的に奨励。自立研究者としての自覚が芽生えました(写真3:機能性白色LED照明〜右のシャーレのように蛍光灯では見えない異物を検知。多数の問合せや商談)。
 
(3)国際的な人材育成の取組;
@国際会議発表や海外武者修行の奨励(旅費補助)〜関連分野の著名な研究者に自ら連絡をとり、押しかけ講演や討論、研究室見学を奨励。コミュニケーション能力が向上しました。
A中・短期留学、
B海外研究者招へいセミナー、
C英語能力向上講習会など。

3.育った「センシングアーキテクト」
世界的視野に立った考え方ができる人材や企業の要請に応え得る人材など、目標とした人材が育ってきました。例えば、
@毎年約9割の学生が海外発表を経験、
A海外有名大学で研究員として雇用・活躍中、
BIEEEなどの世界的著名論文誌で優秀論文賞を受賞、
C発表内容の一部が著名論文誌の表紙に掲載、
D企業へのキャリアパスを確立、
E企業との共同研究の獲得、
など。

4.GCOEシンポジウム東京2012
「グローバルリーダーを目指した人材育成」をテーマに、@企業トップ4名を招き本音の討論や講演、A「センシングアーキテクト」育成報告、B「センシングアーキテクト」OB、現役(計8名)の研究発表を介した自己紹介などを行い大変盛況でした(申込450名超;全国紙に掲載)。

5.GCOE活動をまとめた書籍(注)
3つのフロンティア形成活動と将来展開について、イラストと写真を多用した雑誌風の分り易くビジュアルな書籍として作成しました(右は頁抜粋:GCOEに参画した学生と教員職員)。

今後の人材育成とグローバル化の活動は、21世紀COEとGCOEの成果をもとに融合研究を戦略的かつ国際的に展開する「エレクトロニクス先端融合研究所」と「テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム」を中核にして全学的規模で開始しています。

 (注)書店で販売;日経BPムック「変革する大学」シリーズEX/国立大学法人豊橋技術科学大学01/「グローバルCOE拠点インテリジェントセンシングのフロンティア」/発行:日経BPコンサルティング(2012年4月1日発行)
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Chapter04

平成24年度電気関係学会東海支部連合大会の開催/情報・知能工学系 教授 中川聖一(なかがわ せいいち)
H23連合大会特別講演(於:三重大学)
平成24年9月24日(月)と25日(火)に、本学で、電気関係学会東海支部連合大会が開催されます。以前にも昭和57年、平成3年、平成13年に本学で開催されています。いずれも開催時期は11月末でした。これは、本学が3学期制だったため、A棟全講義室を2日間使用できるのは、学期間の休み期間のみだったことによります。通常は学会シーズンの9月開催が望ましいので、今回は、他大学での開催時期に合わせることができました。3学期制から2学期制に移行した恩恵を受けたことになります。

電気関係学会東海支部連合大会とは、電気学会東海支部(支部会員数3,307名)、電子情報通信学会東海支部(2,046名)、情報処理学会東海支部(1,507名)、照明学会東海支部(493名)、映像情報メディア学会東海支部(241名)、日本音響学会東海支部(400名)、IEEE名古屋支部(920名)が主催、電気設備学会中部支部(591名)が共催し、東海地区の電気・電子・通信・情報分野の学術発展と交流を目的に、毎年1回開催されているものです。例年発表件数は約600件、参加者数は約1,100名で、発表の大半が大学生や大学院生で、学生の発表の良い機会(登竜門)になっています。

主催7学会のうち、支部会員数の多い電気学会と電子情報通信学会、情報処理学会が主担当学会として、毎年交代して担当しています。今年度は電子情報通信学会が主担当学会になっています。私が電子情報通信学会の東海支部長(平成20年度)を経験していることから、実行委員会委員長・現地委員会委員長を仰せつかっています(情報・知能工学系の菅谷准教授が幹事です)。

開催校として会場を提供するだけでは物足りないと考え、技科大の特徴を周知できるようなシンポジウムを企画しています。一つは、主担当の3学会合同シンポジウムで、情報・知能工学系の後藤准教授らが進められている「シミュレーション教育」に関連した企画が認められました。後藤准教授にオーガナイザを務めていただいて「次世代シミュレーション技術の将来展望と技術者教育」を開催予定しています。後藤准教授に本学の取り組みの総論的なお話をしていただいた後、各界からの招待講演が続きます。昨今話題の津波のシミュレーションの紹介もあると思います。また、電気・電子情報工学系の大平教授には、電子情報通信学会枠のシンポジウム「ワイヤレス電気自動車」の企画・オーガナイザをお願いしています。特別講演(聴講無料)も開催校に任されており、電気・電子情報工学系の長尾教授と滝川教授のご尽力により、今話題の東京スカイツリーの設計にまつわるお話を日建設計の小堀徹氏(常務執行役員)にお願いしています。興味ある講演が盛りだくさんあると思いますので、是非参加聴講していただきたいと思います。詳しくは次のウェブサイト(http://www.ieice.org/tokai/rengo2012/)をご覧下さい。
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Chapter05

国際会議 The Irago Conferenceの開催/エレクトロニクス先端融合研究所 准教授 岡田浩(おかだ ひろし)

科学技術とひと口に言っても、その中身は広く、物理、機械、化学、ソフトウェア、建築、医学、農業…と色々な分野に分かれています。その一方で、21世紀に生きる私たちが取り組まなければならない問題は、環境、エネルギー、食料、安全/安心な社会の実現などスケールの大きな問題が取りざたされています。こうした問題に取り組むには、科学者、技術者、政策立案者、基礎科学や応用分野など様々な分野の専門家のみならず、次代を担う若い学生・研究者が垣根を越えて集まり、議論することが重要ではないか。本学のエレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)が主催する国際会議「The Irago Conference」は,
“360 degree outlook on critical scientific and technological challenges for a sustainable society”をテーマとして「異分野融合のプラットフォーム」を目指すユニークな会議です。

この国際会議の第1回目は、2011年11月に本学において、アジア太平洋異分野融合研究国際会議(The Asia-Pacific Interdisciplinary Research Conference 2011)として開催されました。第2回目となる今回は、2012年11月15、16日、学会の名前を「The Irago Conference」に改称し、場所を伊良湖Sea-park & Spaホテルに移して開催します。今回もノーベル賞級の招待講演者を招き、魅力的なテーマについてご講演いただく予定です。バイオ技術、ナノテクノロジーの先端研究やそれらの異分野融合研究、近未来の社会・ビジネスの変革の予測、東日本大震災を受けて、防災、災害予測など、各分野の専門の先生方からご講演を頂きます。また、特別セッションでは、未来に向けた夢のある技術の話題として、"Energy Minimization of Future Mobile System"について議論します。エコな未来の乗り物や社会システムとはどんなものか?、どうやって実現するのか?、この分野を牽引する先生方から直接お話を伺います。このような魅力的な話題を一カ所で聞く事が出来る学会は、世界中を探してもこの国際会議だけ!、と自負しています。

さらに、学生セッションでは、国際会議で自分の研究を発表してみたい、という学生の皆さんの論文投稿をお待ちしています。もちろん、一般論文投稿も受付ます。第1回と同様、発表論文を査読付きの論文誌から出版を企画しています。この他、田原市が取り組む革新的なエネルギー、農業拠点を訪問するエクスカーションも企画するなど沢山の内容を準備し、皆様の論文投稿、ご参加をお待ちしております。詳細は下記のウェブサイトをご参照ください。現時点での講演スケジュールについてはこちらをご覧ください。
伊良湖と言えば、若き日の民俗学者、柳田國男が伊良湖岬で椰子の実を拾った話にインスピレーションを受けた島崎藤村の作詞による有名な歌曲「椰子の実」を生んだ土地です。この学会でも、世界から集まる様々な分野の研究成果や話題が分野を越えて互いを触発し、新たな異分野融合研究に発展していけばと願っています。

The Irago Conferenceウェブサイト
http://www.apirc.jp/
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Chapter06

ものづくりの研究者、技術者が豊橋に結集して最先端情報の交換−第62回塑性加工連合講演会− /機械工学系 教授 森謙一郎(もり けんいちろう)
図1. ホテル日航豊橋の講演会会場入口
図2 ホテルロビーにおける講演会受付
図3 多数の参加者があった第293回塑性加工シンポジウム
図4 スズキ梶@鈴木修会長による特別講演
図5 パネル・製品・カタログ展示
図6 大いに盛り上がったボーリング大会
図7 ホテルの30階で行われた懇親会
塑性加工とは
東海地方では自動車産業が非常に盛んです。自動車は1〜3万点の非常に多くの部品で構成されていますが、それらは高い強度が必要とされるために金属部品が多く使用されています。大量の金属部品を安定した精度で製造するために、金型によって金属を変形して所定の形状に成形する塑性加工が自動車部品製造に多く使われています。塑性加工はこの他電機機器、機械、鉄道車両、飲料缶などの製造に広く使われており、圧延、鍛造、プレス成形などがあります。

塑性加工連合講演会
塑性加工の研究発表の場として、年に2回塑性加工講演会が全国各地で開かれています。第62回塑性加工連合講演会は平成23年10月27日(木)〜29日(土)の3日間、愛知県豊橋市のホテル日航豊橋で開催され、初めての豊橋開催でした(図1、図2)。「国際会議の雰囲気を感じながらホテルでの先端塑性加工技術の情報交換」をテーマにして、快適な情報交換の場を提供するということを主眼において開催されました。最近利便性を考えてホテルで行われる国際会議が増加しており、それを国内講演会に適用しました。ホテル日航豊橋は十分な講演・会議の部屋、宿泊設備を有し、豊橋駅との無料シャトルバス、周辺にスーパーマーケット、レストランなどがあり、最も便利な講演会場になったものと思われます。また、機械工学系極限成形システム研究室は、過去2回の国際会議を当ホテルで行って講演会の実行に慣れており、教員と学生を合わせた30名ぐらいが講演会を手伝いました。

研究発表
本講演会の講演件数は283件であり、平成17年秋の沖縄(345件)、平成19年秋の北海道(301件)につぐ件数になり、参加者数は670名程度という過去最大の講演会になりました。

1日目には、第293回塑性加工シンポジウム「自動車の軽量化を目指した中空部品に挑む最新の塑性加工技術」が開かれました(図3)。中空材は自動車の軽量化に有効であり、シンポジウムは非常に関心を集め、参加者数が228名という最大規模になりました。また、午後には「日本の目指す持続可能社会」というテーマで若手フォーラムが開催されました。

2日目には、企業が最新製品、開発動向を紹介するコマーシャルセッションが行われ、15社が5会場に分かれてプレス成形、鍛造、パイプ加工、金型などの情報提供を行いました。また、スズキ(株) 鈴木修会長による「おやじのつぶやき」という特別講演があり、300名を超える多数の参加者がありました(図4)。鈴木修会長からは日本が非常に厳しい状況にあるが、がんばろうという力強いメッセージをいただきました。

付帯行事
講演会の前日にアスモ(株)、トピー工業(株)、津田工業(株)の見学会が開かれました。講演会の3日間を通して19社のパネル・製品展示、6社のカタログ展示があり、講演会参加者は最新技術情報を興味深く収集していました(図5)。展示ブースは講演の部屋を出た廊下にしたため、展示が見やすく、多数の人が見学していました。また、廊下の冷蔵庫に飲み物がおいてあり、参加者が自由に取れるようになっていたのは好評であり、3000本程度の飲み物が消費されました。

1日目の夕方には講演会で初めて企画されたボーリング大会が行われ、85名の参加者がありました。著名な先生方と一緒にボーリングを楽しみながら歓談するという企画であり、一般の研究者や学生が著名な先生方と一緒にスポーツを楽しんでいました。ストライクやスペアを取ることができれば周りから歓声があがり、点数に一喜一憂して非常に盛り上がりました(図6)。ボーリングをするのは久しぶりである方が多かったですが、昔の腕前を思い出して熱投されました。名誉会員も参加されましたが、その腕前は高く、懇親会で行われた結果発表では賞品を取られる方が続出しました。

2日目の夕方には豊橋で最も高いホテルの30階で懇親会があり、190名程度の参加者があり、歓談に盛り上がりました(図7)。30階だけでは会場が十分でなかったため、乾杯後29階にも分かれて懇親会が行われましたが、29階では少し落ち着いた雰囲気で歓談できるようになっていました。バイキング料理だけでなく、豊橋名産のちくわと地酒が喜ばれました。
 
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Chapter07

第54回自動制御連合講演会の報告/機械工学系 教授 寺嶋一彦(てらしま かずひこ)
主   催: 計測自動制御学会(幹事学会)、システム制御情報学会、日本機械学会、化学工学会、
精密工学会、日本航空宇宙学会
会   期: 2011年11月19日(土)、20日(日)
会   場: 豊橋技術科学大学
参加者数: 750名
発表論文数: 471件

自動制御連合講演会は、制御およびそれに関連する計測、システムなどの分野で活躍する研究者、技術者が一同に会し、学会の枠を超えて学際的な研究発表を行う学術講演会で、制御に関する国内講演会としては最も伝統のある講演会の一つです。自動制御に関するありとあらゆるものを含むという意味では、この分野において世界最大で、3年に1度開かれるIFAC(International Federation of Automatic Control)World Congress に相当するもので、著者は、第54回大会の実行委員長としてこの講演会の開催に係わりましたので、その立場から振り返ってみたいと思います。

学会開催を機会に大学と共にこの地域をアピールしようと、実行委員会では意欲を持ち開催に臨みました。成熟してきた制御の分野で『インパクトのある学問・技術としての制御工学のアピール』ができないかと考え、『「人や社会にやさしい」から「人や社会を救う」自動制御連合研究へのブレークスルーに向けて』をメインテーマに掲げ、特別企画や特別講演、オーガナイズドセッションを企画しました。ところが2011年3月東日本大地震が発生し、開催も一時危ぶまれましたが、メインテーマの趣旨は、やはり今後大切なものであると再認識し、復興への元気づけという意味でも、開催しようということになり実施に踏みきりました。時の人であるハヤブサの川口淳一郎氏や、海外からカリフォルニア大学バークレイ校の冨塚誠義氏等、大変著名な方々に講演いただくことができ盛り上がり、お陰様で、講演発表数、参加者共に、最近の自動制御連合講演会の規模の1.5倍以上の盛況で成功裏に終えることができました。

講演をする川口淳一郎氏
パネルディスカッションの様子
今回は、特別講演として、 「はやぶさが挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」と題し、川口 淳一郎 氏(宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所教授)を招き、市民公開講座として、学会会員以外の方も参加できるようにしました。市民の方も含め、700人の方々が参加し大盛況でした。話も、あっという間に1時間が過ぎたという印象で、もっと話を聞きたいと思わせるほど興味深いものでありました。もう一つの大きな企画として、メインテーマに関する話題提供とパネルディスカッションを行いました。まず、4人の高名な先生方に話題提供をしていただき、最後に皆でパネルディスカッションを行いました。本学からは、榊佳之学長、三枝正彦特任教授にご講演をいただきました。討論では、清水良明教授の司会のもとで、大変貴重な討論がなされました。各講師のタイトルは次のとおりです。榊佳之 氏(豊橋技術科学大学学長)「生命システムに学ぶ自動制御戦略」、藤江 正克 氏(早稲田大学教授)「医療福祉ロボット」、山下善之 氏(東京農工大学教授)「プロセスシステムのモニタリングと制御」、三枝正彦 氏(豊橋技術科学大学特任教授)「食農・環境問題」。懇親会は、豊橋駅前のホテルアークリッシュ豊橋で行いました。お忙しい中、榊学長ご夫妻にご出席いただきました。榊学長には、祝宴の挨拶で、本学や豊橋を宣伝いただくなど、多大なご支援を賜ったお陰で、大変盛況で和やかな宴となりました。大学での学会開催は、大学の宣伝になると共に、本学に在籍する若い研究者や学生に大いに刺激になり、こういう活動を通じて、顔を売り出す機会になるので、今後も、本学で学会開催を適宜行うのがよいと思います。

最後になりますが、本講演会の開催にあたっては、本学の多くの方々に大変なご協力をいただきました。ここに深く御礼申し上げる次第です。
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