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中鉢 淳(なかばち あつし)

所属 エレクトロニクス先端融合研究所
兼務 環境・生命工学系
職名 准教授
専門分野 共生生物学、昆虫学、微生物学
学位 博士(理学) (東京大学)
所属学会 日本ゲノム微生物学会、日本微生物生態学会、日本応用動物昆虫学会、日本動物学会、日本進化学会
E-mail nakabachi@eiiris
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究室web http://www.eiiris.tut.ac.jp/nakabachi.html

研究紹介

地球は生命に満ちあふれており、あらゆる生物は、環境中の他の生物と、何らかの相互作用を持って生活しています。我々人類も、もちろん例外ではありません。無数の微生物との関わり方が、ヒトの健康状態を規定する大きな要因となりますし、農業をはじめとする生物生産は、複雑な生物相において、人類に有用な生物群のみを、効率良く選抜育成する過程に他なりません。私たちの研究室では、こうした生物間相互作用、広義の共生現象に注目し、その成り立ちを理解することで、医療、衛生、食料生産などへの応用展開の基盤づくりをすすめています。

テーマ1:昆虫菌細胞内共生系の存立基盤の解明と新規害虫防除法の開発

概要
世界的農業害虫アブラムシ。共生細菌との複合生命体である。

昆虫には「菌細胞(bacteriocyte, mycetocyte)」とよばれる特殊な細胞を持ち、この中に、相利共生細菌を保有しているものがいます。こうした細菌は、虫の親から子へと数千万年以上にわたって受継がれ、その過程で多くの遺伝子を失い、宿主と一体化するなど、ミトコンドリアや葉緑体といったオルガネラ(細胞小器官)と同様の特徴を持つため、複数生物間の融合機構の解明に絶好のモデルといえます。また、この共生系は、アブラムシやツェツェバエなどの重要な農業・衛生害虫の生存に必須である一方、我々ヒトを含む周辺環境中の他の生物には存在しないため、選択性が高く、安全で効果的な新規防除法開発の標的としても有望です。本研究室では、多様な手法を駆使して菌細胞内共生系の存立基盤を解明し、新たな防除法の開発につなげることを目指しています。

主な業績

Nakabachi A. (2015) Horizontal gene transfers in insects. Curr Opin Insect Sci 7: 24–29.

Nakabachi A, Ishida K, Hongoh Y, Ohkuma M, Miyagishima SY. (2014) Aphid gene of bacterial origin encodes a protein transported to an obligate endosymbiont. Curr Biol 24(14): R640-R641.

Sloan DB, Nakabachi A, Richards S, Qu J, Murali SC, Gibbs RA, Moran NA. (2014) Parallel histories of horizontal gene transfer facilitated extreme reduction of endosymbiont genomes in sap-feeding insects. Mol Biol Evol 31(4): 857-871.

The International Aphid Genomics Consortium. (2010) Genome sequence of the pea aphid Acyrthosiphon pisum. PLoS Biol 8(2): e1000313.

Nikoh N, McCutcheon JP, Kudo T, Miyagishima S, Moran NA, Nakabachi A. (2010) Bacterial genes in the aphid genome: Absence of functional gene transfer from Buchnera to its host. PLoS Genet 6(2): e1000827.

Nakabachi A, Yamashita A, Toh H, Ishikawa H, Dunbar HE, Moran NA, Hattori M. (2006) The 160-kilobase genome of the bacterial endosymbiont Carsonella. Science 314 (5797): 267.

Nakabachi A, Shigenobu S, Sakazume N, Shiraki T, Hayashizaki Y, Carninci P, Ishikawa H, Kudo T, Fukatsu T. (2005) Transcriptome analysis of the aphid bacteriocyte, the symbiotic host cell that harbors an endocellular mutualistic bacterium, Buchnera. Proc Natl Acad Sci USA 102(15): 5477-82.

キーワード

菌細胞, 共生細菌, 農業・衛生害虫, オミックス解析, ケミカルバイオロジー, 選択的防除

テーマ2:共生系遺伝子資源からの新規有用物質の取得

概要
キジラミ共生細菌。中央は宿主菌細胞の核。周囲のひも状の構造が共生細菌。

上記共生細菌類は、昆虫の細胞内という特殊な環境を利用しながら、宿主昆虫に何らかのメリットを与えるユニークな存在であり、人類にとって有用な物質を得るための遺伝子資源としても注目されます。実際に、私たちの先行研究などにより、昆虫共生細菌の中には強力な生理活性物質を生産するものがあることが分かって来ました。私たちは、様々な共生系について解析を進めて有用物質を探索しています。

主な業績

Nakabachi A, Ueoka R, Oshima K, Teta R, Mangoni A, Gurgui M, Oldham NJ, van Echten-Deckert G, Okamura K, Yamamoto K, Inoue H, Ohkuma M, Hongoh Y, Miyagishima SY, Hattori M, Piel J, Fukatsu T. (2013) Defensive bacteriome symbiont with a drastically reduced genome. Curr Biol 23(15): 1478-84.

Moran NA, McCutcheon JP, Nakabachi A. (2008) Genomics and evolution of heritable bacterial symbionts. Annu Rev Genet 42: 165-90.

キーワード

遺伝子資源, 創薬, 二次代謝産物, 生理活性物質, 抗生物質, 抗がん剤

テーマ3:農作物生産に関連する生物間相互作用の研究

概要

急激な人口増加に直面する人類の喫緊の課題のひとつに、食糧の増産があります。この実現に向け、本研究室では、非生物的環境-微生物-植物-動物(昆虫を含む)間の多様な相互作用の解明にも取り組み始めています。

主な業績

Nakabachi A, Nikoh N, Oshima K, Inoue H, Ohkuma M, Hongoh Y, Miyagishima SY, Hattori M, Fukatsu T. (2013) Horizontal gene acquisition of Liberibacter plant pathogens from a bacteriome-confined endosymbiont of their psyllid vector. PLoS One 8(12): e82612.

キーワード

食糧増産, 生物生産, 生物間相互作用, オミックス解析, 植物生理, センサー技術

担当授業科目名(科目コード)

環境生物工学 (B14620350)
生命工学特論Ⅰ (D34030040)
食農技術科学特論Ⅱ (M24630450)
生命・物質特別講義 (S14620430)

その他(受賞、学会役員等)

2010年3月 第3回日本ゲノム微生物学会研究奨励賞受賞


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