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Lim Pang Boey(リム パン ボイ)

所属 国際教育センター
兼務
職名 准教授
専門分野 ホログラムメモリ、ホログラム材料の評価、コリニアホログラフィ
学位 博士(学術) (埼玉大学)
所属学会 電気学会 / 日本磁気学会 / 電子情報通信学会 / 応用物理学会 / MRS(USA) / ODS(USA)
E-mail may2lim@cie.ignite
※アドレスの末尾に「.tut.ac.jp」を補完してください
研究室web http://www.cie.tut.ac.jp

研究紹介

 我々は,世界的に見てもユニークなコリニア方式ホログラムメモリの開発を行い,連続回転するホログラム光ディスクへの記録再生に成功した.この方式は現在,国際準化として認定され,実用化に向けた開発が開始されている.しかし,その記録材料であるフォトポリマは,リライタビリティがないことや,遮光が必要であること,長期安定性の不安など,実用化に際して解決すべき多くの課題がある.
 我々の研究は透光性強磁性膜に体積的な磁気ホログラムを形成することで,上述の難点のないリライタビリティを有するコリニアホログラムメモリを世界に先駆け実現しようとするものである.このために,光磁気エンハンスト体積記録メディアや,ピコ秒レーザを光源とするコリニア磁気ホログラムシステムなど,世界的にも例のない新規の光メモリ基盤技術を確立し,最終的にはこれらを組み合わせたプロトタイプシステムの実現を目的としている。

研究室ホームページ: http://www.spin.ee.tut.ac.jp

テーマ1:ナノ構造磁性フォトニック結晶を用いたコリニア体磁気ホログラムメモリに関する 研究

概要

(1)研究の背景

(ア)本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ
 スーパーハイビジョンや3D 映像等の大規模コンテンツや,放送局などに保存されるアーカイブ情報,医療機関で蓄積されるCT やMRI などの医療生体画像データの巨大化により,大規模かつ超高速に情報データを記録再生できるエネルギー消費量の少ない情報ストレージ装置が求められている.
 我々のグループは,2000 年に開始したJST のCREST 事業(代表者:井上光輝)で,従来は2 光束方式(図1)で実用が困難であったホログラムメモリを,見かけ上1 本の光ビームでホログラムが記録再生できるコリニア方式ホログラムメモリ(図2)の開発に着手し,2005 年に連続回転する光ディスクにDVD ライクにホログラム情報記録ができることを世界で初めて示した(図3).このホログラムメモリは,DVD サイズの光ディスクに最大3 TB に達する大容量の情報を1 Gpbs の高速で記録再生でき,次世代光メモリとして極めて有望である.実際,このコリニア方式ホログラムメモリは,Ecma International の国際標準化組織で世界初のホログラムメモリ国際標準として承認された.
 上述の成果を踏まえて2005 年に開始した文部科学省キーテクノロジー事業では,光位相を用いた多値体積記録ホログラムメモリの開発を行い,記録密度と転送レートが最大で16 倍に達することを原理実証した.

(イ)着想に至った経緯
 しかし,上述のホログラムの記録材料はライトワンスのフォトニックポリマで,情報の消去・再書き込み可能というリライタビリティはなかった.また,フォトニックポリマは遮光が不可欠で,記録メディアは常にカートリッジに装着しなければならないことや,経時変化に伴う記録情報の安定性に難点があった.
 本研究代表者の林らは,リライタビリティをもつ安定な記録材料として,希土類鉄ガーネットなどの透光性酸化物強磁性体に着目し,この材料のホログラム記録再生特性を調べてきた.強磁性薄膜にホログラムを記録する磁気ホログラフィの研究は,1980 年代にアモルファスTbFe 合金などの垂直磁化膜を用いて調べられたが,10 nm 程度の薄い金属膜からの回折効率は4×10-3 %(松原 他,テレビジョン学会誌, vol.44, 1356(1990))と低く,実用化には至らなかった.
 我々は,透光性をもつ希土類鉄ガーネット膜(約3 μm 厚)を用いて,2光束法で単純な縦縞様ホログラムの体積記録を試みた.その結果,フォトポリマの記録時とほぼ同じ60 mJ/cm2 のエネルギー密度で熱磁気書き込みした磁気ホログラムから,回折効率0.14%の高い効率で信号光が再生できることを見出した.この値は,前述の金属膜の場合の30 倍に達する前代未聞の値で,世界で初めて体積的に磁気ホログラフィの記録再生ができることを示した.
 この結果を踏まえ,実用性に優れるコリニア方式で磁気ホログラムの形成・再生を試みたところまったく再生光は検出されなかった.これは,コリニア方式では1 つの対物レンズで信号光と参照光とを集光して位相干渉させるために,空間的に相当複雑な体積ホログラムが形成される.フォトポリマでは,その干渉縞を精度よく反映した屈折率変調ホログラムが形成できるが,磁気ホログラムでは磁気ドメインの空間分解能の不足や,熱磁気書込み時の熱拡散による干渉縞のボケが原因と考えられた.

(ウ)これまでの成果を発展させる内容
 そこで我々は,多結晶磁性ガーネット膜の結晶粒サイズを平均50 nm程度に低減し,かつ結晶粒間の磁気的結合を弱くすることで,連続的につながる複雑な体積干渉縞を,単磁区磁性ナノドットの集合として表現する方法を試みた.その結果,図4 に示すように,コリニア方式で記録した体積磁気ホログラムから,デジタル信号に対応したピクセルイメージが明瞭に得られ,複雑な干渉縞を形成するコリニア方式でも,体積磁気ホログラムの記録再生ができることを実証した.この成果は国内外を通じて例がなく,新規性・独走性が極めて高い.
 本研究は,これらの研究実績を踏まえて,コリニア体積磁気ホログラム記録の高密度化とプロトタイプシステムの構築を行い,究極的にはリライタビリティを有する光磁気体積ホログラムデータストレージの実現を目指すものである.

(2)研究項目
  現在以下に記す項目について研究を実施している.
(a) 光磁気体積記録材料の最適化(コントラスト向上とノイズ低減)
 多結晶磁性ガーネット膜の結晶粒微細化と粒間磁気結合を制御することで,再生像コントラストに優れノイズの少ない記録材料を得る条件を解明する.
(b) 磁性フォトニック結晶構造を用いた光磁気エンハンストメディアの実現
 上述した記録材料に,磁性フォトニック結晶構造などの光磁気エンハンスを施した記録メディアを形成し,記録再生特性に優れるメディア構造を実験的に探査する.
(c) 記録再生光学系の最適化とパルス光源導入による高性能化
 熱磁気解析から最適な光学系配置と書込み条件を探る.また,従来のパルスYAG レー ザからフェムト秒に至る短パルスレーザを導入して,記録再生特性の高性能化を図る.
(d) シフト多重による記録密度の向上
 磁気体積ホログラムのシフト多重性について定量的に評価し,記録密度の向上を図 る.
(e) 光磁気体積ホログラムストレージのプロトタイプ装置の構築
 以上の研究結果を総合的に組み合わせて,コリニア方式による光磁気体積ホログラム ストレージのプロトタイプ装置(非ディスク回転系)を構築する.

(3) 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
(a) 体積的位相干渉パターンを,透光性強磁性体の中に磁性ナノドットの集合として形成 し,磁気ホログラムの記録再生を行おうとする試みは国内外を通じて例はなく,独創性と新規性が極めて高い.
(b) 我々が開発したコリニアホログラフィと光磁気体積ホログラムとを組み合わせること で,世界的に見ても例のないリライタブルなホログラム光ディスクストレージが実現できる.
(c) 本研究で構築するプロトタイプ装置をベースとして,当該技術の国際標準化に向けた 議論が開始できると同時に,我国の光情報ストレージに関する技術力・国際競争力の一層の強化,新成長戦略が目指すグリーンイノベーション,ライフイノベーションに資するものである.

キーワード

2光束方式、コリニア方式、シフト多重、コリニアホログラフィ、次世代光メモリ、光磁気体積ホログラム、コリニアホログラムメモリ、磁性体、多結晶磁性ガーネット膜、ライトワンス、リライタビリティ

担当授業科目名(科目コード)

履修相談、一般科目(語学・物理・数学など)、専門科目の質問受け付け、大学生活全般の相談を行います。英語、日本語の他、マレー語、インドネシア語、中国語での対応も可能です。


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