(趣旨)
第1条 この規程は,国立大学法人豊橋技術科学大学(以下「本学」という。)における化学物質等の自主的かつ適切な管理を推進し,安全上の危害及び健康障害並びに環境への影響を未然に防止するため,必要な事項を定める。
(法令との関係)
第2条 本学における化学物質等の管理については,次条第1項に掲げる法令,高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)及び特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号),その他の法令(以下「法令等」という。)に定めるもののほか,この規程の定めるところによる。
(定義)
第3条 この規程において,次の各項に掲げる用語の定義は,当該各項に定めるところによる。
2 化学物質等 教育又は研究に用いる元素及びその化合物のうち,危険又は有害性を有する次に掲げるものをいう。
(1)特定化学物質 労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号。以下「安衛法施行令」という。)別表第3に示すもの
(2)有機溶剤 安衛法施行令別表第6の2に示すもの
(3)リスクアセンスメント対象物 安衛法施行令第18条各号に示すもの及び労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)第57条の2第1項に示す通知対象物。
(4)濃度基準値設定物質 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第577条の2第2項に規定する厚生労働大臣が定める濃度の基準が定められているもの。
(5)がん原性物質 安衛則第577条の2第5項の規定に基づきがん原性があるものとして厚生労働大臣が定めるもの。
(6)毒物・劇物・特定毒物 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第2条に規定するもの
(7)危険物 消防法(昭和23年法律第186号)別表第1の品名欄に掲げるもの
(8)第一種指定化学物質 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律施行令(平成12年政令第138号。「以下PRTR法施行令」という。)別表第1に示すもの。
(9)第二種指定化学物質 PRTR法施行令別表第2に示すもの。
(10)その他有害性又は危険性が確認されているもの又は有害性若しくは危険性が予測されるものであって,かつ,法令等により指定されている物質(医療用医薬品及び放射性物質を除く。)
3 この規程において「リスクアセスメント」とは,化学物質等による危険性又は有害性を特定し,特定された化学物質等による危険性又は有害性並びに当該化学物質等を取り扱う作業方法,設備等により業務に従事する者に危険を及ぼし,又は健康障害を生じさせるおそれの程度及び当該危険又は健康障害の程度(以下「リスク」という。)を見積り,かつ,リスク低減措置の内容を検討することをいう。
4 この規程において「系等」とは,化学物質等を取り扱う系,総合教育院,研究所及び共同利用教育研究施設他学内の施設をいう。
5 この規程において「研究室等」とは,化学物質等を取り扱う実験室及び化学物質等を保管している場所をいう。
(管理組織)
第4条 学長は,本学における化学物質等の管理について総括する。
2 本学における化学物質等の管理の責任者として化学物質統括管理者を置き,学長が指名する者をもって充てる。
3 系等の長(以下「系長等」という。)は,所属する系等の研究室等毎に化学物質管理者を選任し,化学物質等の適正な管理を行うよう,監督・指導する。
4 化学物質管理者は,化学物質等を使用する研究室等の代表者をもって充てる。なお,研究室の代表者本人の化学物質使用の有無は問わない。
5 化学物質管理者は,研究室等で使用又は保管する化学物質等について,常にその状況を把握し,適正に管理されるよう指揮監督に努めるとともに,次の各号に掲げる事項を処理しなければならない。
(1)ラベル・SDS等の確認
(2)化学物質等に関わるリスクアセスメントの実施管理
(3)リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択,実施の管理
(4)化学物質等の自律的な管理に関わる各種記録の作成・保存
(5)化学物質等の自律的な管理に関わる教職員及び学生への周知,教育
(6)リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応
6 研究室等に化学物質使用責任者(以下「使用責任者」という。)を置き,化学物質等を使用する者のうちから選任する。
7 使用責任者は,化学物質管理者の管理のもとに化学物質等の性状に基づき適切に取り扱うとともに,化学物質等の盗難,紛失,漏洩等に留意し適切に管理するよう化学物質等を取り扱う全ての者(以下「使用者」という。)に対し指導を行わなければならない。
(使用者の責務)
8 使用者は,法令等及びこの規程の定めるところにより,化学物質等を適正に取り扱わなければならない。
9 化学物質統括管理者は,化学物質管理者及び使用責任者を兼ねることができる。
10 化学物質管理者は,使用責任者を兼ねることができる。
(保護具着用管理責任者)
第5条 学長は,リスクアセスメントに基づく措置として使用者に保護具を使用させる場合,保護具に関する知識及び経験を有すると認められる教職員のうちから保護具着用管理責任者を選任する。
2 保護具着用管理責任者は,次の各号に掲げる業務を行うものとする。
(1)保護具の適正な選択に関すること。
(2)使用者の保護具の適正な使用に関すること。
(3)保護具の保守管理に関すること。
(化学物質のばく露程度の低減等)
第6条 使用責任者は,化学物質を使用する場合には,次の各号に掲げる事項を行い,ばく露される濃度の低減措置を講じなければならない。
(1)使用者に,取り扱う化学物質等の有害性及び危険性についての情報を,SDS(安全データシート)等により取得させること。
(2)化学物質等の有害性又は危険性が高いと判断した場合は,有害性又は危険性が低い化学物質等への転換等代替物等の使用に努めること。
(3)発散源を密閉する設備,局所排気装置又は全体換気装置の設置・稼働等,化学物質等の飛散の防止措置を講じるとともに,化学物質等を使用する前に,局所排気装置等の点検を行うこと。
(4)換気等作業環境改善のみでは防ぐことができない場合,呼吸用保護具を使用者に使用させること。
(5)取り扱う化学物質等についてのリスクアセスメントを行うこと。
(6)リスクアセスメントの結果を使用者に周知し,ばく露状況について意見聴取した結果を化学物質管理者に報告すること。
(7)使用者の健康障害を防止するために,リスクアセスメント対象物に使用者がばく露される程度を最小限にすること。リスクアセスメント対象物以外の物質を取り扱う場合も,使用者がばく露される程度を最小限度にするよう努めること。
(8)リスクアセスメント対象物のうち,一定程度のばく露に抑えることにより,使用者に健康障害を生じるおそれがないものとして,厚生労働大臣が定める物質(濃度基準値設定物質)を使用する場合は,これらのものにばく露される程度を厚生労働大臣が定める濃度の基準(濃度基準値)以下とすること。
(9)化学物質等のうち,特別管理物質,がん原性物質(がん原性がある物として厚生労働大臣が定めるもの)を取り扱う場合は,化学物質等毎に使用者の氏名並びに作業概要及び当該作業に従事した期間(著しく汚染される事態が生じた場合は,その概要及び応急措置の概要)を記録すること。
(10)リスクアセスメント対象物をラベル表示のない容器に入れ,又は包装して保管する場合は,当該容器又は包装への表示その他の方法により,当該物を取り扱う者に対し,当該物の名称及び人体に及ぼす作用等を明示すること。
2 使用者は,化学物質等の使用に当たっては,次の各号に掲げる事項に従って取り扱わなければならない。
(1)化学物質等の使用にあたっては,事前にSDS(安全データシート)等により当該化学物質等の有害性及び危険性等を確認し,理解すること。
(2)リスクアセスメントの結果を確認し,その結果に応じて適切に取り扱うこと。
(3)通風又は換気が不十分であるなど,化学物質等の取扱いに不適切な場所では取り扱わないこと。
(事故防止とリスク管理)
第7条 系長等,化学物質管理者,使用責任者及び保護具着用管理責任者は,事故の防止とリスク軽減のため,組織的で効果的な化学物質等のリスク管理を行わなければならない。
2 系長等,化学物質管理者及び保護具着用管理責任者は,使用責任者によるリスクアセスメントの実施状況を適切に管理し,必要に応じて,作業方法及び設備等の改善,安全対策の実施を指示し,使用者の安全確保とリスク軽減に努めなければならない。
3 使用責任者は,化学物質等による危害を未然に防止するため,化学物質等の使用状況を把握し,自主的なリスク低減措置を実施するとともに,使用者に対し,化学物質等の安全な取扱いと適正な管理について指導しなければならない。
(緊急時の措置)
第8条 使用者は,化学物質等に起因する火災,爆発等又は化学物質の飛散,漏えい,流出等による健康障害若しくは環境汚染が生じ,又は生ずるおそれがあるときは,直ちに使用責任者及び化学物質管理者に報告するとともに,必要な措置を講じなければならない。
2 使用者は,化学物質等が盗難に遭い,又は紛失したときは,直ちに使用責任者及び化学物質管理者に報告しなければならない。
3 化学物質管理者は,前2項の報告を受けたときは,直ちに所属の系長に報告しなければならない。
4 系長等は,前項の報告を受けたときは,直ちに化学物質統括管理者に報告しなければならない。
5 化学物質統括管理者は,前項の報告を受けたときは,総括安全衛生管理者に報告するとともに,警察署又は消防機関に連絡しなければならない。
(化学物質等の廃棄)
第9条 化学物質等の廃棄処理は,本学廃棄物処理の指針(施設マネジメント戦略本部廃棄物専門部会作成)の他,関係法令に基づき,適切に処理しなければならない。
(安全衛生委員会)
第10条 化学物質等に関する管理上必要な具体的措置の策定その他重要事項は,安全衛生委員会の議を経るものとする。
(事務)
第11条 この規程に関する事務は,総務課において処理する。
(規程の改廃)
第12条 この規程の改廃は,国立大学法人豊橋技術科学大学の規則の種類及び制定等に関する規程(平成16年度規程第1号)の規定により,戦略企画会議の議を経て学長が行う。
(その他)
第13条 この規程に定めるもののほか,この規程の実施に関し必要な事項は,別に定める。
附 則
この規程は,令和7(2025)年3月12日から施行する。