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エフエム豊橋『天伯之城ギカダイ』第226回放送「縁の下の力持ち『トライボロジー』」機械工学系 准教授 竹市嘉紀

機械工学系 准教授 竹市嘉紀への取材は11月12日に行いました。

「トライボロジー」とは「摩擦、摩耗、潤滑」といったことが関連するものを取り扱う学術分野を指す。様々な機械には摩擦する(お互いに擦れ合う)部分がたくさん存在する。この摩擦抵抗を低くする(すべりを良くする)ことはエネルギーの無駄を減らすことに直結する。また、これにより機械故障の原因となる部品の摩耗を減らし、機械部品の交換頻度を抑えることができる。つまり、省エネルギー、省資源に大いに貢献する分野である。...にも係わらず、この学術分野の認知度は低い。機械が正常に動いている間はさほど気にされない問題であることも理由のひとつであろう。機械のメンテナンスに係わる人ですら「すべりが悪くなれば油を注しておけば良い」という程度にしか認識されないことが多い。一方、この「すべりを良くする」という目的のために当分野の技術者や研究者がたゆまない努力を続けている。トライボロジスト(トライボロジー研究に係わる者)は「縁の下の力持ち」を自負している。

油やグリースですべりを良くするのは一般的であるが、非常に高い温度になる場所、真空などの油が蒸発してしまう場所、生体内、食品や電子部品などを取り扱うクリーンな場所などの摩擦部品には油やグリースが使えない。その様な場所で摩擦部品に用いるのが固体潤滑剤(あるいは固体潤滑材料)である。当研究室では主に固体潤滑をテーマとした研究を行っている。

一例として、人工関節のトライボロジー問題。股関節や膝関節の疾病により、人工関節に置換する手術が2010年度に6万件以上行われている。一方、摩耗が原因のひとつとなり、人工関節が十分に機能しなくなるまでの期間が15年程度といわれており、ますます進む高齢化社会、同時に求められるQOL(クオリティ・オブ・ライフ)や福祉社会の充実を考えると、この寿命をさらに延ばすことがトライボロジストに求められる大きな課題である。

『今日から使って欲しい業界(専門)用語』 「トライボロジー」

「トライボロジー(tribology)」とは摩擦や摩耗に係わる様々な現象を取り扱う工学の一分野を表す。省エネルギー・省資源問題に直結する重要な分野であることから、広く認知されることを目的として作られた造語である。ギリシャ語で「摩擦する」を意味する「tribos」より派生した言葉である。機械工学の分野ではだいぶん広く知られるようになったが、残念ながら「エコロジー」などと比べると広く一般には知れ渡っていない。


[初版作成]:2012-11-22 [最終改定]:2012-11-22

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