豊橋技術科学大学

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岡田 美智男(おかだ みちお)

所属 情報・知能工学系
兼務 安全安心地域共創リサーチセンター
次世代半導体・センサ科学研究所
職名 教授
専門分野 コミュニケーションの認知科学 / 社会的ロボティクス / ヒューマン・ロボットインタラクション
学位 工学博士(東北大学)
所属学会 認知科学会 /日本生態心理学会 / 人工知能学会 / 情報処理学会 / ヒューマンインタフェース学会
E-mail okada@
※アドレスの末尾に「tut.jp」を補完してください
研究室web http://www.icd.cs.tut.ac.jp
研究者情報(researchmap) 研究者情報

研究紹介

社会的ロボティクス、関係論的なロボティクスと呼ばれる、人とのコミュニケーションの成立や社会的関係の形成プロセス、人との関わりの中での認知発達プロセスの解明を狙いとした次世代ロボットの研究を進めています。また、生態心理学や身体性認知科学、関係論などの視点からコミュニケーションやインタラクションの理論を構築し、ロボットやエージェントを用いて構成的な検証を進めています。さらに、これらの枠組みや理論に基づき、次世代のヒューマンインタフェースや学びの場のデザインなどを行っています。

テーマ1:社会的ロボットおよび関係論的なロボットの構成原理に関する研究

概要
Sociable Trash Box

わたしたちの身体は自己完結しているように見えるけれども、その視点を内側に移してみると、自らの顔さえ自分では見ることができない不完結なものなのではないか。こうした生態心理学や身体性認知科学の観点から、周囲を味方にしながら、合目的的な行為を遂行していく関係論的な行為方略を備えた〈弱いロボット〉の研究を進めています。

- 自らではゴミを拾えないものの、子どもたちの手助けを上手に引き出しながら結果としてゴミを拾い集めてしまう〈ゴミ箱ロボット(Sociable Trash Box)〉や、モジモジしながらも相手の手助けを借りつつ、ティッシュを手渡そうとする〈アイ・ボーンズ(iBones)〉などの研究。

- 聞き手の手助けを引き出しながら、一緒に発話を組織する〈Talking-Ally〉や、言葉足らずな発話で、周囲の人の助け舟や積極的な解釈を引き出しながら、多人数での会話連鎖を組織する〈む~(Muu)〉など、人とロボットとの社会的相互行為の組織化に関する研究。

主な業績

◆ 岡田美智男:『ロボット 共生に向けたインタラクション』、東京大学出版会 (2023).
◆ 岡田美智男:『〈弱いロボット〉の思考 - わたし・身体・コミュニケーション』、講談社現代新書、講談社 (2017).
◆ 岡田美智男:『弱いロボット』(シリーズ ケアをひらく)、医学書院 (2012).
◆ 岡田美智男・松本光太郎共編著:『ロボットの悲しみ - コミュニケーションをめぐる人とロボットの生態学』、新曜社 (2014).
◆ 岡田美智男:モノと者の間にあるもの ― ロボット研究から『モノ学』へのアプローチ、鎌田東二編著『モノ学の冒険』、pp.203-219, 創元社(2009).
◆ Naoki Ohshima , Yasuke Ohyama, Yuki Odahara, P. Ravindra S. De Silva, and Michio Okada: Talking-Ally: The Influence of Robot Utterance Generation Mechanism on Hearer Behaviors, International Journal of Social Robotics, Volume 7, Issue 1, Pages 51-62 (2015).
◆ Yuto Yamaji, Taisuke Miyake, Yuta Yoshiike, P. Ravindra S De Silva and Michio Okada: STB:Child-Dependent Sociable Trash Box, International Journal of Social Robotics, Volume 3, Number 4, Pages 359-370 (2011).

キーワード

〈弱いロボット〉、社会的ロボット、関係論的ロボット

テーマ2:コミュニケーションやインタラクションの認知科学

概要
Sociable Creature - Muu

「伝えようとしても、伝わらない」ということがある一方で、「伝えようとしなくとも、伝わってしまう」ということも。本研究では、周囲の人の積極的な解釈を引き出す〈引き算としてのデザイン〉手法やその解釈を方向づける最小の手掛かりである非分節音や「もこもこ音」などを援用しながら、人とロボットとの新たなコミュニケーションの在り様を探っています。また、同一の身体を共有することで可能となる人と人との身体的・原初的なコミュニケーションの様相を構成論的に探っています。

- 他者の解釈を積極的に引き出しつつ、その解釈を方向付ける最小の手掛かり(minimal cues)やそのミニマルデザインに関する研究。

- フラフラと彷徨うだけのロボット〈ペラット〉など、「関係としての同型性」や「なり込み」に基づく人とロボットとの原初的コミュニケーションに関する研究。

- 一緒に手をつなぎながら並んで歩くロボット〈マコのて〉など、並ぶ関係に基づく間身体的なコミュニケーションの研究。

主な業績

◆ 岡田美智男:人とロボットとの生態学的コミュニケーション、 河野哲也編:『知の生態学的転回3 倫理 人類のアフォーダンス』、pp.29-52、東京大学出版会 (2013).
◆ Youssef Khaoula, Michio Okada: Gracefully Mitigating Communication Protocol Reuse Breakdowns, Journal of Communications, Vol.12, No.3, pp.187-193 (2017).
◆ Khaoula Youssef and Michio Okada: How a Minimally Designed Robot can Help Implicitly Maintain the Communication Protocol, Internal Journal of Social Robotics, Volume 9, Issue 3, pp 431–448 (2017).
◆ 鴨田 貴紀, 角 裕輝, 竹井 英行, 吉池 佑太, 岡田 美智男:Sociable Dining Table: 相互適応による「コンコン」インタフェースに向けて、ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.12, No.1, pp.57-70 (2010).
◆ 大島直樹、岡澤航平、本田裕昭、岡田美智男: TableTalkPlus:参与者の共同性や社会的なつながりを引きだすアーティファクトとその効果、ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.11, No.1, pp.105-114 (2009).

キーワード

インタラクション科学、コミュニケーションの認知科学、原初的なコミュニケーション

テーマ3:〈弱いロボット〉の概念に基づくインタラクションデザインとその社会実装

概要
NAMIDA

「もっと、もっと」と機能性や利便性を高めたシステムは、わたしたちを受動的な存在とし、ときには傲慢さを引き出してしまうことも。本研究では〈弱いロボット〉や〈不便益〉などの観点から、わたしたちの優しさや工夫を引き出したり、新たな学びを生み出すようなインタラクションデザインとその社会実装を進めています。

- ときおり大切な言葉を忘れしてしまう〈Talking-Bones〉などを援用した、他の世話をしつつも、結果ととして自らも学んでしまうような関係発達論的な学びの場のデザインや他のケアをしつつ、自らもケアされるような関係論的なケアの可能性の探求。

- 自動運転システム(Level 3)とドライバとの協調を生み出すドライビング・エージェント〈NAMIDA〉など、お互いの〈弱さ〉を補いつつ、その〈強み〉を引き出しあうような、人とロボットとの共生論の構築。

主な業績

◆ 岡田美智男:ロボットとしての自動運転システム 〈もうひとりの運転主体〉とのソーシャルなインタラクションにむけて、「モビリティと人の未来」編集部編:『モビリティと人の未来 ― 自動運転は人を幸せにするか』、pp.110-123、平凡社 (2019).
◆ 岡田美智男:〈弱いロボット〉と人とのインタラクションにおける不便益、川上浩司編著『不便益 ― 手間をかけるシステムのデザイン』、近代科学社(2017).
◆ 岡田美智男:リソースの中に埋め込まれた学び ― 次世代ロボット創出プロジェクトの実践から、佐伯 胖監修、渡部 信一編:『「学び」の認知科学事典』、pp.525-540 、大修館書店(2010).
◆ Nihan Karatas, Soshi Yoshikawa, P. Ravindra S. De Silva and Michio Okada: How Multi-Party Conversation Can Become an Effective Interface While Driving, ヒューマンインタフェース学会論文誌、Vol.20, No.3, pp.83-100, 2018.
◆ Nihan Karatas, Soshi Yoshikawa, Shintaro Tamura, Sho Otaki, Ryuji Funayama and Michio Okada: Sociable Driving Agents to Maintain Driver’s Attention in Autonomous Driving, 26th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication (RO-MAN), 2017.
◆ Nihan Karatas, Soshi Yoshikawa, P. Ravindra De Silva, Michio Okada:NAMIDA: How to Reduce the Cognitive Workload of Driver, Human-Robot Interaction (HRI2016), pp. 449-450, 2016.

キーワード

次世代インタフェース、学びの場のデザイン、社会実装

担当授業科目名(科目コード)

インタフェースデザイン論 / データ分析序論 / 多変量解析論 / ロボット情報学特論

その他(受賞、学会役員等)

◆ 2017: 平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」(科学技術振興部門)
◆ 2022: 第31回 大川出版賞
◆ 2019: 第19回ヒューマンインタフェース学会論文賞
◆ 2016: ICSR2016 Best Robot Design (Special Recognition) Award
◆ 2016: HAI2016 Outstanding Research Award
◆ 2016: HAI2016 Impressive Poster Award 優秀賞
◆ 2015: RO-MAN2015 Best Paper Award Finalist
◆ 2014: HAI2014 Impressive Poster Award
◆ 2013: HRI2013 Honorable Mention Demonstration Award
◆ 2012: HAI-2012 Outstanding Research Award 最優秀賞
◆ 2012: HAI-2012 Impressive Experience Award
◆ 2012: ICSR2012 BEST ROBOT DESIGN AWARD
◆ 2010: 第11回ヒューマンインタフェース学会論文賞
◆ 2010: HRI 2010 The Best Late-Breaking Report Award
◆ 2010: ICSR 2010 Best Paper Finalist
◆ 2010: HAI2010 Outstanding Research Award 優秀賞


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