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4月3日に平成25年度豊橋技術科学大学入学式を挙行しました。

イベント報告 | 2013年4月 5日


   

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   入学生宣誓
   
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   学長式辞
   
   

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   入学生歓迎演奏
   

4月3日に平成25年度大学院および学部入学式をアイプラザ豊橋にて挙行しました。

入学生全員の名前が読み上げられた後、榊佳之学長から学部入学491名(第1年次90名、第3年次401名)、大学院博士前期課程388名、大学院博士後期課程28名が入学許可されました。

 

学長からの式辞は次のとおりです。
 

皆さん、ご入学おめでとうございます。本学の全教職員、在校生一同を代表してお祝いと歓迎の意を表します。また、ご家族や関係者の方々にもお祝いを申し上げます。


さて、皆さんは将来、科学や技術を通して社会に貢献したいとの夢や志を持って本学に入学されたことと思います。今、日本は東日本大震災からの復興の途上にあり、また激しい国際社会の動きの中で厳しい状況におかれていますが、天然資源の乏しい日本が活力を保ち続けるには科学や技術の力が不可欠であり、技術科学を志す皆さんは将来の日本を担う人材として、その成長が社会からも大いに期待されているのです。本学も皆さんを高度な科学の上に立って、新しい技術を開発できる高度な創造的、指導的人材として世に送り出すことを使命と考えています。皆さんはそれぞれに優れた才能を持っていますが、今日の入学の日にあたり、これから技術・科学の専門家として大きく成長していく上で大切なことをいくつかの述べたいと思います。


先ず、真の技術・科学の専門家となるには、専門分野の最先端の技術や科学に取り組むことは重要ですが、その前にその最先端の技術や科学の基礎となった学問、理論などをしっかり身につけておくことが重要です。高いビルを建てるときにしっかりした基礎工事が必要であることと同じです。専門分野で困難な問題に出会ったときに、或いは新しい課題に立ち向かう時に、いつも物事の根本、基本に立ち返って考えられる力を養っておくことが重要なのです。例えば、今世界で広く使われているリチウムイオン電池を開発した旭化成の吉野彰博士は開発の初期段階ではノーベル賞を受賞した福井謙一先生の「フロンティア電子論」という基礎理論にまで立ち返って研究を進められたと聞いています。今日、この入学式には高等学校から入学した皆さん、高専から年入学した皆さん、大学院の前期課程で学ぶ皆さん、大学院の後期課程に進学した皆さんなど立場は違いますが、基礎学問、基礎理論をしっかり身につけ、必要に応じて基礎、基本に立ち返って考えられることの重要性は誰にも共通です。大きく伸びるためにしっかりした土台を造ってください。


もうひとつ、技術・科学の専門家を目指す皆さんに求められるのは、自らの専門領域が社会とどのように関わっているのか或いは関わることができるのか、幅広い視点で自らの専門領域を見る力、それを技術開発などに生かす力を養うことです。これは、最近よくその重要性が指摘されるエンジニアリング・デザインの考え方に繋がるものです。良く出される例がスマートフォーンiPhoneです。これを開発したスティーブ・ジョブズは大変変わった経歴の持ち主ですが、携帯電話とインターネットといった情報通技術の発達と社会のニーズを的確にとらえて、両者を融合させたiPhoneの技術開発で大成功を収めました。彼は自らを理系と文系の交差点に立っていると表現したそうですが、これからの技術開発に携わる者には時には人文社会科学にまで及ぶ、幅広い視野が求められているのです。この関連では本学の卒業生で素晴らしい成果を挙げた方がいます。皆さんは携帯で写真を撮ってメールで転送することを日頃やっておられるでしょう。実はこの技術「写メール」を開発したのは皆さんの先輩になる高尾慶二さんです。この他にも東日本大震災の大津波の時、岩手県釜石市では小中学生のほとんどが助かりましたが、これは日頃から防災・危機管理アドバイザーとして子供たちにユニークな防災・避難訓練を続けてこられた群馬大学の片田敏孝教授のお陰と言われています。この片田教授も本学の卒業生です。この他にも皆さんの先輩たちは様々なところで大いに活躍しています。

 

さて、「幅広い視野を養うことが大切」といっても特別な教科書や勉強方法があるわけではありません。自らの努力で養うしかありませんが、本学のカリキュラムの中にそれを補うものがいくつも用意されています。例えば生命科学と環境科学をこれからの技術者には必要なものとして必修科目となっています。その他にも様々な一般教養科目が用意されています。自分の専門だけに閉じこもらず、幅広い勉強をしてください。また、私、学長が主宰するプレステージレクチャーは幅広いものの見方を学ぶ機会として是非聴講してもらいたいと思っています。皆さんには入学手続きの折りにこれまでのプレステージレクチャーを書籍にした「明日への教科書」と「技術を創る」という2冊の本を配りましたが、読まれましたか。トヨタの張富士夫会長など企業経営のトップの方々や、先に述べたリチウムイオン電池開発の吉野彰博士など研究開発のリーダーの方々のお話しが載っています。この本で出会う「日本を築き上げてきたリーダー」のお話しからは、幅広い視野を養うだけでなく、技術者・科学者の心構え、人生の生き方など多くのことを学び、勉学へのモチベーションを高めてくれます。是非早いうちに読んで下さい。

 

少し長くなりますが、最後にもう一点、皆さんが将来活躍するために心してほしいことがあります。それはこれからのグローバル時代を生きるために必要な語学力と国際感覚の養成です。皆さんのこれからの活躍の場は日本だけでなく世界に拡がっており、産業界もグローバルに活躍できる人材を求めています。ネット企業「楽天」の今年の入社式はすべて英語で行われたそうです。これまでの本学の経験では、皆さんの中には英語が得意でないと思っておられる方が少なからずおられると思います。でも、苦手だと言って逃げていても事態は改善しません。本学では様々に英語の力を伸ばすカリキュラムやプログラムを用意しています。英語が得意でない諸君は本学への入学を機会に是非、先生方に相談して基本からやり直してみてください。失敗を恐れず、場数を踏むことが大切と思います。卒業までに目に見える成果が出ると思います。また、英語をあまり苦にしない学生諸君には海外での研修やインターンシップなどで実践的な力を磨く道が開かれています。また、今年から本学ではマレーシアに海外キャンパスの設置が始まり、現地での訓練も始まります。是非このようなチャンスを積極的に生かして国際的な実践力を養ってください。また、本学の学生の1割、およそ200人は世界各国からの留学生の皆さんです。日本人学生と留学生との交流はお互いに文化、生活習慣の違いを乗り越えて理解し合う、国際感覚を育てる良い機会です。積極的に取り組んでみてください。

 

終わりにあたり、もう一度繰り返しますと、皆さんがこれから専門家として大きく育つために、本学で専門科目だけでなく、その基礎となる学問や理論をしっかり身につけること、自らの専門を社会に生かす幅広いものの見方を養うこと、そしてグローバル社会に対応できる語学力、国際感覚を養うこと、以上を心に留めて充実した学園生活を送り、将来日本を背負う人材に育ってくれることを祈念して私のお祝いの言葉とします。皆さん、おめでとう!

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