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平成24年度テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム 『開発リーダー特論』第10講義を開催しました。

イベント報告 | 2012年11月 5日


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 講演の様子
 
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 講演の様子
 
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 質問する学生
 

11月1日にA2-201講義室にて、平成24年度テーラーメイド・バトンゾーン講義『開発リーダー特論』第10講義を開催しました。


今回の講義は、株式会社豊田中央研究所総合企画室統括主査の川角昌弥博士をお迎えし、『クレイナノコンポジット材料の創成と開発 -異方性工学の視点より―』と題して、世界初の高性能クレイナノコンポジット材料の発明と実用化に至る経緯、コンポジット材料設計の考え方、実用展開の実際、学術への貢献、そして学生への熱いメッセージを語っていただきました。

はじめに、高機能新材料設計の基本思想となる異方性工学の持つ意味、1985年、クレイナノコンポジット材料の研究開始のきっかけとなった上垣外博士の一言「海岸で拾った化石状の粘土鉱物から強烈な異臭がする! 粘土鉱物中に有機物が何億年も安定に存在している。これをなんとかものにしろ!」が紹介されました。1987年には、軽量で、射出成形性等を犠牲にせずに、高弾性、高耐熱性、低線膨張、高ガスバリア性、難燃性、を持ったナイロン6とナノクレイのハイブリッド材料(NCH)を発明されました。これを皮切りに、幾つかの有機物とナノクレイのハイブリッド材料が開発されていきました。この間、ナノクレイコンポジット材料の物性についての基礎化学解析が進められ、1997年に川角氏が執筆された論文は、2008年時点で、この分野の論文のサイテーションで世界No.2となり、さらに2008年にはNCHの創成と実用化の業績について日本高分子学会賞を受賞されました。 


その後、NCHは宇部興産、ユニチカ、昭和電工、大日本インキ、米国Nanocor社、東レから相次いで量産され、自動車部品ほか多くの分野で実用化されていきました。Bins.&Associates社のよる北米での需要予測では2020年で800万トン/年と言われているということです。


また、豊田中央研究所内では、NCHの研究がいわば触媒になって、新たなメソポーラス材料が発明され、ここから新しいゼオライト化学が発展して化学の一分野を形成するに至ったということも紹介されました。


このように、新材料「ナノクレイコンポジト材料」の創成と実用化及びその波及効果について、当事者にしか語れない貴重な体験を踏まえ、わかり易くドラマチックに語っていただきました。 
研究とは本来わくわくすることであり、人類の為、お客様の為にわくわくする研究で新しい製品を生み出していきたい。学生さんたちもぜひ夢を描いてわくわくしながら研究をしてほしいという熱いメッセージをいただきました。


学生はもとより、教職員、さらに学外の聴講の方々すべてが、新材料のR&Dについて大変奥深い勉強の機会となりました。

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