本学は,次の者に博士(工学)の学位を授与したので,学位規則(昭和28年文部省令第9号)第8条及び豊橋技術科学大学学位規程(平成16年度規程第80号)第14条の規定に基づき,その論文の内容の要旨 及び論文審査の結果の要旨を公表する。
| 学位記番号 | 氏名 | 博士論文名 |
|---|---|---|
| 課博第441号 | 尾 崎 幸 樹 | 金属基高温用焼結軸受材料のトライボロジー特性に関する研究 |
| 課博第442号 | 山 田 基 宏 | Fabrication of Nitride Ceramic Coatings by Reactive Plasma
Spraying (反応性プラズマ溶射法による窒化物セラミックス皮膜作製に関する研究) |
| 課博第443号 | Rendy Thamrin |
Flexural and Bond Behavior of Reinforced Concrete Beams with FRP Bars (FRPロッドを主筋とした補強コンクリートはりの曲げおよび付着性状) |
| 課博第444号 | 金 鍾 憲 | 緻密骨のミクロ構造と破壊特性に関する研究 |
| 課博第445号 | 坂 口 信 人 | 生体用Ti-Nb-Ta-Zr系合金の機械的性質と変形挙動 |
| 課博第446号 | Tran Mai Huong |
Synthesis, Structure and Catalytic Properties of Molybdenum Oxides and Molybdenum Heteropolyacid Catalysts. (モリブデン酸化物とモリブデンヘテロポリ酸触媒の合成,構造,および触媒特性) |
| 課博第447号 | Vo Cuong Viet |
Biomass Power Generation for Sustainable Energy Development in Vietnam (ベトナムにおける持続可能なエネルギー開発のためのバイオマス発電) |
| 課博第448号 | 大 濱 吉 紘 | 生体の内部モデル仮説に基づく統計的運動学習スキームに関する研究 |
| 課博第449号 | 野 田 俊 彦 | シリコン微細加工技術を用いた血液分析用集積化マイクロチップに関する研究 |
| 課博第450号 | 野 田 善 之 | 自走式自動注湯システムにおける注湯制御と振動抑制制御 |
| 課博第451号 | 向 井 智 彦 | 確率統計的学習による仮想人間の動作生成 |
| 課博第452号 | Muhammad Ghulam |
A Study on Auditory Based Feature Extraction and HMM/SM Based Classification for Robust Speech Recognition (頑健な音声認識を目的とする聴覚に基づいた特徴抽出および HMM/SMに基づく識別に関する研究) |
| 課博第453号 | 安 藤 智 朗 | 真正細菌リボヌクレアーゼPの基質認識に関する研究 |
| 課博第454号 | IRVAN |
APPLICATION OF SUPERCRITICAL CO2 EXTRACTION TO THE DETERMINATION OF BACTERIAL QUINONES IN ENVIRONMENTAL SAMPLES (超臨界二酸化炭素を用いた環境試料中における菌体キノンの抽出) |
| 課博第455号 | 王 文 暉 | メッシュろ過分離活性汚泥法による難分解性物質の除去に関する研究 |
| 課博第456号 | Swapan Kumar Saha |
Hydrolytic Degradation of L-lactide Homo-and Copolymers (L-ラクチドのホモポリマーおよび共重合体の加水分解) |
| 課博第457号 | 中 野 道 彦 | 油中水滴型マイクロリアクターの作成と1分子反応系への応用 |
| 課博第458号 | Lim Iv | 地方都市における平休日交通行動の経年変化とその構造的要因に関する研究 |
| 学位記番号 | 氏名 | 博士論文名 |
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| 論博第189号 | 谷 泰 臣 | 自動車用多孔燃料噴射弁における微粒化の促進と制御 |
| 論博第190号 | 小 宮 巌 | FRP用樹脂の開発と建設部材への適用に関する研究 |
| 論博第191号 | 辻 野 和 彦 | 高分解能衛星画像と森林データベースを用いた土砂災害対策支援GISに関する研究 |
| 論博第192号 | 立 石 寧 俊 | 格子状リブを有するCFRPサンドイッチ版構造の局部座屈に関する研究 |
| 論博第193号 | 丸山 真佐夫 | 再演と巻き戻し実行に基づく並列プログラムのデバッギング手法の研究 |
| 論博第194号 | 都 木 徹 | 高品質な韻律・声質変換方式とその放送技術応用に関する研究 |
| 論博第195号 | 齋 藤 努 | 加減算処理に基づく電子楽器音のリアルタイム採譜システムに関する研究 |
| 論博第196号 | 岡 本 将 之 | 航空機アルミ部品加工への環境調和型切削液供給システムの導入 |
| 論博第197号 | 山 田 悠 未 | マレーシア華人新村研究 ~都市地域史の観点から |
| 論博第198号 | 南 亘 | 難分解性物質の分解処理及び装置開発 |
| 氏名・(生年月日) | 尾 崎 幸 樹(昭和41年4月11日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第441号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 金属基高温用焼結軸受材料のトライボロジー特性に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,室温から700℃までの温度範囲において良好な耐摩耗性と低い相手面攻撃性を示す軸受材料の開発を目的としたものである。 第1章は序論で,研究の背景,目的ならびに意義を述べている。 第2章では銅を固体潤滑材とするFe-Cr-Cu 粉末焼結材料を作成し,高温摩擦試験を行うことにより,作成した焼結材が室温から600℃までの温度範囲において良好な耐摩耗性と低い相手面攻撃性を示すことを明らかにするとともに, トライボロジー特性の検討から,良好な耐摩耗性と低い相手面攻撃性を発現する原因が摩耗粉間に介在するCu微粉末の凝着防止作用にあることを示している。 第3章では250℃以上で低い摩擦係数と良好な耐摩耗性を示すNi-Cr合金の250℃以下における耐摩耗性改善のため,材料内に硬質粒子を分散した複合材料を作成し,高温摩擦試験より硬質粒子を分散することで室温から800℃までの温度範囲で良好な耐摩耗性と低い相手面攻撃性を備えた軸受材料となることを示している。 第4章は,粒子分散Ni-Cr複合材料の摩擦係数低減におよぼすAg添加効果を調べたもので,Agを10%添加することにより室温での摩擦係数が0.2程度低下することを示している。 第5章では開発した金属基高温用軸受材料の摩擦機構を検討し,摩擦と摩耗を低減する機構が摩耗粉間の凝着力の低下にあることを明らかにしている。 第6章は総括である。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 産業機器,プラント周辺設備あるいは輸送機器の摩擦部分において,室温から700℃の大気中高温域で耐酸化性,寸法安定性,耐摩耗性および非凝着性を示すとともに低摩擦でコストパフォーマンスに優れた軸受材料が求められている。しかし,従来の高温用軸受材料は,軸受性能を目的とした低摩擦に主眼がおかれ,耐摩耗性にはあまり考慮が払われていない。 本研究は耐摩耗性が高く,相手攻撃性の低い高温用軸受材料の開発を試みたもので, 室温から600℃の温度範囲で使用する軸受材料に対しては,耐熱性をもつFe-Cr合金を粉末焼結し,空洞部に銅を含侵させることで, Fe-Cr合金の欠点である低い熱伝導性と高い凝着性を克服し,良好な軸受材料としている。さらに高温の700℃に対しては,250℃以上で良好な摩擦特性を示すNi-Cr合金に着目し,Niと焼結が容易なCr-Ni系焼結合金を用いることにより低摩擦が発現する組成の焼結材を作成するとともに,700℃以上での摩耗量の増大を硬質粒子の分散で克服し, 250℃以下での高摩擦をAgの固体潤滑作用で克服することにより室温から800℃の温度範囲で良好な耐摩耗性と低い相手面攻撃性を有する軸受材料を開発している。これらの研究の過程で,高温軸受の耐摩耗性に対する軟質金属の固体潤滑作用の本質が摩耗粉間の凝着力の低減作用にあることを明らかにし,開発した軸受材料の耐摩耗性発現機構を統一的に説明した。以上より,本論文は工学的にも工業的にも貢献するところが極めて大きく,博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 | |||||||||||||||
| 氏名・(生年月日) | 山 田 基 宏(昭和53年9月6日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第442号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | Fabrication of Nitride Ceramic Coatings by Reactive Plasma Spraying (反応性プラズマ溶射法による窒化物セラミックス皮膜作製に関する研究) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 窒化物セラミックスの多くは融点を持たず,高温で分解・昇華するため,通常の溶射法による皮膜作製は極めて困難である。これに対し,本研究では金属元素粉末と窒素プラズマとを反応させる反応性プラズマ溶射法を用い,優れた特性を有する窒化珪素,窒化アルミニウムおよび窒化鉄皮膜の作製を試みた。その結果,反応性プラズマ溶射法によりこれら窒化物セラミックス皮膜作製の可能性を見出し,窒化反応制御に必要な溶射中の窒化反応過程に関する知見を得たものである。第1章は本論文の緒論であり,背景と目的を述べている。第2章は本研究で使用した実験装置および特性評価方法について述べている。第3,4章では窒化珪素皮膜作製および珪素の窒化反応過程について溶射実験およびプラズマの発光分光測定により調査を行い,プラズマガス流量およびプラズマガスへの水素添加による影響を明らかにしている。第5,6章では窒化アルミニウム皮膜作製およびアルミニウムの窒化反応過程について実験的考察を行い,第7章ではそれらの結果を基にアルミニウム/窒化アルミニウム混合粉末を用いた反応性プラズマ溶射の有効性を検証している。第8章では分解温度の低い窒化鉄溶射皮膜作製の可能性を示している。最後に第9章では,以上の結果を基に反応性プラズマ溶射法での窒化反応プロセスに関する知見を総括的にまとめ,第10章で本論文の結言を述べている。 | |||||||||||||||
| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本研究は,構造,機能材料として工業的に重要とされながら,従来成形加工の極めて困難とされた窒化物系セラミックス材料に注目し,反応性プラズマ溶射法による窒化物セラミックス厚膜作製の可能性を検証したものである。 特に窒化珪素,窒化アルミニウムおよび窒化鉄材料を採り上げ,各材料に対し,溶射パラメータを変化させた広範な成膜実験を行うことにより,作製皮膜の膜質および窒化物含有量へのプロセス諸因子の影響を明らかにしている。 また,個々の粒子の窒化状況ならびにプラズマに対する発光分光測定結果等に基づき,窒化反応に影響を与える物理因子の特定ならびにそれら因子の影響を解明するとともに,各材料における窒化反応過程を明らかにしている。 これらの結果は,国内外の学術誌上に14編の論文として公開し,種々の学術賞を受賞するなど学術的貢献が認められている。また本研究が明らかにした,溶射粒子の窒化反応過程および関連因子の管理による窒化反応プロセス制御の知見は,用途に適した皮膜を得るための能動的制御を可能とし,工業的にも大きく貢献するものである。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | Rendy Thamrin(1969年8月15日) | 本籍地(国籍) | インドネシア | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第443号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | Flexural and Bond Behavior of Reinforced Concrete Beams with FRP Bars
(FRPロッドを主筋とした補強コンクリートはりの曲げおよび付着性状) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文はFRPロッドを補強筋としたコンクリートはり材の曲げ・付着性状を実験的に解明したもので全8章からなる。 1章では研究の目的と論文の構成を述べている。 2章では本論文に関連した既往の研究の概要を要約している。 3章では本研究の基本となるRCはりの実験目的・実験変数・加力方法について詳述している。 4章では前章の曲げ破壊先行の試験体の荷重―変形特性が平面保持に基づく曲げ解析のみでは説明できないこと,FRPロッド使用はりの正負繰り返し荷重下での復元力特性が鉄筋使用のそれとは大いに異なり残留変形が大きく減少することを示している。 5章では3章で付着割裂した試験体について,せん断ひび割れ発生以降のテンションシフト現象の詳細な解明を行い,支点位置での軸筋引張力の推定式を導出している。 さらにこれを用いてこれまでに提案されている必要定着長さに関する内外の設計式の評価を行っている。6章では4章で示した曲げ解析に,テンションシフトによる付加変形と軸筋の付着劣化による付加変形を重ね合わせることによって試験体の荷重―変形特性が精度よく表現できることを示している。 7章ではRCプリズム内でのFRPロッド筋の正負交番繰り返し載荷,高圧縮履歴が材の引張強度を著しく低下させることを明らかにしている。 8章は4章から7章までの知見をまとめて本論文の結論としている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 高引張強度・軽量・高耐久性・非磁性等の優れた性能を持つFRPロッド材を鉄筋の代替として用いる場合,ロッド材の付着特性が鉄筋のそれより若干劣ること,ロッド材が塑性変形能を保持しないこと等からその建築構造部材としての力学的特性を明らかにしておくことは極めて重要である。 本論文はこの点に着目した実験的研究である。4章ではロッド材が塑性変形能力を保有しないことから部材としてのエネルギー吸収能の点では鉄筋に劣るものの,残留変形が軽減するという優れた性能があることを明らかにしている。 5章では従来から指摘されながら定量化されていなかったテンションシフト現象に着目し,ロッド材の高引張強度特性を生かした付着割裂試験から単純はり支点位置でのテンションシフト発生引張軸力の定式化を行い,これを用いて既往の定着に関する設計式の評価を行っている。 6章では軸筋の付着劣化による付加たわみの導出方法として既往のロッド筋の付着―滑り関係のデータを有効に使い逐次積分法による付加変形計算法を提案している。 7章ではロッド材の高圧縮軸力履歴がその後の引張強度を低下させるという設計上留意すべき現象を実験的に明らかにしている。 本論文の成果は日本コンクリート工学年次論文集,FIB国際会議論文集などで公表され,アメリカ土木学会誌に掲載決定している。 さらに2004年のICCE国際会議口頭発表では優秀発表賞を受賞した。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 | |||||||||||||||
| 氏名・(生年月日) | 金 鍾 憲(1974年10月15日) | 本籍地(国籍) | 大韓民国 | ||||||||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第444号 | ||||||||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||||||||
| 博士論文名 | 緻密骨のミクロ構造と破壊特性に関する研究 | ||||||||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 生体骨は非常に複雑な構造を有すると同時に常に代謝される。 これは,一般材料にはない特異な材質と言える。 これまで研究・開発されてきた生体用代替材料は,一般の構造材料的コンセプトに基づき開発・適用されたものであり,長期間にわたって骨代替材料として使用することはできない。 本論文では,骨代替材料として最も適した材料を研究・開発するため,生体骨の機能や特性を把握することを目的とした。 供試材として牛および豚の緻密骨を用い,全5章にわたって生体骨の力学的特性とミクロ構造との関係について詳細に検討している。 また,生体骨の損傷挙動という観点からの現象の解明にも注力している。 第1章は序論であり,本研究の意義と目的について様々な見地から議論している。 第2章では,牛および豚の上腕骨および大腿骨の様々な部位毎に異なる破壊特性を,破壊力学に基づく破壊靭性試験などにより明らかにしている。 これにより,様々な組織形態の骨の破壊特性や,負荷方位の影響が明らかにされている。 第3章では,牛上腕骨および大腿緻密骨について疲労寿命とミクロ組織の関係を調べ,長疲労寿命を得るためのミクロ構造を明らかにしている。 第4章では疲労破壊過程を疲労き裂の発生過程と伝播過程に分け,それぞれに対する骨内部のミクロ構造の影響を解明している。 第5章は,全体の総括であり,生体骨ミクロ組織の役割という観点からの総括と,人工材料としてのバイオマテリアル開発に応用できる知見を整理・総括している。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 高齢化社会の到来を鑑みると,高性能・高機能な生体用代替材料の開発は,社会的要請の極めて大きな重要課題と言える。 金属やセラミックス,およびポリマーなど人工材料からなる生体用代替材料の開発には,三次元的,複雑・複相構造,不均質非等方性など人工材料とは際だった差異を呈する天然材料である生体骨の変形,損傷,劣化,破壊挙動を明確にする必要がある。 この分野の従来の研究では,生体材料を均質等方的な連続体と仮定し,マクロな機械工学的観点から特性が測定,評価されていた。 本研究では,まず材料工学,材料組織学的観点から骨のミクロ組織の特徴付けを行い,次にミクロ組織の影響をメゾ,ミクロな観点からマイクロメカニックスに基づき解明している。 ここに,本研究の新規性が認められる。 特に,生体の部分部分によって異なる様々な生体構成骨で,そして長年の進化の過程で形作られてきた一本の生体骨中の各部位で,ミクロ組織・材質の変化の力学的な意味が解釈できたことは,今後の硬組織代替材料の構造組織設計を行う上で貴重な指針を与えるものと言える。 一連の実験解析においても,材料の特殊性に伴う実験解析実施上の困難さを申請者独自の様々な創意工夫で克服しており,信頼性が高く普遍的な成果が得られているものと評価できる。 したがって,得られた成果は材料工学だけではなく,生体福祉工学全体の発展にとって有益であり,将来の大きな社会的波及効果も期待できる。 よって,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 | |||||||||||||||||||||
| 氏名・(生年月日) | 坂 口 信 人(昭和53年9月27日) | 本籍地(国籍) | 三重県 | ||||||||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第445号 | ||||||||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||||||||
| 博士論文名 | 生体用Ti-Nb-Ta-Zr系合金の機械的性質と変形挙動 | ||||||||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 生体用に開発されたTi-Nb-Ta-Zr系合金は,医療福祉分野における関節,歯などの硬組織代替材料として,その低弾性率,優れた生体適合性ゆえ注目されている。 しかし,従来のものは慣用の合金設計法により開発された合金であり,系統的な開発の結果として特性が最適化されたものとは言えない。 また,この合金では形状記憶および超弾性といった特異な現象が報告されているものの,そのメカニズムは明らかではなく,実用に供されていない。 本論文では,上記合金をこれまでにない高機能性を有する新しい生体材料として世に送り出すため,主として力学的観点から研究を行っている。 1章は序論であり,研究の意義・目的について述べている。 2章と4章では,Ti-Nb-Ta-Zr系合金の機械的性質に及ぼす添加元素量の影響を系統的かつ材料学的に考究し,生体材料として優れた機械的性質が得られる条件を定量的に明らかにしている。 3章,5章,6章に記述された一連の実験解析により,同合金で応力誘起相変態が生じる条件やその発現メカニズムを明らかにしている。 この過程で,非線形擬弾性によりおよそ2%の可逆的な歪みが生じることを見出し,擬弾性変形機構の考察を新しい観点から試みている。 7章は総括であり,研究したチタン合金について,生体材料としての実用化可能性および弾性機能付与の具体的手法などを,得られた知見を基に整理考察している。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||||||||
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我が国において確実に進行しつつある高齢化社会に工学的見地から対応するため,適切な人工生体材料の開発は,社会的な要請の高い重要な研究課題である。
本研究では,低弾性率を有するチタン合金の開発,およびこの探索中に発見された特異な変形挙動の解析の二点に焦点を絞り研究を実施している。
前者では,合金設計に必要な知見をこれまでにはない系統的な手法により学術的に明らかにしている。
特に,主要構成元素の割合変化に伴い現れる機械的特性の変化を材料学的に考究し,学術的に解明した点はこの分野の材料開発において取るべき進路を示唆する研究成果として高く評価される。
また,後者では,様々な角度から現象にアプローチして新しい材料学的知見を得ている。
この知見は,同材料が硬組織代替材料のみならず医療デバイスなど次世代の医療福祉材料としても有用であることを示すものであり,材料工学的な価値が極めて高い。
いずれのパートでも学術的に一定以上の成果を得ており,今後の医療福祉用チタン合金の研究,開発,実用の各方面で大きな波及効果が見込まれる。
また,同分野に従事する他の研究者の研究へ与える刺激,影響も大であると期待される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | Tran Mai Huong(1966年12月9日) | 本籍地(国籍) | ベトナム | ||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第446号 | ||||||||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||||||||
| 博士論文名 | Synthesis, Structure and Catalytic Properties
of Molybdenum Oxides and Molybdenum Heteropolyacid Catalysts.
(モリブデン酸化物とモリブデンヘテロポリ酸触媒の合成,構造,および触媒特性) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 重要な化学原料であるホルムアルデヒドは,メタンを原料として合成ガスを経由する3段階法で合成されているが,最近,シリカに担持したケイモリブデン酸(SMA)触媒が高温水蒸気下でのメタンの部分酸化によるホルムアルデヒドの1段階合成に対して効果的な触媒性能を有することが報告された。 本研究では,SMAとリンモリブデン酸(PMA)を主とする種々の担持モリブデン酸触媒を調製して特性化するとともに,メタン,エタン,およびメタノールの部分酸化反応に対する触媒特性と活性種の状態との関係を検討したものである。 第1章では,本研究で対象としたモリブデン種の構造・性質およびその応用を含む研究の背景・目的を述べている。 第2章では,担体や触媒の調製法,特性化,触媒反応試験,等の実験法について記述している。 第3章では,シリカ担持SMA触媒における活性種の構造と水蒸気の役割について述べている。 第4章では,同じ触媒をエタンに適用してその触媒活性を調べている。 第5章では活性種の高分散化を図る目的でY型ゼオライトのスーパーケージに1分子のSMAまたはPMAを内包した触媒をデザインし,その触媒特性を評価している。 第6章では,SMAおよびその分解生成物であるß-MoO3について構造と触媒性能を調べ,反応中の活性種の状態について検討している。 最後に本論文の結論を述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 天然ガスの主成分であるメタンを部分酸化し,1段階でメタノールやホルムアルデヒドを合成する方法は最も理想的な方法であり,多くの研究がなされている。 シリカ担持SMA触媒による高温水蒸気下でのメタン部分酸化反応は現段階で最も有望な方法であるが,より高活性化を図るには,活性種の状態を明らかにし,その制御方法を確立する必要がある。 本論文では,シリカ担持SMA触媒の活性種について検討し,反応中にSMAは分解してß-MoO3を生ずるが,水蒸気の存在下ではSMAが再生され,これが高活性の維持に寄与していることを明らかにした。 この触媒はエタンの部分酸化反応にも有効であることも確認した。 また,モリブデン種の高分散化が鍵となっているため,Y型ゼオライトのスーパーケージ内にSMAやPMAを1分子ずつ分散させた触媒が有望であると予想し,Ship-in-bottle法による合成法を確立してその有効性を証明した。 さらに,高表面積を有するメソポーラスシリカ(MCM-41)を単体とするSMA触媒およびß-MoO3触媒とを比較し,反応中のSMAの再生にはモリブデンの高分散性とケイ素の分散状態が重要であることを明らかにした。 これらの知見は,メタンを初めとする有機化合物の部分酸化反応のための触媒開発およびプロセス制御において重要であり,本分野の研究発展に大きく貢献した。 よって,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 | |||||||||||||||||||||
| 氏名・(生年月日) | Vo Cuong Viet(1975年2月7日) | 本籍地(国籍) | ベトナム | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第447号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | Biomass Power Generation for Sustainable Energy Development in Vietnam
(ベトナムにおける持続可能なエネルギー開発のためのバイオマス発電) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本研究の目的は,高度経済成長を続けているベトナムの電気エネルギー消費を支えるために,バイオマス発電システムを導入することを提案し,その実現可能性を環境と経済との両面から立証することにある。 第1章では,ベトナムにおけるエネルギー供給状況および電力供給構成,特に,天然ガス供給の現状を分析し,将来における問題点を俯瞰している。 第2章では,木質ガス化バイオマス発電システムを導入したときの木質の種類および発電プラントの構成を調査・比較し,最適な種類およびプラント構成を提案している。 さらに,提案したバイオマス発電プラントを対象に発電コスト,一次エネルギー削減量およびライフサイクル炭酸ガス排出量を計算している。 第3章では,現状および将来の石炭火力発電,重油火力発電,天然ガス火力発電および水力発電の単位出力量当たり排出される炭酸ガス量を,ベトナム政府の統計データに基づいて算出している。 第4章では,このバイオマス発電プラントを電力システムに組み込んだときの最適な電力システム構成を求め,そのときの発電コストおよびライフサイクル炭酸ガス排出量を計算している。 その際,バイオマス発電システムの導入比率および原子力発電の有無をパラメータにしている。 第5章では,本研究をまとめ,今後の展望を述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| ベトナムはここ10年,高度経済成長を続けている発展途上国である。 その経済発展と共にエネルギー消費量も多くなり,高度経済発展を支えるエネルギー供給体制が問題となっている。 本研究はその解決策として,ベトナムに豊富に腑存する森林を利用して,効率の高い木質ガス化バイオマス発電プラントを導入することを提案している。 まず,ベトナムの気候に適した木質バイオマスとして,アカシア・ハイブリッドを選択している。 このバイオマスを6分割した円形状のプランテーションで栽培し,6年間の輪作で連続した発電が可能であるようにし,その中央にガス化コンバインドサイクルプラントを建設することを想定している。 このプラントを対象に,発電コスト,一次エネルギー消費量およびライフサイクル炭酸ガス排出量を計算し,化石燃料発電と比較している。 その結果,コストは拮抗し,後者の二つは大幅に削減できることが判明した。 更に,種々の統計データや実測データを基に,線形計画法を駆使して,バイオマス発電プラントを組み込んだ最適な電源構成を求めている。 その結果,バイオマス発電プラントを約7%導入すれば,原子力発電の必要性がなくなり,かつ,化石燃料発電の比率も抑制できることが明らかとなった。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判断した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 大 濱 吉 紘(昭和53年12月28日) | 本籍地(国籍) | 香川県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第448号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 生体の内部モデル仮説に基づく統計的運動学習スキームに関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本研究は,生体の優れた学習制御の仕組みを明らかにすることを目的として,脳内に身体のダイナミクスモデルが獲得されて巧みな運動制御が遂行されるという内部モデル仮説に基づき,統計的な運動学習スキームを提案している。 さらに,提案法を工学的な制御システムへ応用できるように学習アルゴリズムを発展させている。 本論文は全8章で構成される。 第1章と第2章では,研究の背景として,生体の運動制御,特にヒトの上肢運動に対する計算論的研究の枠組みを概説した後,本研究の目的と意義について述べている。 第3章では,制御対象の逆ダイナミクスモデルを獲得するための誤差順伝播学習則(FPL: Forward-propagation Learning Rule)を紹介した後,その数学的な定式化を行なっている。 第4章では,FPLの実用的なアルゴリズムを提案するとともに,2リンクアームの軌道制御の計算機シミュレーションによってその妥当性を示している。 第5章では,統計的推論の観点から学習プロセスを検討し,第6章で,最尤推定法を用いてFPLを再定式化し,最適化プロセスを伴う学習アルゴリズムとして記述している。 第7章では,FPLをモジュール構造の内部モデル学習へと拡張し,さらに強化学習への応用を試みている。第8章では,本研究の成果をまとめ,今後の展望を述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 生体,特にヒトの運動で特筆すべきことは,繰り返しの訓練や過去の経験などによって,より巧みで滑らかな動きができるような学習機能を備えていることである。 これまで計算論的神経科学の立場から,腕や脚のダイナミクスモデルを多層神経回路内に獲得するための様々な学習スキームが提案されたが,その多くが誤差逆伝播則(BP: Back-propagation)を基本とする学習法を採用している。 しかし,生体の神経機構では,シナプスを越えて信号が逆方向に伝播することはないと考えられ,BPには生理学的な妥当性がない。これに対して本研究では,BPを用いないで,誤差信号を前向きに伝播して逆ダイナミクスモデルを学習する誤差順伝播則(FPL)を発展させた。 これによって,生体の神経信号の流れに矛盾しない学習スキームを構成した。 さらに,統計的学習の枠組みのもとで学習プロセスの検討を行い,FPLの理論的な根拠を明確にして,安定かつ高速な学習アルゴリズムを考案した。 また,モジュール構造の学習や強化学習などへFPLが適用可能であることも示した。 これらの研究成果は,計算論的神経科学における運動学習の分野の発展に貢献するだけでなく,工学的にもインテリジェントな学習制御システムを開発する上で極めて有用であると期待される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 野 田 俊 彦(昭和53年12月11日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第449号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | シリコン微細加工技術を用いた血液分析用集積化マイクロチップに関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 近年注目を集めているLab. on a Chipやµ-TASによるチップを用いた臨床医療応用の研究・開発が強く望まれている。 これらの応用により,“その場診断”の実現が期待でき,シリコン集積化血液検査チップはその一つである。 本研究は,集積化血液検査チップの実現に向け,吸光光度測定センサを中心とした分析用マイクロチップの開発について述べていて,全6章から構成されている。 第1章では,研究の背景となる化学分析チップの動向と臨床検査の現状,血液検査について述べ,血液検査装置小型化の意義を示している。 第2章は,吸光光度測定法,それに基づくヘモグロビン量の測定と,C-反応性タンパク測定の原理とその特性について述べ,第3章では吸光光度測定をマイクロチップ内でいかにして実現するかについて検討している。 第4章では流路構造について検討し,45度ミラーを利用した新構造を提案し,信号処理回路を含む構造を作製・評価している。 第5章では,マイクロチップによるC-反応性タンパク測定に必要な機能を持つ新しい構造のマイクロチップの設計・作製ついて記述している。 最後は6章で総括となっている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 本研究は,集積化血液検査チップの実現に向け,吸光光度測定センサを中心とした分析用マイクロチップを開発し,ヘモグロビン量やC-反応性タンパク測定など重要な血液検査項目をシリコンマイクロチップで実現する研究である。 通常のガラス基板上などで開発されているLab. on a Chipや µ-TASチップと異なり,シリコンMEMS・集積回路技術で形成することによる多くの可能性を示している。 そのなかで,45度ミラーを利用した新構造チップを提案し,センサと信号処理回路の一体化チップを実現し,数百回の繰り返しでも安定な信号測定を実現している。 ヘモグロビン量換算で0.1g/dℓ以下の変動に相当し,これは臨床検査で求められる値を満足する結果である。 さらに,マイクロチップによるC-反応性タンパク測定等を実現するため,温度制御と試薬反応を含めた前処理部分を集積化するマイクロチップの設計,試作,評価を行い,マイクロチップの完成に成功している。 これらの成果は,学術論文,国際会議で報告しており,この分野の発展に大きく寄与するものと評価が高い。 |
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| 氏名・(生年月日) | 野 田 善 之(昭和47年8月6日) | 本籍地(国籍) | 埼玉県 | ||||||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第450号 | ||||||||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||||||||
| 博士論文名 | 自走式自動注湯システムにおける注湯制御と振動抑制制御 | ||||||||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 最新設備を備えた鋳造工場では,鋳物品質の向上,及び,生産性向上を目的に移動している鋳型ラインに追従して溶湯を注湯する自走式自動注湯システムが採用されている。 しかし,液体容器である取鍋を搬送させることから取鍋内溶湯の液面振動が発生し,注湯時に正確に注湯できないなどの問題を抱えている。 本論文では,まず,自動注湯の高精度化を目的に自動注湯プロセスを数理モデルで表現し,その逆システムを構築することにより,注湯システムの制御系を設計している。 次に,注湯と搬送の同時動作によって生じる取鍋内溶湯の液面振動抑制を目的に,時間周波数解析を用いて液面振動固有周波数を推定し,それに基づき,時変フィルタを用いた振動制御系の設計法を提案している。 また,移動している鋳型へ取鍋内溶湯の液面振動を抑制しつつ,取鍋を追従させることを目的として,時変ゲインフィルタをフィードフォワード部とする2自由度制御系を設計している。 これら提案した制御アルゴリズムを自動注湯システムへ適用することにより,移動鋳型への高速追従,取鍋内溶湯の液面振動抑制,高精度注湯を実現する自走式自動注湯システムを実現させた。 第1章は,本論文の緒言であり,研究背景と目的を述べている。 第2章では,自動注湯システムの概要について,第3章で,自動注湯プロセスのモデリングと制御システムを述べ,第4章では,容器傾動をともなう液体容器の液面振動抑制制御法について示し,第5章で,移動物体への液面振動抑制を考慮した追従制御システムの構築について述べている。 第6章では,提案した制御システムを統合して自走式自動注湯システムを構築し,その有用性を実験を通じて明らかにした。 第7章で結言と今後の課題について述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||||||||
| 本研究は,自動車,航空産業などの「ものづくり」基盤技術として位置づけられる鋳造プロセスの自動制御システムを提案したものである。 容器傾動によって流出する液体の流量をモデル化し,流量制御システムを構築したことにより,高精度に所望の流量を実現できることを示している。 また,液面振動抑制問題では,液体容器が傾動することにより,変動する液面振動固有周波数を時間周波数解析を用いて推定し,時変フィルタを用いて制御システムを構築することで,高速容器搬送と容器内液体の液面振動抑制を実現している。 そして,2自由度制御により,移動物体への液面振動抑制を考慮した追従制御システムを構築している。 これらの提案された制御システムは,実験を通して,その有用性を明らかにしている。 これらの結果は,学術論文4編,査読つき国際会議論文8編として公表され,計測自動制御学会(学術奨励賞,Young Authors Award,産業応用部門賞)や鋳造工学会(優秀発表賞)で学術賞を受賞するなど学術的貢献が認められている。 また,提案した注湯制御は,現行の鋳造方法による鋳物製品の品質向上や歩留まり向上に寄与するだけでなく,平成16,17年度,地域コンソーシアムプロジェクトで開発中の鋳造法「砂型プレスキャスティング」では中核的技術として,適用されており,学術的な面だけでなく,実用的価値も高い研究である。 さらに本成果は,鋳造業のみならず,容器内液体の搬送,及び,注湯に関するプロセスにも広く適用可能である。 以上より,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 向 井 智 彦(昭和53年11月8日) | 本籍地(国籍) | 長崎県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第451号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 確率統計的学習による仮想人間の動作生成 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,3次元CGの技術を用いて構成される仮想的な人間の動きを,確率統計的な数値学習に基づいて生成する手法を提案している。 第1章では,研究の背景と目的を機械学習によるキーフレーム法と空間統計学を用いた補間法について述べている。 第2章では,仮想人間の動作の生成法に関する諸技術と関連する従来手法を説明している。 第3章では,人体姿勢を階層的に構成する手法と,キーとなる時刻で与えられた手先や足先の位置から最も自然であると判断される姿勢を階層的な強化学習を用いて探索する手法を述べている。 また,姿勢探索の際に動的可操作性を報酬計算に取り入れる方法について述べている。 第4章では,第3章の階層的な姿勢探索計算に実際の動きを計測したデータを導入する方法と,得られた姿勢間を補間する際に人間の関節運動の動的特性を考慮した関数を用いる方法を述べている。 第5章では,手先や足先の拘束条件を変えて計測した複数の動作データから,任意の拘束条件に対する運動を地球統計学を用いて高精度に予測する手法を提案している。 各動作と拘束変数の相違度に関する相関値を理論的にモデル化した関数を用いて補間の重み値を最適化することにより,既存の手法よりも真の値に近い動作を高速に生成できることを数値実験により示している。 最後に第6章では,本研究のまとめと今後の課題について述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 3次元CGの仮想人間アニメーションにおいて動作データを用いる手法はこれまで数多く提案されているが,本論文での機械学習を用いたキーフレーム法と空間統計学に基づく補間手法はいずれも新規性を有し,有効性も詳細に検討されている。 機械学習のキーフレーム法は,従来手法よりも効率的な計算機構を導入して複雑な運動を簡略な入力で編集することを可能としている。 真に自然な動作を得るにはさらに改善を要する点はあるが,これはキーフレーム法に内在する本質的な難題であると考えられる。 空間統計学の動作補間法は,従来より効果的な解法がなかった重要な問題を,これまでに適用されたことの無いクリギングという方法論で解決しており,厳密な方法によりその有効性を示している。 ゆえに,この提案手法が関連研究に与える影響は大きいものと考えられる。 以上の点により,本論文の内容は課程博士論文としての標準以上のレベルに達しているものと判断される。 本論文での研究成果は,国際的に権威があるACMの論文誌に掲載され,国内でも知名度の高い電子情報通信学会の論文誌に2件が掲載されている。 また,査読付きの国際会議の議事録にも2件が掲載されており,語学の点でも問題がない。 さらに,機械学習を用いた手法は,学術会議FIT2003において,船井ベストペーパー賞を授与されている。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | Muhammad Ghulam(1973年9月19日) | 本籍地(国籍) | バングラディシュ | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第452号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | A Study on Auditory Based Feature Extraction and HMM/SM Based Classification for Robust Speech Recognition
(頑健な音声認識を目的とする聴覚に基いた特徴抽出およびHMM/SMに基づく識別に関する研究) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文では,頑健な音声認識を困難にしているパターン変動の問題を,特徴抽出器と識別器の両面から解決することを目指している。 まず特徴抽出段階では,雑音に強いピッチ抽出方法を考案すると共に,聴覚系で行われるピッチ同期,ピーク振幅検出,変調周波数強調,マスキング処理を特徴抽出器へ組込む方法を開発している。 次に,識別器の段階では,マクロな時間伸縮に強い隠れマルコフモデル(HMM)と,ミクロな音素内のスペクトル-時間変動に強い部分空間法(SM)を組合わせた識別方式を提案すると共に,実装上の様々な工夫を通して,従来の標準的手法を大きく上回る性能を実現している。 第1章は序論であり,本研究の背景,目的,および章構成を説明している。 第2章では,人間の聴覚機能と現状の音声認識方式について説明している。 第3章では,雑音に頑健なピッチ検出方法を提案し,雑音混入音声で高い抽出率が得られることを示している。 第4章では,前章で得たピッチ検出を既存のZCPA(ゼロ交差ピーク振幅)法に適用すると共に(PS-ZCPA),聴覚系で行われているマスキング処理等を組合せた方式を提案し,雑音に頑健な性能が得られることを示している。 第5章では,前章で提案したPS-ZCPA法に性能と計算量の双方から検討を加え,新たにPS-PA(ピッチ同期-ピーク振幅)法を提案し,性能改善と計算コスト削減の目標を同時に達成している。 第6章では,発話中に変動する音声品質を識別器で正規化する方法を検討すると共に,従来のHMMに基づく複数の尤度正規化方法を比較評価している。 第7章では,前章の結果を受け,HMMとSMを組合わせた精度の高い尤度正規化法を考案し,実験からその有効性を立証している。 第8章は本論文のまとめと今後の課題について述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 音声認識では,確率的識別器である隠れマルコフモデル (HMM) が世界的に主流となっている。 しかし近年,HMMの限界が議論され始めるに伴い,これを越える新しい音声認識手法への期待が年々高まっている。 本論文は,これまでスペクトル分析器に過ぎなかった音声特徴抽出器に対して,人間の聴覚系が持つ様々な機能(基本周波数(ピッチ)抽出とそれを用いた同期検波,ピーク振幅検出,変調周波数強調,マスキング処理)を組込み,雑音に頑健な認識システムを実現している新規性のある研究である。 本研究で提案された高精度ピッチ抽出法のアイディアは,サブバンド毎に自己相関関数を計算した後,統合するもので,雑音下で高い精度を得た点が高く評価できる。 またこの特徴抽出器は,騒音下音声の標準データベースによる評価で,わが国研究機関中トップに位置する成績をおさめており,このことは特筆に価する。 また確率的識別器についても,時間伸縮変動に強いHMMに基づく識別器に,音素内変動に強い部分空間法(SM)に基づく識別器を組合せるという斬新なアイディアを提唱し,その実装方法に関する研究を行っている。 研究の中で系統的に行われた尤度正規化方式の比較結果は,有用なデータを与えており,高く評価できる。 また提案方式は,計算コストが高い難点はあるが,連続数字でこれまでにない高い識別性能を得ており,将来的に実用価値の高いものである。 本論文はこのように,工学上,系統的で意義深い成果を得ている。 また,研究成果を組込んだ実験システムでも,高い性能を示しており,音声認識の実用化に有益であるばかりでなく,他の音声処理にも応用可能な技術を多く含んでいる点,汎用性が高く工学的発展性からも高く評価できる。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 安 藤 智 朗(昭和53年9月21日) | 本籍地(国籍) | 静岡県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第453号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 真正細菌リボヌクレアーゼPの基質認識に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,RNA酵素(リボザイム)である大腸菌と枯草菌のリボヌクレアーゼP(RNase P)の酵素反応について詳しい実験的解析を行い,それにより得られた新しい知見についてまとめたものである。 第1章では,RNase P,特に真正細菌のものについて詳しい概説が記され,第2章では,本来転移RNA(tRNA)の生成に働いているRNase PがヒトのチロシンtRNAをその成熟配列内部で切断するという異常反応の発見について記されている。 さらに,その異常反応は,基質tRNAが二次構造変化を起こし,通常のクローバーリーフ構造からヘアピン構造に変わることによって起こることを証明している。 この新しい反応についてさらに詳しい基質認識の解析が第3章と第4章でなされている。 i)ヘアピン基質ではディスクリミネーター塩基が基質として認識されるのに重要な役割を果たしていること,ii)ヘアピン基質とクローバーリーフ基質では,その切断に要求されるマグネシウムイオンの濃度が異なること,iii)RNase Pのタンパク質サブユニットの存在で,上記マグネシウムイオン要求濃度の差がほとんどなくなることなどである。 第5章では,これら新発見をまとめるとともに,この知見が遺伝子発現制御などRNase Pを応用するRNA工学新技術の開発への基礎となること,生体触媒の進化といった基礎生物学的研究にも重要であることが述べられている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,まだ多くの未知の部分を残しているリボザイム反応について,新しい反応の発見をし,それを切り口に,正統的な実験を計画遂行し,多くの新知見を得たことをまとめたものである。 真正細菌のRNase Pが,真核生物のいくつかのtRNAをその成熟配列内部で切断することは以前から知られていたが,ヒトのtRNAの成熟配列内部での切断は,本研究で初めて見いだされたことである。 それが,ヘアピン基質を認識することにより起こるという機構も解明している。さらには,そのヘアピン基質の認識は,クローバーリーフ型の基質認識の様式と異なることの発見は,まったく予期しないことで,地道な実験科学の成果である。 現在,このRNase Pを遺伝子発現制御や遺伝子診断等に利用しようということが考えられているが,本論文で明らかになった基質形状の違いによる塩基認識様式の違いやマグネシウムイオン濃度の要求性の違いの発見は,このようなリボザイムのRNA工学的利用という点で大変重要な知見である。 工学的な寄与の他,本論文の成果は,生体触媒の進化の研究といった基礎生物学においても重要であり,その点でも評価できる。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | IRVAN(1968年8月20日) | 本籍地(国籍) | インドネシア | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第454号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | APPLICATION OF SUPERCRITICAL CO2 EXTRACTION TO THE DETERMINATION OF BACTERIAL QUINONES IN ENVIRONMENTAL SAMPLES
(超臨界二酸化炭素を用いた環境試料中における菌体キノンの抽出) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,環境中の微生物群集構造解析に有効な手段であるキノンプロファイル法において,キノン抽出法として二酸化炭素を用いる超臨界流体抽出法を用いることにより,効率的なキノンプロファイル分析方法の開発を目的とした研究をまとめたものである。 活性汚泥を試料として用い,菌体キノンの超臨界流体抽出挙動を明らかにするとともに,至適抽出条件の検討を行っている。 活性汚泥からの菌体キノン抽出特性について,従来から用いられている有機溶媒抽出法との比較を行い,新規抽出法の実用可能性を明らかにしている。 論文は,7章より構成されている。 第1章では,キノンプロファイル法の意義と超臨界流体抽出法の特徴を解説し,研究の背景と目的を明らかにしている。 第2章では,超臨界流体抽出装置と実験方法,さらにキノン分析から微生物群集構造解析に至るデータの解析・評価方法を述べている。 第3章では,活性汚泥から菌体キノンの超臨界抽出の効率化を目的として,モディファイヤー(溶媒極性調整剤)の種類と濃度の検討を行い,最適条件を明らかにしている。 第4章では,活性汚泥からの菌体キノン抽出における,温度,圧力,抽出時間などの影響を検討し,最適条件を明らかにするとともに,抽出操作の精度を評価している。 第5章では,本法と有機溶媒抽出法との比較を行い,本法の有用性を明らかにしている。 第6章では,前章で得られた条件で,性質の異なる活性汚泥や堆肥,土壌から菌体キノンの抽出を行い,本法の特性及び有用性を示している。 第7章では,本研究の成果を総括し,新規キノン抽出法の実用化への展望が述べられている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
生物学的廃水処理における活性汚泥,堆肥,土壌,バイオレメディエーションなどに有用な微生物について,群集構造の観点から検討する研究が重要となっている。 しかし,これらの研究に適した環境試料中の微生物を簡便に分析する方法は限られている。 近年,キノンプロファイル法は微生物の同定に用いられるだけでなく,微生物群集構造解析のためのバイオマーカーとして有用であることが証明されている。 微生物に含まれる菌体キノンは,通常,有機溶媒を用いた抽出法が用いられており,その後,分画,分析,解析という手順で行われる。 しかしこの抽出方法は,操作が煩雑で時間を要し,かつ,有害な有機溶媒を使用するといった欠点がある。 本研究では,キノン抽出の迅速化及び簡易化を目的として,二酸化炭素を用いる超臨界流体抽出法の開発を行い,活性汚泥から菌体キノンの最適抽出条件を明らかにしている。 本法は,従来法の有機溶媒抽出法と比較すると,菌体キノン抽出総量は若干少ない傾向が認められたが,抽出されたキノンの種類は一致し,それぞれの含有量もほとんど差がなかった。 このことから,活性汚泥から菌体キノンの抽出に対して超臨界流体抽出法の有用性が明らかにされた。 新規キノン抽出法では,操作の簡便化と迅速化が図られ,さらに有害な有機溶媒の使用量が軽減された。 また,抽出操作の自動化が容易であるため,キノンプロファイル法の応用範囲を大きく広げることができ,微生物を用いた環境評価・改善技術の発展に貢献するものといえる。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判断した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 王 文 暉(1969年1月17日) | 本籍地(国籍) | 中華人民共和国 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第455号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | メッシュろ過分離活性汚泥法による難分解性物質の除去に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 生物学的排水処理過程から排出される余剰汚泥や,産業排水に含まれる有機化学物質には,生物学的処理が困難な物質が多く,従来から物理化学的もしくは化学的な処理が行われているが,最も効率的な処理法として生物学的処理の可能性が期待されている。 本研究は,難分解性有機汚濁物の生物学的処理を可能とする上で,反応槽内での有用微生物を効率的保持と,微生物と処理水の効率的分離が重要性であることから,メッシュろ過分離活性汚泥法の開発を行ったものである。 既に開発されている膜分離活性汚泥法に比べて,簡易なシステムで,かつ,簡易な操作条件で処理できることを目的としている。 研究では,生物処理過程から排出される余剰汚泥の分解処理および産業排水中に高濃度に含まれるフェノールや,ポリエチレングリコール(PEG),ジメチルホルムアミド(DMF)の処理特性について検討を行っている。 本論文は,8章から構成されており,第1章では,研究の背景と目的を記述している。 第2章では,ベンチスケールの装置を作成し,余剰汚泥の分解特性について実験的検討を行っている。 第3章では,高濃度の活性汚泥をメッシュでろ過する上でのろ過分離特性に及ぼす因子について,汚泥濃度,粘度,細胞外高分子に着目して検討を行っている。 第4章では,パイロット規模の実験装置を作成し,メッシュろ過分離操作条件と長期間における余剰汚泥分解特性について検討を行っている。 第5章では,有害有機化合物であるフェノールを対象とし,本システムにおける処理特性を検討している。 第6章では,PEGの処理に適用し,分子量および負荷量の影響について検討を行っている。 第7章では,DMFの処理に適用し,有機物除去とともにDMFに含まれる窒素除の去特性についても検討を行っている。 第8章では,研究成果を総括し,本システム開発における今後の課題を示している。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 生物学的排水処理において生成する余剰汚泥の処理は排水処理の最終段階であり,余剰汚泥の処理が処理コストの大きな部分を占めている。 とりわけ小・中規模の排水処理施設において余剰汚泥の削減が求められている。 また,産業排水に含まれる有害性および難分解性有機物質の効率的な処理を目的として,生物学的処理技術の開発が求められている。 本研究では,メッシュろ過分離活性汚泥法におけるメッシュの閉塞を抑制する方法として,回分式処理方法の有効性を明らかにした。 余剰汚泥は,実験室規模の装置においては80%以上,パイロット規模の装置において72%以上の分解率が得られ,従来の好気性消化法や嫌気性消化法に比べて著しく高い分解特性を示している。 また,処理水の水質も従来の処理方法に比べて著しく良好であり,余剰汚泥削減技術としての有効性が示された。 フェノールの処理においては,20000 mg/Lの高濃度フェノールを98%以上除去でき,5000 mg/Lのフェノールを0.1 mg/L以下に処理できることを明らかにしている。 2500 mg/Lの分子量1000および2000のPEGが90%以上分解・無機化され,難分解性有機物質の処理に有用であることを示している。 DMFの処理においても,1000 mg/LのDMFを99%分解・無機化でき,かつ,窒素をほぼ完全に硝化できることを示している。 これらの結果より,本システムは高濃度難分解性有機汚濁物の生物学的処理に有用な方法であることを明らかにしており,独創的な新しい生物学的処理システムを提案している。 以上より,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判断した。 |
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| 氏名・(生年月日) | Swapan Kumar Saha(1967年7月10日) | 本籍地(国籍) | バングラディシュ | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第456号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | Hydrolytic Degradation of L-lactide Homo-and Copolymers
(L-ラクチドのホモポリマーおよび共重合体の加水分解) |
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| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,医用材料および環境保全材料として用いられているL-ラクチドのホモポリマーおよび共重合体の加水分解挙動の制御を目的として,分子構造および高次構造(構造パラメータ)が加水分解挙動に与える影響を検討したものである。
第1章では,生分解性高分子の分類と用途,生分解性ポリエステルの重合と加水分解特性,および本論文の目的と概要を記述している。 第2章では,非晶化処理をしたL-ラクチドホモポリマーであるポリ(L-ラクチド)(PLLA)を用いて,リン酸緩衝溶液における加水分解に与える分子量や少量のD-ラクチド単位の影響を検討し,少量のD-ラクチド単位は加水分解速度を著しく上昇させるが,分子量依存性は強くないことを明らかにした。
第3章では,非晶化処理をしたPLLAおよび共重合体を用いてリン酸緩衝溶液内の加水分解挙動に与えるコモノマーの種類の影響を検討し,それらの加水分解速度定数は,吸水率,ガラス転移温度,およびL-ラクチド単位の連続長に依存することを示した。
第4章では,非晶化処理をしたポリ(L-ラクチド- |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,L-ラクチドのホモポリマーおよび共重合体を医用材料および環境保全材料として用いる際に必要不可欠な加水分解挙動の制御を目的として,種々の構造パラメータの加水分解挙動に与える影響を,構造が厳密に制御された試料を用いて検討したものである。
PLLAの加水分解の分子量依存性は弱いが,少量のD-ラクチドの添加が劇的な加速効果を引き起こすという結果は,新規に見出した現象であり,特に本材料を医用用途に用いる際に重要かつ有用な知見である。
また,PLLAおよびL-ラクチド共重合体の加水分解速度定数は,吸水率,ガラス転移温度,およびL-ラクチド単位の連続長に依存することを見出し,これらのパラメータを制御することが加水分解速度を制御するための簡便かつ新規な手法となることを示した。
さらに,ポリ(L-ラクチド- 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 中 野 道 彦(昭和53年5月25日) | 本籍地(国籍) | 徳島県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第457号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 油中水滴型マイクロリアクターの作成と1分子反応系への応用 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文で述べている油中水滴型マイクロリアクターは油中に分散した水滴のひとつひとつを小さなリアクターとして機能させる手法である。 本論文ではマイクロチャンネル内で油中水滴型マイクロリアクターの反応制御を実現するために,その中で液滴の生成あるいは分裂・サイズ変化の方法を示し,さらに電界を用いたマイクロポンプ機構についても示している。 また,W/O(water-in-oil)エマルジョンを用いた1分子PCR(polymerase chain reaction)法,電界によって生じる流れを利用したDNA分子の伸張法についても検討し,最後に,電界を用いた乳化方法について検討している。 本論文は11章で構成され,第1章において油中水滴型リアクターの特徴を概説し,第2章においてはマイクロチャンネル内の反応制御手法としてのマイクロポンプに関する現在までの研究を紹介している。 第3章にてPDMS(polydimethylsiloxane)を用いた非常に簡便なガラスの表面の疎水化法について示している。 第4章ではマイクロチャンネル内で形成した水‐油界面から静電霧化によって水滴を油中に生成する方法について述べている。 第5章ではマイクロチャンネル内の液滴を微小化する方法として交流高電界が利用できることを示している。 また,第6章にて交流電界とレーザー照射によるマイクロポンプ機構について検討している。 レーザー焦点を電極の近傍に置くと,レーザー焦点を中心に電極から一方向で数百μm/secの流れを発生させている。 さらに,第7章では流れを利用した長鎖DNA分子の伸張方法を示している。 これは従来の手法とは異なり,基板への固定あるいはDNA分子の修飾をせずに伸張することができることを示している。 第8章では,W/Oエマルジョンを用いた1分子PCR法について示している。PCR溶液をW/Oエマルジョン化して微小な液滴に分散し,鋳型DNA分子を液滴内に閉じ込めることで,1分子の鋳型DNA及びRNAからの増幅に成功したことを示している。 第9章ではホモプライマー法を用いて配列が未知な鋳型DNA1分子の増幅に成功したことを示している。 そして,第10章では,乳化方法として電界が利用できることを示している。 第11章では上記結果の総括について述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 本博士論文では,油中水滴型マイクロリアクターに関する研究について報告している。 ここで開発された技術は,油中に分散させた微量水滴内でDNA増幅や,微小体積での効率のよい化学反応を行なうマイクロリアクター装置開発の基礎となるものである。 マイクロ流路中に置ける微小な水滴の形成,あるいは水滴の分裂に関しては,従来は機械的ポンプが一般的であったところに電界を用いた新規な方向を考案している。 さらに,レーザーと交流高電界を用いたマイクロポンプの開発を行なった。 また,DNAを操作する技術は新規なものであり,実用的にも有用性が高いと判断される。 特に,W/Oエマルジョンを用いた1分子レベルの高効率PCR法は,分子生物学の研究の場において,高品質ライブラリーの作成やコンビナトリアルな生体高分子の機能解明など様々な応用が期待される点で,優れた研究である。 また,生物的な反応系では,コンタミネーションが大きな問題となると考えられるが,その問題を解決する電気乳化法も幅広い応用が考えられる。 この方法は,外部からの電界印加による方法であるため,従来法に比べて,試料溶液の汚染が生じることのなく,また少量でW/Oエマルジョンを形成することができることを示している。 これら一連の研究はいずれも先駆的な技術開発で幅広い分野で応用可能であり,国内特許(3件)および学術論文(5件)や学会発表(12件)として発表されており,産業的にも学術的にも博士論文として十分な成果を挙げていると思われる。 以上より,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | Lim Iv(1977年8月1日) | 本籍地(国籍) | カンボジア | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 課博第458号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月23日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第1項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 地方都市における平休日交通行動の経年変化とその構造的要因に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,地方都市である豊橋市を対象として,過去4時点のパーソントリップ調査のデータを用いて,平日および休日における市民の交通行動の経年変化に関して分析した結果をとりまとめたものである。 第1章の序論に続いて,第2章では従来の都市交通計画における交通需要予測の方法論についてレビューし本研究の位置づけと特徴を整理している。 第3章ではトリップ生成原単位,トリップの空間分布,利用交通手段などの交通行動特性の経年変化実態を把握している。 第4章では,各種交通行動特性の経年変化量を要因構成変化によるものと要因別交通行動特性変化によるものとに分解する独自な方法を提案し,それらの経年変化傾向を定量的に明らかにしている。 第5章では,自由目的トリップ生成について,同一個人の平日と休日の交通行動には相互関係があるという仮説に基づき,構造方程式モデルを適用することにより,平日と休日のトリップ生成行動の決定メカニズムを分析し,その経年変化特性を明らかにしている。 結論部の第6章では,本研究の成果を要約するとともに今後の都市交通計画における交通需要予測のあり方について言及している。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
| 本論文は,今後の社会経済構造の変化をより的確に反映できる交通需要予測方法の確立を目指し,豊橋市を分析対象として簡易調査を含む過去4時点のパーソントリップ調査データを用いて,平日および休日の交通実態の経年変化を定量的に把握するともに,その構造的要因を分析し,人々の時間的空間的な交通行動の変化について考察している。 近年,多くの地方都市では,都市構造の変化や交通主体の属性構成の変化など,都市交通計画を取り巻く環境条件は大きく変化しており,それらへの適切な対応が求められていることから,交通行動の経年変化に着目した本論文の意義は大きいと言える。 本論文は,膨大なデータの処理に基づいて地方都市における交通行動の経年変化特性を実証的に明らかにするとともに,同一個人が平日と休日に行った自由目的活動に同時に着目して,平休日間の相互関係を考慮した自由目的交通の生成構造を分析し,その経年変化特性について考察している。 これらの研究成果は,今後の都市交通計画における交通需要予測モデル構築に対して示唆するところは大きく,その有用性は極めて高いと判断される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 谷 泰 臣(昭和30年12月25日) | 本籍地(国籍) | 東京都 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第189号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 自動車用多孔燃料噴射弁における微粒化の促進と制御 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
自動車は今後も開発途上国を中心に台数が増加することが予想されているが,その動力である内燃機関からの有害排出ガスによる大気汚染とCO2排出による地球温暖化という問題を抱えている。 本研究は,有害ガス排出量の低減や熱効率向上などに有効な技術として知られている燃料の微粒化に着目し,ガソリン機関用の燃料供給装置として信頼性があり生産性の高い多孔プレート型ノズルの微粒化メカニズムを明らかにするとともに,更なる微粒化の促進のためにいくつかの方向を示唆・提案するものである。 初めに,実際のガソリン機関を用いて,燃料噴射ノズルからの燃料噴霧の微粒化促進により,HCなどの有害ガスの排出量が大幅に低減できることを検証した上で,多孔プレート型ノズルの基本的な微粒化機構について詳細な実験観察を行い,基本的な微粒化機構を明らかにした。 次に,更なる微粒化促進のために,噴孔形状や噴孔配置によって微粒化特性や微粒化メカニズムがどのように変化するのかを実験および数値解析の両面から調べ,ノズル各因子と燃料微粒化との因果関係の解明を試みた。 特に噴孔上流の流れを制御することによって微粒化の促進を図ったノズルは,比較的単純な構造かつ噴射孔径を小さくせずに微粒化を大幅に促進することができることがわかった。 これらの結果を用いて,さらなる燃料噴射系の改良を推進すれば,より環境負荷の少ない自動車用ガソリン機関の開発に貢献できる。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
内燃機関からの有害ガス排出量の低減や熱効率向上に対して,燃料の微粒化が一つの有力な手段となることが知られている。 本論文は,ガソリン機関用燃料噴射ノズルとして現在もっとも広く用いられている多孔プレート型ノズルについて,微粒化のメカニズムを広範囲で系統的な実験により調べ,その結果を基に噴射ノズルの更なる開発,改良を試みたものである。 初めに実寸大モデルおよび20倍拡大モデルを用いた詳細な実験観察により,多孔プレート型ノズルの基本的な微粒化機構を明らかにしている。 次に燃料噴霧の微粒化を促進するためにノズルの形状や配置を変えた5種類の多孔プレート型ノズルを独自に考案して,それぞれのノズルの微粒化特性や微粒化メカニズムについて実験と数値解析の両面から調査し,ノズルの構成因子と燃料噴霧の微粒化特性との関連性の解明を試みている。 その中でも噴孔上流部にガイドプレートと呼ばれる板を設置して噴孔上流の流れを制御することによって微粒化の促進を図ったノズルは比較的単純な構造でありながら,顕著な微粒化促進効果が得られることを実証しており,その実用化が大いに期待される。 本論文の成果の一部は,有害ガス排出量の低減を目的とした実際の自動車用ガソリン機関の燃料噴射弁としてすでに採用されており,有用で実用性の高い研究であることは高く評価できる。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 小 宮 巌(昭和39年12月22日) | 本籍地(国籍) | 長崎県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第190号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | FRP用樹脂の開発と建設部材への適用に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は新規なFiber Reinforced Polymer(以下FRPと略記)用樹脂の開発とその建設部材への適用性に関する実験的研究をまとめたもので6章からなる。 第1章は序論として研究目的と論文の構成を述べている。 第2章ではFRP材として用いられる材料の種類と成形法を調査整理しその特徴を明確にしている。 さらに,後章で使用されるFRP成形法である引き抜き成形法やRTM法についての定義を示し,これまでに建設分野で使用されてきた材料との比較を行っている。 第3章では,新規な液状樹脂としてイソシアネートを出発原料としたウレタンメタクリレートを開発した過程を示し,従前の液状樹脂となんら遜色ないこと,さらに,建設材料と して重要な難燃性の付与に成功したことを明らかにしている。 第4章では,高強度・軽量・高耐久性・非磁性等多くの優れた性能を持つFRPロッドが建設分野での鉄筋の代替となるために最も必要なコンクリートとの付着特性について数多くの鉄筋との比較試験を行い,十分に実用に供しうることを明らかにしている。 第5章では,FRP材料からなる箱型あるいはH型断面を持つ建設構造部材としての特性を把握するために各断面を持つ柱部材の中心圧縮試験からその座屈特性を明らかにしている。 第6章では3章から5章までの知見をまとめ本論文の結論としている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本論文は新規なFRP用樹脂の開発からその建設部材への適用のための諸課題の解決という広範な領域について最重要課題に焦点を絞った研究をまとめたものである。 第3章において,FRP用樹脂として入手が容易で安価なイソシアネート等の原材料に着目し,高硬化速度・高耐熱性・低粘度の新規なウレタンメタクリレート液状樹脂の合成に成功している。 汎用の水酸化アルミニウムや赤リン等の難燃剤を用い,ハロゲンを使用しない環境に配慮した高難燃性のFRPを得たことから国内のみならずアメリカへも特許出願がなされ新規性が認められている。 第4章ではFRPロッドについて標準引抜き試験はもちろんのこと,より過酷な条件下での引抜き試験による付着特性が明らかにされ,設計上有用な付着応力度―滑り関係を定式化した。 さらに,通常の鉄筋に比べてその付着強度・付着剛性は若干劣るものの十分に実用に供し得ることを明らかにした。 第5章ではFRPからなるH型・箱型断面形状建築構造部材の長柱および短柱としての圧縮耐荷性状について,FRPの低剛性に起因する局部座屈の発生によって箱型断面材では鋼部材とは異なる崩壊性状を示すことを実験的に明らかにしている。 本論文で明らかにされた成果は強化プラスチック誌,日本建築学会構造系論文報告集,ICCI国際会議論文等で公表され高い評価を得ている。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 辻 野 和 彦(昭和49年4月24日) | 本籍地(国籍) | 福井県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第191号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 高分解能衛星画像と森林データベースを用いた土砂災害対策支援GISに関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文では,高分解能衛星画像による土砂災害発生箇所の精密な検出結果,ならびに森林データベースを用いて災害特性を分析し,危険度予測,避難,応急復旧,対策工事地点選定など災害対策において多くの異なるフェーズに利用可能な新たな土砂災害対策支援GISを提案している。 本論文は7章よりなり,第1章では研究の背景,目的を述べている。 第2章では,複数のセンサーによる衛星画像を用いて,土砂災害箇所を検出する手法を示し,第3章では,陰影部を含む高分解能衛星画像の解析手法を提案し,岐阜県上矢作町における東海豪雨による土砂災害箇所を精密に検出した結果を示している。 第4章では,衛星画像による土砂災害検出結果と森林データベースを用いて,上矢作町における土砂災害特性を分析した結果を示している。 第5章では,森林データベースの更新に必要な樹種の分布を,高分解能衛星画像から判定する手法を提案し,岐阜県大和町での精度検証結果を示している。 第6章では,上述の災害特性分析結果と広域に分布する多地点での降雨データ,土地利用に関する地理情報を用いた,多面的な土砂災害対策適用可能なGISを提案している。 また,上矢作町について適用性を検証した事例を示している。 第7章では,研究成果のまとめを示し,今後の研究の展望を述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本研究は,信頼度の高い土砂災害の危険度評価を行い,災害対策の様々な場面で有用な情報を発信できる総合的な土砂災害対策支援のための地理情報システム(GIS)の開発を行ったものである。 本論文では,人工衛星画像を用いて,広域に発生した土砂崩壊を早い段階で把握する方法を提案している。 とくに,高解像度衛星画像の問題点である陰影部の処理について新たな手法の開発を行っている。 また,衛星画像による崩壊箇所の検出結果と細密な森林データベースを用いて,土砂崩壊特性の分析を行っている。 精密な情報を用いることにより,これまでにない高い精度での特性分析が可能となっている。 高分解能衛星画像を用いた樹種分類手法の開発では知識データベースを利用した新たな手法を提示している。 さらに,災害の特性分析結果と降雨データを用いた土砂災害対策支援の方法を提案している。 素因と誘因の両者を用いた避難勧告の手法はこれまでに例を見ないものである。 研究の成果は,写真測量とリモートセンシング,自然災害科学に6篇の論文として掲載され,電気電子学会(IEEE)などの国際会議に3篇発表されており,高い評価を得ている。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 立 石 寧 俊(昭和39年4月3日) | 本籍地(国籍) | 神奈川県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第192号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 格子状リブを有するCFRPサンドイッチ版構造の局部座屈に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,軽量,高耐久性などを特徴とする繊維強化ポリマーの表面材とポリマー発泡体コア材及び格子状リブによって構成されるサンドイッチ版構造を対象として,これまで体系的な研究がなされていなかった局部座屈挙動に関して陽な形での解析解を提示し,多数の実験と有限要素解析結果との比較も行い,その妥当性を実証したもので,全8章により構成されている。 第1章は,本研究の目的と背景を述べた。 第2章では,表面材,コア材,リブの機械的性質をクーポン試験結果をもととして明らかにした。 第3章及び第4章では,サンドイッチ平板要素についての圧縮実験及び曲げ実験を実施し,座屈に関する基礎的データを整理した。 第5章では,表面材の局部座屈について4つの座屈モードに類別し,トータルポテンシャルエネルギーの停留原理から,各モードの座屈応力を陽な形で示した。 第6章では,本解析法による形状や材料についてのパラメトリックスタディーを行い,力学特性を明らかにするとともに,低剛性の発泡体コア材の座屈補剛寄与分について考察した。 一方,本解析結果と有限要素法による線形座屈固有値解析の結果を比較し,本解析法が座屈応力と座屈モードの予測に如何に適しているかを論じた。 第7章では,圧縮実験及び曲げ実験の結果を用い,座屈応力と座屈半波長で表わされる実験データと本解析による座屈応力スペクトルを比較してその整合性を論じた。 第8章では,結論及び今後の課題に言及した。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本研究は,軽量化や耐久性が期待される建設構造用CFRPサンドイッチ版を対象として,これまで体系的な研究がなされていなかった局部座屈に関し,多数の実験による基礎的データの提供,簡便な局部座屈解析法の提案, FEM解析並びに実験との比較による同解析法の妥当性を明らかにしたものである。 すなわち,(1)サンドイッチ版の面内圧縮実験及び面外曲げ実験から局部座屈応力,座屈半波長などの基礎データを整理し,縦リブやコア材の座屈拘束効果,コア材の性質が座屈後挙動に大きく影響することなどを明らかにした。 (2)コア材と格子状リブを3次元的にモデル化し,エネルギー原理に基づいた局部座屈解を誘導した結果,この解析手法を用いることで局部座屈耐力を初めて明確な陽な形として誘導することができ,低剛性の発泡体コア材によってCFRP表面材の耐力が著しく大きくなる可能性を明らかにした。 (3)本解析手法による結果を,有限要素解析及び実験結果と比較することで本解析法の妥当性を明らかにした。 こうした研究で得られた一連の成果は,日本建築学会構造系論文集,構造工学論文集(土木学会),強化プラスチック協会誌,国際シェル空間構造学会(IASS),国際構造工学会(IABSE)などに公表されるとともに,2004年度強化プラスチック協会・協会賞(論文賞)を受賞しており,建設構造用CFRPサンドイッチ版構造の設計実務に資する局部座屈耐力評価法を構築したことは高い評価に値する。 以上により,本論文は,博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 丸山 真佐夫(昭和43年9月26日) | 本籍地(国籍) | 長野県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第193号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 再演と巻き戻し実行に基づく並列プログラムのデバッギング手法の研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,メッセージパッシング型の並列プログラムのデバッギング手法に関するものであり,プログラムの実行を確実に再現する「再演法」と,実行過程上の特定の時点へ戻る「巻き戻し法」,およびその組み合わせについて論じている。 論文は5章から構成されており,第1章で研究の背景・目的を概観した後,第2章では並列プログラムデバッギングに関する従来の研究に関して述べ,これらの問題点や未解決の課題をまとめた上で,この研究により解決すべき課題を明らかにしている。 続く二つの章では研究の成果が論じられており,まず第3章では従来型の順序再演法を利用しつつ,巻き戻しのための状態保存との組み合わせを工夫することにより,効率的かつ利便性の高い巻き戻し実行が実現できることを明らかにしている。 次に第4章では,従来は非効率とされほとんど顧みられなかったデータ再演法が実用的効率を持つことを明らかにしつつ,デバッグコストの観点からはむしろ順序再演法よりも優れ,さらに巻き戻し実行との組み合わせにより機能・効率の両面で優れたデバッギングシステムが構築できることを明らかにしている。 また第5章では本論文の結論を述べるとともに,今後の課題についてまとめている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
並列プログラムのデバッグには,実行の非決定性,複数プロセスの関与に起因するバグ特定の困難さ,デバッグに要する計算資源や時間コストが大きいことなど,数多くの課題が存在している。 これらの部分的解決法として,非決定性を排除する再演法や,特定の時点にプログラムの実行を巻き戻す方法が知られているが,いずれも機能,効率,利便性などの観点から不十分な解決法となっている。 本論文の重要な貢献は,この再演法と巻き戻し法,およびそれらを組み合わせたデバッギング手法について新たな提案を行うとともに,提案手法の実装・評価を通じて機能・効率・利便性が向上することを実証したことにある。 特に第4章で述べられているデータ再演法が,従来の定説に反して実用的な効率で実現できるばかりでなく,優位とされていた順序再演法よりもデバッグに要する時間や計算資源の観点で優れていることを実証したことは,並列プログラムデバッギングの分野に大きなインパクトを与えるものであり,学術的にも実用的にも高く評価される。 また第3章の順序再演法と巻き戻し法の組み合わせは,データ再演法の優位性を導くためのブレークスルーともなっており,その貢献は高く評価される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 都 木 徹(昭和31年7月28日) | 本籍地(国籍) | 神奈川県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第194号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 高品質な韻律・声質変換方式とその放送技術応用に関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,放送番組の声の明瞭さや聴き易さを改善したり,アナウンサーやキャスターの音声表現の訓練を支援したり,語学放送番組の学習システムに利用することを目的として,高品質な韻律・声質変換を可能とする音声信号処理方式とその利用について述べたもので,8章により構成されている。 第1章では,今後の放送・多チャンネル・マルチメディア環境において,わかりやすい人に優しい音声表現の実現が必要なことを述べ,本論文の位置付けを述べている。 第2章では,本論文の基礎技術である音声の特徴抽出,音声の分折・合成,その他の関連技術について紹介している。 第3章では,音声の分折合成において,ピッチ周波数の変更時に生じる聴感的な歪に対処した韻律・声質変換方式について述べている。 第4章では,韻律・声質変換方式を用いて,物理的特徴と心理的印象の関係について述べている。 第5章では,第3章と第4章で重要な基礎技術である基本周波数抽出に関して,高精度な実時間処理が可能な方式について述べている。 第6章と第7章では,放送技術への具体的な適応について述べている。 第6章では,聞こえが困難な早口音声を補助するための話速変換方式とその実用化について,第7章では,中国語の語学番組用の韻律変換による学習方式と利用効果について述べている。 第8章では,本論文のまとめと今後の課題について述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,デジタル化が進み多様化する放送の送受信環境において,年齢や障害・母国語の違いなどによって起因する受聴の困難さに対処するという現実的な問題に取り組み,解決した意欲的な論文である。 まず,基礎技術となる分折合成方式による音声の変換について,従来方式よりも聴感的な歪を押さえる音声劣化の少ない方式を開発したことは高く評価できる。 また,基礎研究として,音響物理パラメータによる韻律・声質変換と個人性,明瞭さ,明るさ,歯切れの良し悪しなどの声の印象との関係を明らかにしたことは貴重な結果である。 この韻律・声質変換には高精度な基本周波数の抽出技術が必須であるが,複数の分折窓による自己相関関数を統合した新しい高精度な実時間抽出法を考案・実装したことも高く評価できる。 応用研究としては,早口が苦手な高齢者の聴こえを補助する目的で話速変換方式を開発している。 本方式はテレビやラジオ放送に導入され,アナウンサー等の早口を自分にあった速度で途切れることなく聞くことができる。 また英語語学番組でネイティブの音声を速度を落として聞くことができるなど,極めて独創性のある方式である。 さらに,韻律変換方式は,中国語語学番組の四声の学習に応用されており,有用性を示している。 以上より,本論文は博士(工学)の学位論文に十分相当すると判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 齋 藤 努(昭和29年1月26日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第195号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 加減算処理に基づく電子楽器音のリアルタイム採譜システムに関する研究 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,加減算処理という簡単な処理により電子楽器音に対するリアルタイム採譜システムを実現することを目的に,いくつかの音高推定アルゴリズムを提案し,それを具体的にディジタルシグナルプロセッサ(DSP)やパーソナルコンピュータ(PC)で実現し,その性能を明らかにしている。 第1章は,本研究の背景と目的,および概要を述べている。 第2章は,自動採譜に関する基礎的考察を行なっている。 第3章は,減算処理で実現されるNotch型くし形フィルタと加算処理で実現されるResonator型くし形フィルタによる音高推定の原理を述べ,Notch型フィルタによる和音の音高推定法を提案している。 第4章では,同期加減算処理による音高推定法を提案し,先ず並列同期加減算による60個の音高(5オクターブに相当)に対応した音高推定法を説明し,次いで,限定された同期加減算処理を適応的に使用する適応同期加減算による音高推定法が可能であることを示している。 第5章は,これまで提案した音高推定法を具体的にDSPやPCを用いてリアルタイム採譜システムを実現し,その性能を明らかにしている。 また,打楽器音を含む楽音に対する音高推定法についても検討を加えている。 第6章は,結言であり,本論文での結果を総括するとともに,残された問題を整理している。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
楽音を楽譜にする採譜システムは,音楽分野やIT分野等で重要視されているが,和音を対象にした実用的なリアルタイム採譜システムは実現されていない。 本論文では,この問題を解決するため簡単な演算である加減算処理による新規性のある音高推定法を提案し,そのアルゴリズムをDSPやPCで実現し,和音に対するリアルタイム採譜システムを実現したことは評価できる。 すなわち,加減算処理で実現した音高推定アルゴリズムとしては,Notch型くし形フィルタ(減算処理),Resonator型くし形フィルタ(加算処理)および同期加減算処理によるアルゴリズムを提案している。 これらのアルゴリズムは原理的に各音高に従ったサンプリング周波数を使用することで加減算処理による音高推定法を可能にする。 本論文では,このサンプリング動作を一つの高いサンプリング周波数を使用したオーバーサンプリング法により,サンプリング動作による誤差を最小になるように工夫してリアルタイム採譜システムを実現したことは高く評価できる。 また,打楽器音が含まれる楽音の音高推定法を検討するなど,より実用的な採譜システムを実現している。 以上のように,本論文では,これまで実現されてなかった和音に対する実用的なリアルタイムな採譜システムを実現したことは高く評価でき,よって本論文は博士(工学)の学位論文に値するものと判断した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 岡 本 将 之(昭和51年8月19日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第196号 | ||||||||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||||||||
| 博士論文名 | 航空機アルミ部品加工への環境調和型切削液供給システムの導入 | ||||||||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||||||||
本論文は金属加工に大量に使用されている切削液による環境負荷を低減するため,(1)切削液を電気分解して気泡を発生させ,それに不純物を付着させて浮上させる切削液浄化法の開発,(2)切削液をミスト化して帯電させることで被加工物への付着効率を向上させると共に周囲への飛散を低減する方法の有効性,を示したものである。 第1章は序論であり,金属加工における切削液による環境汚染の低減の必要性を述べている。 第2章は切削加工における切削液の役割および切削液システムの抱える問題点を述べている。 第3章は申請者らが開発した電解浮上法による切削液の浄化方法の詳細を述べている。 第4章は環境適応型MQL(Minimum Quantity Lubrication)切削加工実現のための技術開発として,切削液を微細なミストにして被加工物に吹き付ける方法を述べている。 特にミストをコロナ放電により帯電させつつ,高電界を被加工物表面に形成して,電気力で帯電ミストを運搬することでミストの付着効率が向上できることを示した。 第5章は帯電ミストを使用することで,加工ブース内部に飛散するミストの量を大幅に低減でき,作業環境の改善が図れることを示した。 第6章は結論であり,本研究を通じて開発した技術をまとめ,その有効性を述べている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||||||||
本研究は金属加工において大量に使用されている切削液による環境汚染を低減することを目的としている。 切削加工の効率を下げることなく,切削液をできるだけ長期間使用するため,切削液の浄化を行う方法として電解浮上法の適用を検討した。 電極構造を最適化することで,重力沈降や遠心分離での除去が困難であった0.1から3μmの微細なアルミニウム微粒子の高効率除去が実用規模の流量において可能であることを示した。 また,切削液の使用量をできる限り低減する方法として,超音波霧化により,水と少量の菜種油をミスト化すると,水粒子表面に油皮膜が形成でき,油による潤滑と水の蒸発による冷却が可能であり,実用化できることを示した。 さらにミストの被加工物への付着効率を向上するため,ミストをコロナ放電で帯電させることが有効であり,特にミスト供給量を減らした条件でその効果が高いことを実験的に示した。 あわせて,ミストを帯電することで,加工ブース内部に飛散するミスト量を大幅に低減でき,作業環境改善に大きな効果を有することを示した。 これらの研究成果は金属加工における環境負荷低減に大きな役割を果たすものであり,査読付き論文3編,国際会議発表1件として報告している。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 山 田 悠 未(昭和44年3月15日) | 本籍地(国籍) | 愛知県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第197号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | マレーシア華人新村研究 ~都市地域史の観点から | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,マレーシア華人新村に対する定説を都市地域史の視点から再評価し,新たな視点を提示したものであり,全6章から構成されている。 この新村は,第2次世界大戦後の共産運動鎮圧のために,イギリス植民地政府が華人スクウォッターの収容と管理を目的として建設した再定住地である。 新村は共産化を防ぐ応急対策的な計画から始まり,これまで既往研究では拘留キャンプのような無計画なものとの説が定説であったが,申請者は,居住地としてある程度の計画がなされていたと仮定し,1)計画,建設のプロセスと,2)新村の住環境整備の実態を明らかにするために,現地で通算1年弱15村の詳細調査と15村の概要調査を行い,当時の公文書の読解,官庁や住民調査から得た資料を分析した。 その結果,新村はブリックスプランに基づき,コミュニティー形成という明確な目的の上に公共施設等の施設設備計画,当時としては良好な住環境の計画がなされ,少ない人員で効果的に良水準の新村建設を行うため,南部から集中的・段階的に実施されたことを明らかにした。 このようにして完成した新村は当初から良好な住環境が整備され,そこで生活基盤がつくられ,非常事態解除後も存続し,582に及ぶ地方都市の骨格ができあがったことを明らかにした。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本研究は,マレーシア近代期の地方都市の建設をテーマにし,既往研究の問題点を洗い出した上で,新たな仮設を立てて,研究の出発点とした。 この仮説を実証するために,海外で1年弱の長期に渡って文献調査,現地の村の施設整備及び住環境調査,現地の人々からの聞取り調査等を実施し,必要なデータを収集している。 以上の多数のデータを詳細に分析し,また断片的な関連情報をつなぎ合わせ,当初の仮説が正しいことを明らかにしている。 本研究の主要部分である3章から5章は,日本建築学会計画系論文集に2編の査読付き論文として掲載され,外部からも論文としての内容が評価されている。 研究の位置づけに若干の曖昧さがあるものの,独自のテーマを形成し,海外調査を通じて困難なデータ収集と分析を行い,妥当な結論を導き出したことは高く評価される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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| 氏名・(生年月日) | 南 亘(昭和50年3月19日) | 本籍地(国籍) | 石川県 | ||||||||||||
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| 学位の種類 | 博 士 (工 学) | 学位記番号 | 論博第198号 | ||||||||||||
| 学位授与年月日 | 平成18年3月8日 | 学位授与の要件 | 学位規則第4条第2項 | ||||||||||||
| 博士論文名 | 難分解性物質の分解処理及び装置開発 | ||||||||||||||
| 論文審査委員 |
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| 論文の内容の要旨 | |||||||||||||||
人類の生活水準の向上に伴い難分解性人工化学物質が大量に生産され,深刻な環境問題となっているが,本論文は,この問題を解決するため,難分解性物質が低濃度で存在する場合,高濃度で存在する場合に分けて無害化処理の方法を論じている。 第1章では,難分解性物質によって引き起こされる環境問題の背景と現状をまとめるとともに,本研究の目的を述べている。 第2章では,気体の低濃度難分解性物質に対して光触媒,プラズマを用いた分解処理方法を提案し,そのメカニズムを明らかにしている。 第3章では,高濃度の難分性解物質を処理する方法を液体と固体に分けて,液体に対しては熱分解及び燃焼分解法を提案している。 また,固体の難分解性物質に対しては石炭と混ぜてブリケット化することで燃料化し,燃焼することで無害化処理する方法を提案している。 第4章では,2章と3章で行なった分解処理から発生する排ガスの処理方法を提案し,そのメカニズムを明らかにしている。 また,排ガスから出るフッ素化合物を再資源化する方法を提案している。 第5章では,3章と4章の結果を用いて実証機の設計,製作を行い,装置を稼動させ,その性能を検証している。 第6章では,LCA手法を用いて本装置について環境影響評価を行なっている。 第7章では,本研究の成果と今後の課題をまとめている。 |
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| 論文審査の結果の要旨 | |||||||||||||||
本論文は,難分解性人工化学物質が引き起こしている深刻な環境問題を解決するため,難分解性物質を低濃度処理と高濃度処理に分け,低濃度の難分性解物質に対しては光触媒法又はプラズマを用いた分解処理方法を,高濃度の難分解性物質に対しては液体と固体に分けて,液体の難分解性物質に対しては熱分解及び燃焼分解法を,固体の難分解性物質に対しては石炭と混ぜて燃料化する方法を提案し,難分解性人工化学物質処理を体系化した研究である。 難分解性物質の最適処理条件及びそのメカニズムを明らかにした結果は実用化に貢献できる有効な知見を示している。 特に,難分解性物質として高濃度のフロン(HCFC-22)を取り上げ,排ガスの副産物であるCaF2をフッ素資源として再資源化する方法を提案し,それを実証したことは本研究の独創的な点であり,工学的にも評価できる。 また,これらの結果を用いて実証機を設計,製作し,装置を稼動させ,その性能まで検証したことは世界的にも例がない研究であり,今後,他の難分解性処理プロセスへの応用に多くの知見を示している。 LCA手法を用いて行なった研究の評価は今後の環境関連研究の方向性を示している。 本論文で明らかにした一連の結果は,今後の難分解性物質を効果的に処理する方法として地球環境保全に大きく寄与すると判断される。 以上により,本論文は博士(工学)の学位論文に相当するものと判定した。 |
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