豊橋技術科学大学動物実験規程

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豊橋技術科学大学動物実験規程
(平成17年3月18日規程第146号)
(前文)
豊橋技術科学大学(以下、「本学」という。)における動物実験を伴う生命科学研究は、人の健康・福祉・先端医療の開発展開のみならず、動物の健康増進等における研究分野の進展においても必要な手段である。
この規程は、「動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号)」(以下「法」という)、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号)」(以下「飼養保管基準」という)、及び「研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)」(以下「基本指針」という)を踏まえ、日本学術会議が作成した「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン(平成18年6月)」(以下「ガイドライン」という)を参考に、科学的観点、動物愛護の観点及び環境保全の観点並びに動物実験等を行う教職員・学生等の安全確保の観点から、動物実験等の実施方法を定めるものである。
 
(趣旨及び基本原則)
第1条 この規程は、本学における動物実験等を適正に行うため、必要な事項を定めるものである。
2 動物実験等については、法、飼養保管基準、基本指針、その他の法令等に定めがあるもののほか、この規程の定めるところによるものとする。
3 動物実験等の実施に当たっては、法及び飼養保管基準に即し、動物実験等の原則である代替法の利用(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。)、使用数の削減(科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により実験動物を適切に利用することに配慮することをいう。)及び苦痛の軽減(科学上の利用に必要な限度において、できる限り動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3R(Replacement、Reduction、Refinement)に基づき、適正に実施しなければならない。
(定義)
第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1)動物実験等 本条第5号に規定する実験動物を教育、試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2)飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(3)実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む)を行う動物実験室をいう。
(4)施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(5)実験動物 動物実験等の利用に供するため、施設等で飼養または保管している哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物(施設等に導入するために輸送中のものを含む)をいう。
(6)動物実験計画 動物実験等の実施に関する計画をいう。
(7)動物実験実施者 動物実験等を実施する者をいう。
(8)動物実験責任者 動物実験実施者のうち、動物実験等の実施に関する業務を統括する者をいう。
(9)管理者 実験動物及び施設等を管理する者をいう。
(10)実験動物管理者 管理者を補佐し、実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を担当する者をいう。
(11)飼養者 実験動物管理者又は動物実験実施者の下で実験動物の飼養又は保管に従事する者をいう。
(12)管理者等 学長、管理者、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者をいう。
(13)指針等 動物実験等に関して行政機関の定める基本指針及びガイドラインをいう。
(適用範囲)
第3条 この規程は、本学において実施される哺乳類、鳥類、爬虫類の生体を用いる全ての動物実験等に適用される。
2 動物実験責任者は、動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合、委託先においても、基本指針等に基づき、動物実験等が実施されることを確認するものとする。
(組織)
第4条 学長は、動物実験計画の承認、実施状況及び結果の把握、施設等の承認、教育訓練、自己点検、評価、情報公開、及びその他動物実験等の適正な実施に関する事項を審議、報告又は助言する組織として豊橋技術科学大学動物実験専門委員会(以下「動物実験専門委員会」という。)を置く。
2 第2条の管理者は学長とし、実験動物管理者は動物実験専門委員会委員長とする。
3 動物実験専門委員会に関し、必要な事項は別に定める。
(動物実験計画の立案)
第5条 動物実験責任者は、動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から、次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し、所定の動物実験計画書を学長に提出するものとする。
(1)研究の目的、意義及び必要性
(2)代替法を考慮して、実験動物を適切に利用すること
(3)実験動物の使用数削減のため、動物実験等の目的に適した実験動物種の選定、動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数、遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件を考慮すること
(4)苦痛の軽減により動物実験等を適切に行うこと
(5)苦痛度の高い動物実験等、例えば、致死的な毒性試験、感染実験、放射線照射実験等を行う場合は、動物実験等を計画する段階で人道的エンドポイント(実験動物を激しい苦痛から解放するための実験を打ち切るタイミング)の設定を検討すること
2 動物実験計画を変更しようとする場合は、前項の例による。
(審査・承認)
第6条 学長は、提出のあった動物実験計画書について、動物実験専門委員会の議を経て、その審査の判定を行う。
2 前項の規定による審査の判定は、次の各号に掲げる区分によるものとする。
(1)承認
(2)条件付き承認
(3)不承認
3 前項の規定による判定区分のうち、承認及び条件付き承認の場合は、実験を実施することができる。ただし、条件付き承認の場合は、指示された条件に従わなくてはならない。
4 学長は、第1項の規定による判定を行ったときは、その旨を動物実験責任者に所定の審査結果通知書をもって通知するものとする。
5 動物実験責任者は、動物実験計画について学長の承認(条件付き承認を含む)を得た後でなければ、動物実験等を行うことができない。
(実験操作)
第7条 動物実験実施者は、動物実験等の実施に当たって、法、飼養保管基準、指針等に即するとともに、特に次に掲げる事項を遵守するものとする。
(1)適切に維持管理された施設等において動物実験等を行うこと
(2)動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守すること
① 適切な麻酔薬、鎮痛薬等の利用
② 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む)の配慮
③ 適切な術後管理
④ 適切な安楽死の選択
(3)安全管理に注意を払うべき実験(物理的、化学的に危険な材料、病原体、遺伝子組換え動物等を用いる実験)については、関係法令等及び本学における関連する規程等に従うこと
(4)物理的、化学的に危険な材料又は病原体等を扱う動物実験等について、安全のための適切な施設や設備を確保すること
(5)実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めること
(6)侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては、経験等を有する者の指導下で行うこと
(飼養保管施設の設置)
第8条 飼養保管施設を設置(変更を含む)する場合、所属する系長,総合教育院長,研究所の長又は共同利用教育研究施設の長(以下「系長等」という。)を経て、所定の飼養保管施設承認申請書を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 学長は、飼育保管施設の設置申請について、動物実験専門委員会の議を経て。承認の可否を決定する。
3 学長は、前項の判定を行ったときは、その旨を所定の審査結果通知書をもって通知するものとする。
4 学長の承認を得た飼養保管施設でなければ、実験動物の飼養若しくは保管又は動物実験等を行うことができない。
(飼養保管施設の要件)
第9条 飼養保管施設は、次の要件を満たすものとする。
(1)適切な温度、湿度、換気、明るさ等を保つことができる構造等とすること
(2)動物種や飼養保管数等に応じた飼育設備を有すること
(3)床や内壁などが清掃、消毒等が容易な構造で、器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること
(4)実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること
(5)臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること
2 飼養保管施設の設置に当たっては、飼養者を定めなければならない。
3 飼養者は、実験動物管理者及び動物実験実施者を兼ねることができる。
(実験室の設置)
第10条 飼養保管施設以外において、実験室を設置(変更を含む)する場合、系長等を経て、所定の実験室承認申請書を提出し、学長の承認を得るものとする。
2 学長は、実験室の設置申請について、動物実験専門委員会の議を経て、承認の可否を決定する。
3 学長は、前項の判定を行ったときは、その旨を所定の審査結果通知書をもって通知するものとする。
4 学長の承認を得た実験室でなければ、動物実験等(48時間以内の一時的保管を含む)を行うことができない。
(実験室の要件)
第11条 実験室は、次の要件を満たすものとする。
(1)実験動物が逸走しない構造及び強度を有し、実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること
(2)排泄物や血液等による汚染に対して清掃や消毒が容易な構造であること
(3)常に清潔な状態を保ち、臭気、騒音、廃棄物等による周辺環境への悪影響を防止する措置がとられていること
(実験完了後の処置)
第12条 動物実験責任者は、動物実験等が完了した場合は、所定の実験完了報告書を学長に提出しなければならない。
2 動物実験責任者は、実験を終了又は中断したため不要となった実験動物は、できる限り速やかに、かつ苦痛を与えない方法により、苦痛から解放しなければならない。この場合において、当然ながら処置後の動物の死が確認されなければならない。
3 動物実験責任者は、実験動物の死体等を速やかに冷凍庫に保管する等、焼却処理までの適切な処置を講じ、悪臭の発生、病原体による環境汚染等の防止に努めなければならない。
(施設等の廃止)
第13条 施設等を廃止する場合は、所定の施設等廃止届を学長に提出するものとする。
(マニュアルの作成と周知)
第14条 動物実験責任者は、動物実験専門委員会が必要と認めた場合は、飼養保管のマニュアル(飼育保管室の清掃・環境整備の方法、給餌・機器等の点検方法、受傷時・地震等の災害時・実験動物脱走時の対応方法、その他飼養保管に関して必要な事項が記載されたものをいう。)を定め、動物実験実施者及び飼養者に周知しなければならない。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第15条 実験動物管理者、動物実験実施者、飼養者は、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の保持に努めるものとする。
(実験動物の導入)
第16条 管理者は、実験動物の導入に当たり、関連法令や指針等に基づき適正に管理されている機関より導入するものとする。
2 動物実験管理者は、実験動物の導入に当たり、必要に応じて、適切な検疫、隔離飼育等を行うものとする。
3 動物実験管理者は、実験動物の飼養環境への順化・順応を図るための必要な措置を講じるものとする。
(給餌・給水)
第17条 動物実験管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験動物の生理、生態、習性等に応じて、適切に給餌・給水を行うものとする。
(健康管理)
第18条 動物実験管理者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病を予防するため、実験動物に必要な健康管理を行うものとする。
2 動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、実験目的以外の傷害や疾病にかかった場合、実験動物に適切な治療等を行うものとする。
(異種又は複数動物の飼育)
第19条 動物実験管理者、動物実験実施者及び飼養者は、異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養、保管する場合、その組み合わせを考慮した収容を行うものとする。
(記録の保存及び報告)
第20条 管理者等は、実験動物の入手先、飼育履歴、病歴等に関する記録を整備、保存するものとする。
(譲渡等の際の情報提供)
第21条 管理者等は、実験動物の譲渡に当たり、その特性、飼養保管の方法、感染性疾病等に関する情報を提供するものとする。
(輸送)
第22条 管理者等は、実験動物の輸送に当たり、飼養保管基準を遵守し、実験動物の健康及び安全の確保、人への危害防止に努めるものとする。
(安全管理)
第23条 管理者、実験動物管理者、動物実験責任者、動物実験実施者及び飼養者は、動物実験等の実施や実験動物の飼養等に関係のない者が実験動物等に接触することのないよう、必要な措置を講じなければならない。
2 管理者は、実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者が実験動物に由来する疾病にかかることを防止する等、人への危害防止に努めなければならない。
3 管理者は、逸走した実験動物の捕獲の方法等をあらかじめ定め、人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設外に逸走した場合には、速やかに関係機関に連絡しなければならない。また、緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、緊急事態の発生時には、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めなくてはならない。
4 動物実験責任者は、物理的、科学的な材料又は病原体を取り扱う動物実験等においては、人の安全を確保するよう、十分に配慮しなければならない。
5 管理者は、毒へび等の有毒動物の飼養又は保管をする場合は、人への危害の発生の防止のため、飼養保管基準に基づき必要な事項を別途定めなければならない。
(緊急時の対応)
第24条 管理者は、地震、火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し、関係者に対して周知を図るものとする。
2 管理者は、緊急事態発生時において、実験動物の保護、実験動物の逸走による危害防止に努めるものとする。
(教育訓練)
第25条 実験動物管理者、動物実験実施者及び飼養者は、次の各号に掲げる所定の教育訓練を受けなければならない。ただし、動物実験実施者及び飼養者のうち、本学以外の者については、その者が所属する機関において教育訓練を受けることとする。
(1)関連法令、指針等、本学の定める規程等
(2)動物実験等の方法に関する基本的事項
(3)実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(4)安全確保に関する事項
(5)その他、適切な動物実験等の実施に関する事項
2 教育訓練を受けた者は、所定の教育訓練実施記録書を学長に提出するものとする。
3 学長は、提出された教育訓練実施記録書を保存するものとする。
(自己点検・評価・検証)
第26条 動物実験責任者は、毎年1回、所定の自己点検書を学長に提出するものとする。
2 動物実験専門委員会は、毎年1回、動物実験等の実施状況等に関する適合性について自己点検・評価を行い、その結果を学長に報告するものとする。
3 前項の規定による点検及び評価の結果については、本学以外の者による検証を受けるよう努めるものとする。
(情報公開)
第27条 本学における、動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規程、実験動物の飼養保管状況、自己点検・評価、検証の結果等)を毎年1回程度公表する。
(準用)
第28条 哺乳類、鳥類又は爬虫類に属する動物以外の動物を実験に用いる場合においても、この規程を尊重するよう努めるものとする。
(適用除外)
第29条 畜産に関する飼養管理の教育若しくは試験研究又は畜産に関する育種改良を目的とした実験動物(一般に、産業用家畜と見なされる動物種に限る)の飼養又は保管、及び生態の観察を行うことを目的とした実験動物の飼養又は保管については、この規程を適用しない。
(様式)
第30条 この規程に定める承認・報告等の様式は、別に定める。
(規程の改廃)
第31条 この規程の改廃は、国立大学法人豊橋技術科学大学の規則の種類及び制定等に関する規程(平成16年度規程第1号)の規定により、教授会の議を経て学長が行う。
(その他)
第32条 この規程に定めるもののほか、必要な事項は、動物実験専門委員会の議を経て学長が定める。
 
附 則
 この規程は,平成17年4月1日から施行する。
附 則(平成18年度規程第58号(平成19年2月13日))
 この規程は,平成19年2月13日から施行する。
附 則(平成21年度規程第76号(平成22年3月19日))
 この規程は,平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成22年度規程第28号(平成22年9月22日))
 この規程は,平成22年10月1日から施行する。
附 則(平成23年度規程第9号(平成23年7月13日))
 この規程は,平成23年7月13日から施行する。
附 則(平成27年度規程第139号(平成28年3月31日)) 
 この規程は,平成28年4月1日から施行する。
附 則(令和3(2021)年度規程第45号(令和4(2022)年3月24日)) 
 この規程は,令和4(2022)年4月1日から施行する。