開学40周年記念事業

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テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム

テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラム

1.はじめに

 テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラムは社会の要請に対応する学際的教育推進 -豊橋技術科学大学のらせん型教育の強みを生かした企業と協働した教育プランの実践-として、 文部科学省の特別運営交付金、総額約8億円の支援を得て平成21年度から平成27年度までの 7年間におよぶ教育プログラムです。平成21年度の一年間の準備期間を経て平成22年から本格的に実施されました。
 この教育プログラムの特徴は、博士前期課・後期課程を通した5年一貫の博士課程教育プログラムであることです。 履修生は博士前期課程に進学し、 博士後期課程を経て博士の学位を取得して社会に巣立ってゆくことを期待されています。 博士課程プログラムと言う点では、本学でこれまで実施されて来た21世紀COE、グローバルCOE に続く教育プログラムです。テーラーメイドと言うことばには次の意味が込められています。 あたかも洋服屋さんがその人にあった仕立てをするかのように、 履修生の将来の希望や活躍したい分野に合わせて、受講科目を設定すること。 またバトンゾーンと言う言葉には、履修生をリレーのバトンになぞらえて、 産業界と協働しつつ履修生を社会に手渡す期間であり機関であると言った意味が込められています。

2.育成する人材像

 近年、ともすれば専門と言う蛸壺にはまり専門の枠を超えられない博士達が問題となっています。 このプログラムでは、単なる秀才を育てるのではなく、社会や産業界の抱える課題に対して、 深い専門を基礎としながら、専門の枠を超えて果敢に挑戦することのできる実践的・ 創造的能力を備えたリーダーとしての博士人材の育成を目標としています。このために本学のみが有するIT 先端技術やナノテクノロジーを使った先端モノ作り教育研究施設(TUT-LSI工場、EIIRIS)と開学以来蓄積 してきた優れた教育研究成果を活用し,更に社会が求める異分野融合領域で フロントランナーとして活躍できるように融合分野に関する実習、講義が用意されています。 特徴的な点は産業界との協働にあります。産業界から時代に責任を負い、時代を先導する企業 トップを招いて講演いただくとともに、スーパーリーダー塾「トップと語る会」と言う履修生 と講師が膝を交えて意見交換をし、江戸時代の寺子屋的な雰囲気の中で、社会に対する責任とは、 企業経営とはと言った普段技術系の学生が触れることのない重要な側面に思いを致すと言った試み が大きな特徴になっています。

3.教育システム

 履修生にテーラーメイド教育を行うため、産業界出身の特任教員を配置し、 履修生のメンター的役割を担い履修科目の設定などさまざまな観点から履修生 の支援を行っています。さらに履修生を経済的な側面からも支援を行い博士課程 での学業、研究活動に専念できる体制を整えています。たとえば、RAとして雇用する ことによる学費への支援、国際会議参加、海外留学、海外研究機関訪問に対する支援 などは代表的な例です。この制度を利用してスウェーデンの大学、ドイツの大学、 アメリカの国立研究所など履修生は積極的に海外武者修行を行っています。 このような施策はグローバルに活躍できる人材育成に資するものと考えています。

4.テーラーメイド科目

 期待する博士を育成するためにテーラーメイド・バトンゾーン教育プログラムには以下に示すような 講義科目が存在します。バトンゾーン特論、異分野融合特論、開発リーダー特論の3つの講義では、 講演後に、スーパーリーダー塾を開催します。ここでもホンモノに触れることにより講義の核心をより深く理解していきます。

 バトンゾーン特論:様々な分野で実際の産業を支える技術を開発した技術者、世界をリードする研究者、 実社会で活動している現役のリーダーを講師に迎え、体験やアドバイス、将来実社会で活動するときの条件等を直接学びます。
 異分野融合特論:卒業後、基礎科学、工学と医学,農学等のほか、実業界など異分野での活躍、新規の分野開拓ができる様に 配慮した授業です。将来産業界で活動するときの課題や戦略、社会が何ゆえに技術者、研究者に期待するか等を直接聞く実践的な講義です。
 開発リーダー特論:研究と開発のそれぞれの使命を明確に意識した上で、国際的視野に立って 次世代を担う新技術開発の重要性に思いを馳せ、限界突破の構想力を持った強い意志力の技術開発 リーダーに相応しい気力・知力・総合力・人間力を身につけます。 次世代開拓に相応しい物質、材料、エネルギー、システム各領域にまたがる最先端技術レベルとそれぞれが内包する 根本的課題を把握し、その解決に向けた筋道を特定のテーマに関して提示できる総合力を身につけることを目標とします。

 さらに、これらの特論で講義をいただいた講師の所属する機関、組織を訪問して実際に研究や開発の現場(Invented Here) の息吹の体感を目的とする見学研修も行っています。これまでに産業技術総合研究所、日本原子力研究機構関西 光科学研究所、三菱航空機、NTT先端技術総合研究所、豊田中央研究所、エリーパワー株式会社を訪問し、 実際に講師が講演されたモノ、コトが産まれた現場を体験しました。またこれら一連の講義は、 トップにある方々の志やこの画期的な教育プログラムを社会に広く知っていただくことを目的として 6冊の書籍として上梓しています。 

5.最後に

 これまでに12人の博士が社会に巣立っています。産業界の研究所、大学の教員などそれぞれ希望の ポジションで力を発揮してくれるものと期待しています (就職先一覧) 。またこのプログラムの取組は、文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムに複合領域 (情報)のプログラムとして平成25年に採択された「超大規模脳情報を高度に技術するブレイン 情報アーキテクトの育成」へと発展的に引き継がれています。 テーラーメイド・バトンゾーン教育プログラムの講義 (一覧) では、佐川真人先生、岩崎俊一先生、末松安晴先生、大村智先生など、日本国際賞、 文化勲章、ノーベル賞の決定前にお願いしていたこともこのプログラムの企画運営に関わった教職員 (メンバー一覧) の誇りとなっています。

蛭田史郎 旭化成最高顧問との質疑応答の様子蛭田史郎 旭化成最高顧問との質疑応答の様子

益川敏英 名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構 機構長 とのスーパーリーダー塾の様子益川敏英 名古屋大学素粒子宇宙起源研究機構 機構長
とのスーパーリーダー塾の様子

平成27年度までに出版した講義録の書物平成27年度までに出版した講義録の書物

これまでのプログラム修了者の就職先一覧

1

株式会社 デンソー 基礎研究所

2

株式会社 東芝 研究開発センター

3

関西学院大学理工学部 特任助教

4

NTT先端集積デバイス研究所

5

古河電工株式会社 横浜研究所

6

セイコーインスツル株式会社

7

一関工業高等専門学校 助教

8

株式会社 東芝 四日市工場

9

東京大学 特任助教

10

産業技術総合研究所 中部センター 構造材料研究部門

11

浜松ホトニクス株式会社

12

鶴岡工業高等専門学校 助教

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講演者、講演タイトル一覧

開催日

所属

講師名

タイトル

2010.5.25

旭化成(株) 最高顧問

蛭田史郎氏

産業界の求める人財と技術

2010.6.22

(株)富士通研究所 フェロー

三村高志氏

企業の研究開発において経験したこと,考えたこと
~高速トランジスタHEMTを例として~

2010.7.20

インターメタリックス(株)
代表取締役社長

佐川眞人氏

世界最強の永久磁石「ネオジム磁石」
~たった1gで鉄1kgをもちあげる磁石はこうして生まれた~

2010.10.28

豊橋技術科学大学 学長

榊 佳之氏

ヒトゲノム解読への道 ~新しい生命科学への挑戦~

2010.11.22

福井工業大学 教授

府川伊三郎氏

博士人材への期待と要望

2011.1.17

(株)三菱ケミカルホールディングス社長

小林喜光 氏

「The KAITEKI カンパニー」、「KAITEKI」社会を目指して

2011.1.25

トヨタ自動車(株) 技監

渡邉浩之氏

とんでもない予測とまじめな提案
~2050年エネルギー問題と自動車の将来~

2011.2.10

新日本製鐵(株) 会長

三村明夫 氏

日本でなすべきこと

2011.4.14

トヨタ自動車(株) 会長

張富士夫氏

企業の国際競争力

2011.4.28

オムロン(株) 執行役員常務

今仲行一氏

企業における研究開発 -現状と課題 -

2011.5.26

(株)インターネット総合研究所
所長

藤原 洋 氏

現代技術史、企業と企業家

2011.7.7

旭化成(株) 旭化成フェロー

吉野 彰 氏

リチウムイオン電池の実例に学ぶ研究開発成功の秘訣

2011.7.15

豊田工業大学学長

榊 裕之氏

学力と研究力について考える ―半導体ナノ構造の研究体験を基に―

2011.11.10

(独)交通安全環境研究所 理事

水間 毅氏

日本における新しい交通システムの開発の歴史

2011.11.16

東京理科大学長

藤嶋 昭 氏

感動しつつ、良い雰囲気のもとで研究しよう -光触媒を例にして-

2011.11.25

(独)産業技術総合研究所 理事

一村信吾氏

産業技術の研究開発と公的研究機関の役割 -産総研における事例を中心に-

2011.12.2

トヨタ自動車(株) 技監

林 南八氏

モノづくりと危機管理=トヨタ生産方式の本質と進化(深化)
-今、何が求められているか-

2011.12.8

名城大学 大学院
理工学研究科 教授

飯島澄男氏

カーボンナノチューブの科学と産業応用

2012.4.26

JR東日本(株) 執行役員

松本雅行氏

JR東日本における列車運行の安全性と信号システムの発展について

2012.5.24

トヨタ紡織(株) 代表 取締役会長

箕浦輝幸氏

グローバル経済競争下での日本のものづくりと人材育成

2012.5.31

(公) 電磁材料研究所 理事長

増本 健 氏

金属材料における新たな展開 -アモルファスからナノへ-

2012.6.14

東京大学 大学院工学研究科 教授

藤田 誠 氏

自己組織化と分子技術

2012.6.29

(株)日立製作所
役員待遇フェロー

小泉英明氏

応用脳科学の新展開

2012.12.6

(株)日立製作所
電力システム社 主管技師長

山極時生氏

社会の根幹を支える電力技術 (変電機器開発を通して)

2012.12.13

日本アイ・ビー・エム(株)
IBMフェロー

浅川智恵子氏

だれもが能力を発揮できる社会を目指して

2013.4.25

名古屋大学
素粒子宇宙起源研究機構 機構長

益川 敏英氏

創造性の源は知的好奇心

2013.5.9

(公)電力中央研究所

電力技術研究所

八島 政史氏

電力技術を支える基盤技術 - 高電圧・大電流による試験技術とその役割-

2013.5.16

東京大学大学院工学系研究科
総合研究機構 教授

幾原雄一氏

先端材料設計の新展開 -電子顕微鏡と理論計算の融合-

2013.6.13

(独)産業技術総合研究所
ナノエレクトロニクス研究部門ミニマルシステムグループ長

原 史朗氏

ミニマルエンジニアリングの新展開

2013.6.27

NTT(株) 元取締役
基礎技術総合研究所 所長
東京工業大学 前副学長

伊澤達夫氏

光ファイバ通信技術の黎明期

2013.7.4

(株)日立システムズ 技監、
東京大学 大学院情報学環
(特任)教授

井村 亮氏

世界最小の無線認識IC・μ-Chipの開発と事業化への挑戦
-Entrepreneurship:革新技術から新事業、新たな顧客価値の創生-

2013.10.10

熊本大学大学院 教授

河村能人氏

軽金属材料における新たな展開 -KUMADAIマグネシウム合金-

2013.11.14

トヨタ自動車(株) 専務役員

奥平総一郎氏

「ハイブリッドカープリウスがトヨタで生まれた理由」
~未来を見据えた技術開発とは~

2013.11.21

東北工業大学 理事長

岩崎俊一氏

垂直記録と文明-科学から技術へ-

2013.12.10

北里大学 特別栄誉教授

大村 智 氏

微生物の働きを人類と福祉と健康の為に

2014.1.30

前駐中華人民共和国日本国大使館 特命全権大使

丹羽宇一郎氏

混迷の世界とアジア、日本の進路

2014.5.22

東北大学 電気通信研究所 教授

先端融合シナジー研究所 所長

中沢正隆氏

世界を結ぶインターネットを可能にした光ファイバ通信とその将来展望

2014.7.10

(株)IHI
新事業推進部 技監

磯村浩介氏

ポータブル・ガスタービン発電機の研究開発事例を通して考える、機械システムにおけるイノベーション実現の方法

2014.7.24

中部電力(株) 相談役

川口文夫 氏

電気エネルギーと電気事業

2014.10.9

総合科学技術会議議員

元三菱電機(株) 常任顧問

久間和生氏

科学技術イノベーション戦略

2014.10.16

東京都市大学 副学長

三木千壽氏

社会インフラの老朽化と維持管理へのCTの活用を考える

2014.10.30

大阪大学 生命機能研究科
特任教授

柳田敏雄氏

1ワットで働く脳、数千万ワット使うスパコン

2014.11.13

東京工業大学 栄誉教授

末松安晴氏

光ファイバ通信と社会

2014.11.20

エリーパワー(株)
代表取締役社長

吉田博一氏

電力貯蔵用リチウムイオン電池が世界を救う

2015.4.16

元旭化成(株) アメリカ駐在

古山俊之氏

米国長期在住者の経験に基づく日本とアメリカ(基礎編)
-これから活躍される諸君へ-

2015.6.4

政策研究大学院大学 教授

有本建男 氏

境界を越える ~グローバル・ディジタル・転換期・リーダー~

2015.6.11

東京大学 生産技術研究所 教授

合原一幸氏

複雑系の数理モデリングとその解析

2015.6.18

(株)日立製作所 代表執行役

中西宏明 氏

システム技術とイノベーション

2015.7.16

(公) 電磁材料研究所 理事長

荒井賢一氏

磁気を用いたマイクロマシン

2015.10.8

(学)立命館 評議員理事補佐

モンテカセム氏

見え隠れている未来に向けてスーパーリーダー養成
~技術科学とイノベーションの視点から~

2015.11.12

(独)日本学術振興会 監事

西川惠子氏

物質科学におけるパラダイムの転換 -イオン液体を例として-

2015.12.10

(独)科学技術振興機構 顧問

相澤益男氏

科学技術で未来創造に挑戦しよう

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開発リーダー特論講義一覧

2011.6.16

豊橋技科大 特命教授

原 邦彦氏

体験的研究・開発論(研究の使命、開発の使命) 

2011.6.30

豊橋技科大 特命教授

原 邦彦氏

これから重要性を増すテーマ(1)クラスター科学
(現代版錬金術、究極の元素戦略、物質と生命の間)  

2011.7.14

豊橋技科大 特命教授

柴﨑一郎氏

これから重要性を増すテーマ(2)磁気電子工学 研究開発の現実と戦略
(民間企業の開発体験から)

2011.7.28

(独)日本原子力研究開発機構
関西光科学研究所長

河西俊一氏

これから重要性を増すテーマ(3)高強度レーザーが拓く未来

2011.10.6

2011.10.28

(独)産総研ナノエレクトロニクス研究部門
ミニマルシステムグループ長

原 史朗氏

これから重要性を増すテーマ(4)ミニマルエンジニアリング-I,II

2011.10.20

豊橋技科大 教授

石田 誠氏

これから重要性を増すテーマ(5)マテリアルインテグレーション
(機能融合・材料融合による未踏機能デバイスの創製と応用)

2011.11.4

豊田工業大学
連携大学院客員教授

谷 俊彦氏

これから重要性を増すテーマ(6)異方性工学ノススメ

2011.12.16

東京大学 教授

岩田修一氏

これから重要性を増すテーマ(7)大規模人工物と社会
(クライシスマネジメントとサバイバル)

2012.1.27

東京大学 教授

岩田修一氏

これから重要性を増すテーマ(8)ライフサイクル工学

(原子核物理学から核廃棄物処理まで)

2012.2.9

豊橋技科大 特命教授

原 邦彦氏

これからプロの研究・開発者を目指す人たちのために技術倫理と技術者倫理 

2012.2.23

豊橋技科大 学長

榊 佳之氏

学長講話(仮題:未来は君たちが創るもの)総合討論会

所属・役職は講演時

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テーラーメイド・バトンゾーン推進室メンバー

推進室長

 石田 誠  電気・電子情報工学系教授(研究担当副学長)(H21-27)

室員

 浅野純一郎 建築・都市システム学系 教授(H26-27)

 石井 仁*  TB特任教授(H22-27 )

 岡田 浩  エレクトロニクス先端融合研究所 准教授(H21-25)

 北崎 充晃  情報・知能工学系 准教授(H21-27)

 逆井 基次*  TB特命教授(H21-27)

 澤田 和明  電気・電子情報工学系 教授(H21-27)

 柴崎 一郎*  TB特命教授(H21-27)

 田所嘉昭*  TB特命教授(H21-25)

 戸高 義一  機械工学系 准教授(H21-27)

 中内 茂樹  情報・知能工学系 教授(H21-27)

 沼野 利佳  環境・生命工学系 准教授(H26-27)

 廿日出 好  環境・生命工学系 准教授(H22-25)

 原 邦彦*  TB特命教授(H23-25)

 原田八十雄 TB特任准教授(H21-25)

 二川雅登  TB特任助教(H21-26)

 増田 幸宏  建築・都市システム学系 准教授(H23-25)

 若原 昭浩  電気・電子情報工学系 教授(H21-27)

 吉村 克信*  TBコーディネータ(H21-22)

 高瀬博行  TB技術補佐員(H23-27)

推進室事務担当

 鈴木奈巳世(H21-25)

 高橋歩美(H24-25)

 神谷あゆみ(H25-26)

 富田 直子(H25-27)

 西郷 ひろみ(H26- )

氏名欄の(*)は アドバイザー教員を示す。

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[初版作成]:2016.6.27/[最終改訂]:2016.6.28
広報部会

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